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8. 弾塑性 FEM 解析を用いた原子炉圧力容器設計手法の体系化

8.5 疲労評価

疲労評価はシェイクダウン評価あるいは熱応力ラチェット評価を満足することが前提 となる。シェイクダウンせず、熱応力ラチェットを生じる場合は、荷重条件の見直し、

構造の見直し等が必要となる。

疲労評価は供用状態Aおよび供用状態Bにおける繰返し荷重に対して以下の手順で実 施する。

(1) ピーク相当応力範囲の算出

供用状態Aおよび供用状態Bに対して、以下の手順で材料物性値の温度依存性を考慮 した弾性解析によりピーク相当応力範囲Sp,iを求める。ここで、試験状態で生じる応力サ イクルが10回を超える場合は、当該応力サイクル全回数を疲労評価に考慮すること。

a. 各荷重サイクルの組合せに対して表面における最大の相当応力範囲(ピーク相当応 力範囲, Sp)を求める。

b. 各組合せに対してその最大の値から順に、Sp,1Sp,2、・・・、Sp,i、・・・、Sp,nと する。また、Sp,iの発生回数をNc(i)とする。

(2) シェイクダウンする場合

疲労評価は以下で実施すること。

a. (1)項で得られたSp,iの1/2をSalt,iとする。

b. Salt,iを繰返しピーク応力強さとみなして設計疲労線図より、許容繰返し回数 Na(i) を求める。

c. 疲労累積係数Ufは、次の規定を満足すること。

Uf

= k

i a

c

i N

i N

1 ()

)

( ≦ 1.0 ··· (8-2)

(3) シェイクダウンはしないが熱応力ラチェットは生じない場合

シェイクダウンはしないが熱応力ラチェットは生じない場合は簡易弾塑性解析を適用 する。このとき、その材料については最小引張強さに対する最小降伏点の比が0.8倍以下 であること及び低合金鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼および炭素鋼は370℃、オース テナイト系ステンレス鋼および高ニッケル合金は430℃を超えないこととする。これらは

ASME Sec.III及び現行のJSME設計・建設規格でも規定されているものであり、前者の

規定は、Manson の法則(例えば[8-4]参照) によれば、「引張強さと 0.2%耐力の比が 1.4 以上(降伏比では約0.7以下)のときは繰返しひずみ硬化が生じ、1.2以下(降伏比では約0.8 以上)のときは軟化が生じる。この中間での予測は難しいが、概ね安定している」とされ る。上記の法則により、降伏比が0.8以上になると材料はひずみ軟化を生じる可能性があ ることから、材料のひずみ軟化の効果を防止するためにこの条件を採用する。また、後 者の温度条件はクリープ領域を対象外としているので採用する。以上の条件の下で、疲 労累積係数Ufを計算する。

(1)項で得られたSp,iを用いて以下に示すa、bまたはcの方法でSalt,iを算出し、Salt,iを 繰返しピーク応力強さとみなして設計疲労線図より許容繰返し回数 Na(i)を求め、疲労累 積係数Ufが次の規定を満足すること。

Uf

= k

i a

c

i N

i N

1 ()

)

( ≦ 1.0 ··· (8-3) a. i番目の荷重サイクルの組合せがシェイクダウンする場合、Salt,iは次の計算式に

より計算した値とする。

2

, ,

i p i alt

S =S ··· (8-4) b. i番目の荷重サイクルの組合せがシェイクダウンしないが、熱応力ラチェットは生

じない場合、Salt,i は次の計算式により計算した値を用いてもよい。

2

, i

,

i p e alt

S S K ″⋅

= ··· (8-5)

e

K :次の計算式より計算した値

⎟⎟

⎜⎜

⎛ −

− +

″ =

i p

m p

e S

q S K

,

1 3 ) 1 (

1 ··· (8-6)

ここで、

0

, 0

1

1 3 )

( q

S q S q q

i p

m

p ⎟⎟+

⎜⎜

⎛ −

= ··· (8-7)

q0= 1.5, q1 = 4.0 ··· (8-8)

c. b項のKe”式はKe検討会で開発されたものであり、保守的な評価式となっている。

一方、現行の JSME設計・建設規格の簡易弾塑性解析においても、Ke 係数は当該 の構造に対して直接求めてよいこととしており、妥当な考え方であるので本評価方 法でも取り込むこととする。そこで、Ke”式を設定したのと同じ方法を用いること とし、当該の荷重サイクルに対して1.5Smを弾完全塑性体を仮定した弾塑性解析に より計算したときのひずみ範囲εep と弾性解析により計算したときのひずみ範囲

εe を用いて次式で計算した弾性追従パラメータqpもよいこととする。

i p

m e ep

p

S q S

,

1 3 1 1

− +

= ε

ε

··· (8-9)

ここで、

εepSp,iを求めた荷重サイクルに対して、1.5Smを降伏点とする弾完全塑性体 を仮定した弾塑性解析により計算したときのひずみ範囲であり、次の計 算式により求めた値。

ep p E ε

ε = σ + ··· (8-10)

σ :弾塑性解析によるMises相当応力範囲(MPa)

εp:弾塑性解析によるMises相当塑性ひずみ範囲

εeSp,iを求めた荷重サイクルに対して、弾性解析を実施し、次の計算式によ り求めた値。なお、解析に使用する荷重はεepの計算に用いたものと同じ 荷重であること。

e E σ*

ε = ··· (8-11) σ*:弾性解析によるMises相当応力範囲(MPa)