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7. 疲労評価及び簡易弾塑性解析に対する設計手法

7.3 簡易弾塑性解析

7.3.2 Ke 評価式の開発

Ke評価式の開発の手順は以下のとおりである。

①代表的な基礎モデルを実際の構造から抽出し、それらのモデルに対する荷重条件 に対して弾性解析と弾塑性解析を行い、Ke係数を求める。得られたKe係数を包

絡するようにKe評価式を設定する。

②配管に対する荷重負荷試験データを用いて設定した Ke 評価式の妥当性を確認す る。

③比較的Ke係数が厳しい代表的なノズル形状に対して設定したKe評価式の適用性 を確認する。

ここで、告示501号[7-9]で用いられたKe評価式はASME Sec.IIIの評価式に加えて、

Snが3Sm近傍では次式(以降、「A0式」と略称)が用いられ、ASME Sec.IIIといずれか 厳しい方の値を用いることとされた。

⎪⎭

⎪⎬

⎪⎩

⎪⎨

⎧ −

+

=

p n m n

e S

S S A S

K 1 0 3 ··· (7-4) 上式はピーク塑性ひずみの集中に着目した評価式であり、Snが3Sm近傍ではこの式 の方が支配的になるので取り入れることとする。

(2) 材料特性

材料は降伏点を 1.5Smとする弾完全塑性体とする。ここで、上述の Ke 評価式は Sn/3Smをパラメータとしているが、それは荷重が両振幅を対象としているためであり、

モデルに与える荷重が単調負荷の場合はSn/1.5Smをパラメータとして整理する。

(3) 基礎モデルに対する解析方法

原子炉容器等のクラス1機器の構造から構造不連続がある部位に着目して表 7-3 に示すように円筒、ノズル、サーマルスリーブ/セーフエンド、キャノピーシール、

支持スカートを抽出した。これらのモデルに対して、内圧及び熱応力を与えて弾性 FEM解析及び弾塑性FEM解析を行い、次式によりKe係数を計算する。

e ep

Ke

ε

= ε ··· (7-5)

ここで、

epp ep

ep σE ε

ε = + ··· (7-6)

E

e e

ε =σ ··· (7-7) σep:弾塑性FEM解析によるMises相当応力

p

εep

:弾塑性 解析による相当塑性ひずみ

FEM

:弾性FEM Mises相当応力

析及び弾性解析を行う。

σe 解析による

ここで、熱応力は以下のように解析する。

① 設定した温度分布に対して温度分布解

② 最大の熱応力を評価し、そのときの温度分布を求める。

③ 内圧を負荷した状態で求めた温度分布を比例的に増加させて解析モデルに与

(4) 基礎モデルに対する解析結果

力の基本的な影響を調べるため、構造不連続のない円筒のモデルに対

状の温度分布を与えた場合のKe係数を図7-4に示す。内圧が高

(b

ステップ状に変化させた場合のKe 係数を図7-5に示す。

(c

い違いによる熱応力を与えた場合のKe係

b. ノズルモデル

代表的な形状であるノズルのモデルについては、穴の補強をノズル

係数の計算結果を図 7-8 に示す。二つのモデルとも板厚の厚い評価点の方が え、弾性 FEM解析及び弾塑性 FEM解析を行い、弾性FEM解析によるSn

及びSp対して、式(7-5)でKe係数を計算する。

a. 円筒モデル 内圧と熱応

して、内圧のレベルが3ケース、熱応力のタイプが3ケース(直線温度分布、ステッ プ状温度変化、円筒の上下に温度差を与える)の合計 9ケースについてKe係数を計 算し、Ke係数とSnとの関係を求めた。

(a) 直線温度分布 板厚方向に直線

いほど塑性ひずみは生じやすくなるため、Ke係数も高くなった。なお、Sn/1.5Sm=1.0 付近では若干の差が認められるが、これはSnはTresca応力で整理しているのに対

してKe係数はMises応力(降伏条件)で評価しているためである。ただし、その差

は小さく、問題となるものではない。

) ステップ状温度分布 内部流体の温度変化を

ステップ状の温度変化により発生する熱応力は内表面で局所的に高くなるような 分布になるため、板厚全体に与える熱曲げ応力の影響は小さく、Sn/1.5Smが比較的 大きな領域ではほとんど差は認められなかった。一方、Sn/1.5Sm=1.0近傍において 内圧が低い方がKe係数が高いのは、Snが等しいので内圧が低い方が熱応力は高く、

表面の局所的な熱応力が高くなるため塑性の開始が早まることによる。

) 円筒の上下に温度差を与えたケース 円筒の上下に温度差を与え、変位の食

数を図7-6に示す。内圧が高いほどKe係数は高くなった。この荷重条件は他のモ デルに比べて弾性追従の影響が出やすいモデルであり、内圧の影響が他のケース に比べて明確に現れたものと考えられる。

構造不連続の

のみに考慮したモデルと胴側のみに考慮した2種類を用いた。FEMモデルを図7-7 に示す。荷重は、内圧は17.16MPa一定で、温度は内部流体の冷却率を55℃/hとし た。

Ke

Ke係数は高く、基本的には板厚の影響が大きくなっている。ノズルコーナ部は応力

(ひずみ)集中は発生するが、ピーク応力であり、Ke 係数に対する影響は比較的小さ くなった。また、胴側で補強したモデルのノズル側のKe係数はSn/1.5Smが大きくな るにつれて直線的に大きくなっている。これはノズルの板厚が薄く、胴側に比べて ノズル側の剛性が低いため、弾性追従の影響が生じたものと考えられる。

c. サーマルスリーブ/セーフエンドモデル

フエンドを対象とした。一重スリーブと二

内部流体による急冷により、サーマルスリ

d. 支持スカートモデル

R及びABWRの代表モデルを用いて検討した。FEMモデルを

く一次+二 次

、全断面が塑性域になるので繰返し荷重評価のシ 管台に取り付くサーマルスリーブ/セー

重スリーブの構造の違いに着目して、BWR及びABWRの代表モデルを用いて検討した。

FEMモデルを図7-9に示す。内圧は8.62MPa一定で、温度は内部流体温度を300℃

から40℃にステップ状に変化させた。

Ke 係数の計算結果を図 7-10 に示す。

ーブの付け根部にサーマルスリーブが収縮することによる曲げ応力が発生し、この 熱曲げ応力が Ke 係数に対して支配的になる。一方、内圧による応力については、

BWR モデル(一重スリーブ)の評価点位置では内圧による応力も影響するが、

ABWR(二重スリーブ)モデルの評価点位置では内圧の影響はなく、Sn/1.5Smが小さい

領域ではBWRモデルの方がKe係数は高くなった。これは、BWRモデルでは急冷 によりスリーブが収縮するため、評価点のR部に引張応力が発生することによる。R 部には構造による局所的な応力集中が発生し、円筒モデルのステップ状温度変化を 与えたケース(内面に熱応力の局所的応力が発生)と類似したKe係数の傾向を示した。

一方、ABWR モデルは内圧による応力の影響はなく、熱曲げ応力が主体となり、弾 性追従も影響して比較的単調的に増加するなKe係数の傾向となった。

支持スカートもBW

図7-11に示す。内圧は8.62MPa一定で、温度はプラントの起動(昇温)過渡を用いた。

Ke 係数の計算結果を図 7-12 に示す。両モデルとも同様の傾向を示し、プラントの 昇温時は内部流体の温度上昇とともに胴側の温度も上昇する。支持スカートは熱伝 導による時間差があるとともに、支持スカートが取り付いている部分は保温されて いないので大気との熱伝達があることから、支持スカートは胴側に比べて温度が低 い。したがって、それによる変位差のために支持スカート付け根部に比較的高い応 力が発生し、また弾性追従の影響が比較的大きい構造となっている。

このような荷重が発生するために熱応力の膜応力も高く、熱曲げを除

応力が3Sm以下とする制限(Sn' 制限)は、BWRモデルではSn/1.5Sm≦1.98、ABWR モデルではSn/1.5Sm≦1.72において満足するため、支持スカートのKe係数はSn' 制 限を満足する範囲を対象とする。

なお、Sn' 制限を満足しない場合

e. キャノピーシールモデル

例として、PWR 原子炉容器蓋用管台と制御棒駆動装置

管台部内面は内部流体により温度が上昇す

(5) Ke評価式の設定

して得られたKe 係数と Snとの関係を整理し、それらを式(7-3)で

(6) 配管試験データに対する設定したKe評価式の検証

11]を用い、配管に対する実験デ

点に一番近いひ イクダウン評価及び熱応力ラチェット評価も満足しないので、弾塑性設計手法で も上記の範囲について対象外とすることで問題はない。

剛性の差が比較的大きい

(CRDM)ハウジングとの間のキャノピーシールを評価の対象とした。FEM モデルを

図7-13に示す。内圧は17.16MPa一定で、プラントの100%出力への負荷上昇(1000s で300℃→350℃)の温度過渡を用いた。

Ke 係数の計算結果を図 7-14 に示す。

るが外面は冷却空気により冷やされる。特にキャノピーシール部は板厚が薄いため フランジ部との温度差が付きやすく、フランジ部の熱膨張に対してキャノピーシー ル部の熱膨張は小さいので、キャノピーシール部の付け根部に比較的高い曲げ応力 が発生する。また、シール部とフランジ部との剛性の差が大きく、弾性追従の影響 も大きく、Ke係数も比較的高くなった。

基礎モデルに対

包絡するように弾性追従パラメータqを設定した結果、図7-15に示すようにq =3.1 が得られた。ここで、Sn/3Sm=1.0 近傍では新Ke評価式と A0式とのいずれか大きい 方の値を用いることとした。また、本評価で得られたq =3.1は高速炉規格のq =3.0 とほぼ同等の結果となり、妥当と考えられる。

原子力配管の耐震設計に対する民間の研究成果[7-10,

ータを用いて新Ke評価式を検証した。表7-4に示すように、試験体要素の種類、板 厚、内圧及び加振条件に着目して11ケースを評価の対象とした。

変位制御の実験データから得られたKe係数は、各試験のき裂発生

ずみゲージで得られた値から計算した。Ke係数は実験で得られたひずみと弾性FEM 解析で得られたひずみとの比で求めた。評価する負荷サイクルは試験初期で挙動が 安定したサイクルとした。図7-16に曲げ管、ティー継ぎ手及び直管の試験データに よるKe係数と設定したKe評価式(q =3.1)を比較して示す。また、各ケースについ て負荷サイクルの前半と後半の値を示した。ラチェットの影響でサイクルの前半と 後半で挙動が異なるが、すべてのケースについて、試験データによるKe係数はKe

評価式(q =3.1)に比べ小さいことが確認された。