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4. プロジェクトに適用可能な排出削減方法論の検討と同方法論を用いた削減見込量の試算

4.1. JCM の JC への登録のための方法論のブラッシュアップの実施

類似のドライバーで森林減少が発生しているインドネシア国内をはじめ、他国への横展 開可能性を考慮し、また、実効性を高めてJCMのJCへの登録を目指すため方法論をブ ラッシュアップを行った。ブラッシュアップの概要は以下の通り。

4.1.1方法論ブラッシュアップの概略

① 適格性条件の見直し

方法論の改定の方向性 PDDでの対応の方向性 条件1 農作物転換により焼畑による森林

減少の防止に貢献するプロジェク トであること。

ゴロンタロ州ではトウモロコシの焼畑が森林 減少の原因となっており、トウモロコシの焼畑 をカカオ栽培の推進により防止するプロジェ クトである。

条件2 プロジェクト対象地は泥炭地でな いこと。(泥炭地の定義は、インド ネシア政府の定義に従う)

プロジェクトエリアに泥炭地がないことをボ アレモ県政府が作成した県内の土壌分布図で 確認する。

条件3 プロジェクトエリアについて、イ ンドネシア政府に承認を受けてい ること。

プロジェクトエリアについて、県知事の承認の レターを取得していること。

条件4 トウモロコシからカカオへの転換 に関するモニタリングを衛星デー タ及び地上調査によりモニタリン グできること。

衛星画像、GISデータ及びGPSデータを活用 して焼畑に替わるカカオ栽培の農地情報が管 理される。

② 参照排出レベル(REL)

方法論の改定の方向性 PDDでの対応の方向性 REL設定 準国レベルのREDDとして考え、

インドネシア政府(地方政府含む)

が公に公表している森林セクター のGHG排出をRELとする。

ゴロンタロ州GHG排出削減計画(RAD-GRK) の森林セクターのBAUをREL設定に用いる。

③ プロジェクトバウンダリー

方法論の改定の方向性 PDDでの対応の方向性 範囲 プロジェクト開始時点での実施

対象となる行政境界内の森林被 覆全てをプロジェクトエリアと する。

プロジェクト開始時点でのボアレモ県境内の 森林被覆全てとする。

指定方法 インドネシア政府が作成した公 の行政境界のGISデータ及び森 林被覆区分のGISデータを用い てGISソフトウェアにより特定 する。森林被覆区分はインドネシ ア政府の土地被覆区分のうち、森 林に分類される区分を用いる。

インドネシア測量地図庁(BAKOSURTANAL) 作成のボアレモ県境GISデータと、ゴロンタロ 州を管轄する森林管理ユニット(BPKH)が作 成した土地被覆区分GISデータを用いてGIS ソフトウェア(ArcGIS/QGIS)により特定する。

④ リファレンスエリア

方法論の改定の方向性 PDDでの対応の方向性 範囲 準国レベルのREDDであり、プ

ロジェクト対象地の行政区界よ りも大きい行政区界内の森林被 覆全てをリファレンスエリアと する。

準国レベルのREDDとしてゴロンタロ州の RAD-GRKのBAUをREL設定に用いるため、

リファレンスエリアはゴロンタロ州の州境内 の森林全てとする。

指定方法 インドネシア政府が作成した公 の行政境界のGISデータ及び森 林被覆区分のGISデータを用い てGISソフトウェアにより特定 する。

インドネシア測量地図庁(BAKOSURTANAL) 作成の県境GISデータと、ゴロンタロ州を管轄 する森林管理ユニット(BPKH)が作成した土 地被覆区分GISデータを用いてGISソフトウ ェア(ArcGIS/QGIS)により特定する。

⑤ プロジェクト排出量

方法論の改定の方向性 PDDでの対応の方向性 被覆デー

プロジェクト排出量の算定に使 用する土地被覆データは、インド ネシア政府が作成している公の GISデータを用いる。

プロジェクト排出量の算定に使用する土地被 覆データは、ゴロンタロ州を管轄する森林管理 ユニットBPKHが毎年作成している土地被覆 区分GISデータを用いる。BPKHは衛星デー タと地上調査により同データを作成している。

排出係数 各被覆区分の排出係数はインド ネシア政府が公に作成している 数値を用いる。

各被覆区分の排出係数はゴロンタロ州政府が 公に作成しているRAD-GRKの数値を用いる。

プロジェクトバウンダリー外での施肥に伴う 排出がないかモニタリングがなされること。

被覆区分 土地被覆区分はホスト国の区分 に準拠する。

土地被覆区分はインドネシア林業省が作成し ている区分に準拠する。

プロジェ 農作物の転換による排出 プロジェクトバウンダリー外の農地での窒素

方法論の改定の方向性 PDDでの対応の方向性

クト活動 肥料の施肥によりN2Oが発生する。本プロジ ェクトは、家畜の数には影響を及ぼさない。施 肥量は、トウモロコシ栽培>カカオ栽培であ り、カカオ栽培にすると施肥量が増加すること はないと考えられるので、プロジェクトによる N2Oの発生の増加は見込まれない。プロジェク ト期間中は、施肥量を農家等より確認してプロ ジェクトバウンダリー外での施肥に伴うGHG 排出がないかモニタリングする。

4.1.2 方法論概要(骨子)

1) 適格性要件

プロジェクトの適格性要件は、次の通りと設定した。これらのすべての条件を満たせ ば、当該プロジェクトを適格であるとみなされることになる。

番号 内容

条件1 農作物転換により焼畑による森林減少の防止に貢献するプロジェクトであるこ と。

条件2 プロジェクト対象地は泥炭地でないこと。(泥炭地の定義は、インドネシア政府 の定義に従う)

条件3 プロジェクトエリアについて、インドネシア政府に承認を受けていること。

条件4 トウモロコシからカカオへの転換に関するモニタリングを衛星データ及び地上 調査によりモニタリングできること。

2) プロジェクトバウンダリー

 地理的境界:プロジェクト開始時点での実施対象となる行政境界内の森林被覆全 てをプロジェクトエリアとする。(設定例:ある時点の県境内の森林被覆全区域)

 地理的境界の指定方法:インドネシア政府が作成した公の行政境界の GISデー タ及び森林被覆区分のGIS データを用いてGISソフトウェアにより特定する。

森林被覆区分はインドネシア政府の土地被覆区分のうち、森林に分類される区分 を用いる。土地被覆区分はホスト国の区分に準拠する。

 対象ガス:算定対象とする温室効果ガスの種類は、原則として、CO2、N2O、 CH4を対象とする。

 炭素プール:地上部バイオマス、地下部バイオマス、土壌炭素を対象とする。

3) リファレンスレベル

 参照排出レベル(REL)の設定:準国レベルのREDDとして考え、インドネシ ア政府(地方政府含む)が公に公表している森林セクターのGHG排出量または

森林炭素蓄積量変化率をリファレンスレベルとする。

 リファレンスエリアの設定:プロジェクトエリアにおける将来の森林炭素蓄積 量の減少率及び増加率を算定するために参照するリファレンスエリアを設定す る。本プロジェクトは準国レベルのREDDとして考えていることから、方法論 においても準国レベルのREDDとなるよう、プロジェクト対象地の行政区界よ りも大きい行政区界内における森林被覆全てをリファレンスエリアとする。(設 定例:プロジェクトバウンダリーを県境内の森林被覆全区域とする場合、リファ レンスエリアを州境内の森林被覆全区域とする。)

 リファレンスエリアの指定方法:インドネシア政府が作成した公の行政境界の GISデータ及び森林被覆区分のGISデータを用いてGISソフトウェアにより特 定する。土地被覆区分はホスト国の区分に準拠する。

 排出係数データの収集:各土地被覆区分の排出係数(単位面積当たりの炭素蓄 積量)はインドネシア政府が公に作成している数値を用いる。

4) プロジェクト排出量の算定

以下では、プロジェクト排出量を算定するための方法論を示す。まず、活動量(土地 被覆面積の変化量)及び排出係数(単位面積当たりの炭素蓄積量)のデータを整理す る。

土地被覆区分の設定活動量(土地被覆面積変化に関するデータ)及び排出係数 を設定するため、あらかじめ、土地被覆区分の設定を行う。本方法論では、土地 被覆区分はホスト国の区分に準拠する。

土地被覆面積データの収集:プロジェクトを開始した後、排出削減量を算定しよ うとする年において、プロジェクトバウンダリー内の土地被覆面積データを収集 する。ここで、次の2つの算定オプションが考えられる。事業者は状況に応じて、

下記のうち、どちらかのオプションを選定して算定する。

既存データの活用:プロジェクト排出量の算定に使用する土地被覆データ は、インドネシア政府が作成している公の土地被覆GISデータを用いる。

独自データの活用:リモートセンシングデータと地上調査とを組み合わせ て分析することにより、プロジェクトエリアにおける土地被覆面積データ を事業者独自に整備する。

 排出係数データの収集:土地被覆面積データを収集したが、ここで定義した土 地被覆区分に沿って、排出係数(単位面積当たりの炭素蓄積量)データを収集す る。各被覆区分の排出係数はインドネシア政府が公に作成している数値を用いる。

 プロジェクト排出量の算定:上記で収集した土地被覆面積データ及び排出係数 を用いて次のように算定する。土地被覆区分ごとの面積変化量に、排出係数を乗