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4. プロジェクトに適用可能な排出削減方法論の検討と同方法論を用いた削減見込量の試算

4.2. 土地被覆面積データ、ゴロンタロ州政府による排出係数を用いた削減量の計算

4.2.2 結果

4.2.2.1 土地被覆の推移

図4.2-2に、ゴロンタロ州の県境データと、各県および市の名称を示す。ボアレモ県とポ

フワト県はゴロンタロ州の西側に隣接して位置している。

図4.2-2:ゴロンタロ州の県および市の名前と県境

図4.2-3から図4.2-9に、ゴロンタロ州で2000年時点に森林被覆域だったエリアの土地被 覆の推移を、2000年、2003年、2006年、2009年、2011年、2012年、2013年について図 示した。図中では、県境データも合わせて示している。2000 年の時点でゴロンタロ州の 土地被覆にPrimary swamp forest(Hrp)とPlantation forest(Ht)は存在しなかったため、

残りの5区分のみ対象とした。

ゴロンタロ県とゴロンタロ市で森林面積の割合が小さいのに対して、本調査の対象とな っているボアレモ県やポフワト県では森林面積の割合が大きく、調査の対象として相応 しいといえる。

図 4.2-3:ゴロンタロ州全体で 2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象とした、2000

年の土地被覆

図 4.2-4:ゴロンタロ州全体で 2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象とした、2003

年の土地被覆

図 4.2-5:ゴロンタロ州全体で 2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象とした、2006 年の土地被覆

図 4.2-6:ゴロンタロ州全体で 2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象とした、2009

年の土地被覆

図 4.2-7:ゴロンタロ州全体で 2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象とした、2011 年の土地被覆

図 4.2-8:ゴロンタロ州全体で 2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象とした、2012

年の土地被覆

図 4.2-9:ゴロンタロ州全体で 2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象とした、2013 年の土地被覆

4.2.2.2 土地被覆面積の年変化

本節では、2000年、2003年、2006年、2009年、2011年、2012年、2013年の土地被覆別 面積の年変化を示す。

図 4.2-10 は、ゴロンタロ州における土地被覆面積の年変化を示している。全体の傾向と

して、2000年から2003年にかけてPrimary dryland forest(Hp)が減ってSecondary dryland forest(Hs)へと変わり、2003年から2006年にかけてSecondary dryland forest(Hs)が減

ってDry shrub(B)へと変わっていることが分かる。

図4.2-10:ゴロンタロ州で2000年時点に森林被覆域だったエリアの土地被覆面積の年変

化を棒グラフと折れ線グラフで示す。

図 4.2-11 は、ボアレモ県における土地被覆面積の年変化を示している。全体の傾向とし

て、2003年から2006年にかけてSecondary dryland forest(Hs)が減少してDry Shrub(B)

へと変化し、2006年から2009年にかけて、Primary dryland forest(Hp)が減少してSecondary

dryland forest(Hs)へと変化している。また、2003 年から 2011 年にかけて Mixed dry agriculture(Pc)が微増している。

図4.2-11:ボアレモ県で2000年時点に森林被覆域だったエリアの土地被覆面積の年変化

図4.2-12は、ポフワト県における土地被覆面積の年変化を図示している。2000年から2012 年にかけてSecondary dryland forest(Hs)が少しずつ減少しているが、全体の傾向として は目立った土地被覆変化はみられない。一方、ごく最近の2012 年から 2013年にかけて Primary dryland forest(Hp)が減少してSecondary dryland forest(Hs)が増加していること が分かった。

図4.2-12:ポフワト県で2000年時点に森林被覆域だったエリアの土地被覆面積の年変化

ゴロンタロ州、ボアレモ県、ポフワト県を比べると、ボアレモ県とポフワト県ではPrimary dryland forestに対するSecondary dryland forestの割合が、ゴロンタロ州全体に比べて低い 事が分かる。ただし、先述したように、両県では森林面積の割合自体が高いので、森林 破壊がまさに進行中であると見ることができる。

4.2.2.3 炭素蓄積量の年変化

4.2.2.3 (1) 林業省の排出係数を使用

図4.2-13、図4.2-14、図4.2-15はそれぞれ、林業省の排出係数を使用して計算したゴロン タロ州、ボアレモ県、ポフワト県の炭素蓄積量の年変化を示している。

基本的に、炭素蓄積量の変化は各土地被覆区分の面積の増減によって決まるため、傾向 としては土地被覆面積の年変化と同じである。ただし、Primary dryland forest(Hp)と Secondary dryland forest(Hs)の排出係数は、Dry shrub(B)やMixed dry agricultureの排 出係数に比べて大きいため、炭素蓄積量に及ぼす影響は Primary dryland forest(Hp)と Secondary dryland forest(Hs)の増減によって大きく左右されている。

図 4.2-13:2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象に、林業省の排出係数を使用し

て計算したゴロンタロ州の炭素蓄積量の年変化

図 4.2-14:2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象に、林業省の排出係数を使用し

て計算したボアレモ県の炭素蓄積量の年変化

図 4.2-15:2000 年時点に森林被覆域だったエリアを対象に、林業省の排出係数を使用し

て計算したポフワト県の炭素蓄積量の年変化

4.2.2.3 (2) 林業省に加えてRAD-GRKの排出係数を使用

図4.2-16から図4.2-18に、林業省の排出係数のうちゴロンタロ州RAD-GRKで公表され ている排出係数をアップデートした数値を使用して炭素蓄積量を計算した結果を示す。

土地被覆で大きな面積を占めるPrimary dryland forest(Hp)とSecondary dryland forest(Hs)

の排出係数が、林業省の数値からそれぞれ195から271.456ton/ha、169から258.652ton/ha へと増加したことを反映して、炭素蓄積量は大幅に増加した。年変化の傾向としては、

林業省の排出係数を使って計算した結果と大きな違いはみられなかった。

図4.2-16:2000年時点に森林被覆域だったエリアを対象に、林業省+RAD-GRKの排出係

数を使用して計算したゴロンタロ州の炭素蓄積量の年変化

図4.2-17:2000年時点に森林被覆域だったエリアを対象に、林業省+RAD-GRKの排出係

数を使用して計算したボアレモ県の炭素蓄積量の年変化

図4.2-18:2000年時点に森林被覆域だったエリアを対象に、林業省+RAD-GRKの排出係

数を使用して計算したポフワト県の炭素蓄積量の年変化

4.2.2.4 森林減少と森林劣化の状況

2.1.3節で述べたように、REDD庁が公開している FRELの算出において森林減少と森林

劣化を次のように定義されている。

森林減少:特定の場所において、一度のみ発生した自然林からその他の土地被覆区分へ の変化

森林劣化:一次林区分から二次林区分への変化

本節では、2000年時点で自然林(Primary dryland forest(Hp)、Secondary dryland forest(Hs)、 Primary mangrove forest(Hmp)、Secondary mangrove forest(Hms)、Primary swamp forest

(Hrp)、Secondary swamp forest(Hrs)の6区分)だった土地被覆が他の土地被覆への変 化した場合を森林減少、2000年時点で一次林(Primary dryland forest(Hp)、Primary mangrove forest(Hmp)、Primary swamp forest(Hrp)の3区分)だった土地被覆が二次林(Secondary dryland forest(Hs)、Secondary mangrove forest(Hms)、Secondary swamp forest(Hrs)の3 区分)に変化した場合を森林劣化と定義した。

以下では、ゴロンタロ州、ボアレモ県、ポフワト県それぞれにおける、森林減少と森林 劣化の年変化を見ていく。

4.2.2.4(1) 森林減少

図4.2-19に、ゴロンタロ州、ボアレモ県、ポフワト県の森林減少の状況を示す。図4.2-19

では、2009年以前は3年間隔、2009年から2011年の間が2年間隔、2011年から2013年 までが 1年間隔になっていること、縦軸の面積が 0 から始まっていないこと、縦軸のス ケールの違いに注意されたい。

いずれも2003 年から 2006年にかけて大きな森林減少がみられ、その後も少しずつ減少 していく傾向がみられた。2000年に対する2013年の森林減少の割合は、ゴロンタロ州で 約8.9%、ボアレモ県で約12.7%、ポフワト県で約6.4%だった。

図4.2-19:(a)ゴロンタロ州、(b)ボアレモ県、(c)ポフワト県の森林減少

4.2.2.4(2) 森林劣化

図 4.2-20 に、ゴロンタロ州、ボアレモ県、ポフワト県の森林劣化の状況を示す。森林減

少の図と同様、森林劣化の図でも2009年以前は3年間隔、2009年から2011年の間が2 年間隔、2011年から2013年までが1年間隔になっていること、縦軸の面積が0から始ま っていないこと、縦軸のスケールの違いに注意されたい。

ゴロンタロ州全体では、2000年から2003年にかけて森林劣化が進んだが、その後森林劣 化がそれほど進んでいないことが分かる。ボアレモ県では、2006年から2009年にかけて 森林劣化が進んでおり、ゴロンタロ州全体の傾向と合わせて考えると、他の県よりも遅 れて一次林から二次林への転換が始まった事が示唆される。ポフワト県でもボアレモ県 と同じことが言え、2006年から2009年にかけて森林劣化が進んでいた。

図4.2-20:(a)ゴロンタロ州、(b)ボアレモ県、(c)ポフワト県の森林劣化の状況

4.2.2.5 森林参照排出レベル(年間炭素蓄積量変化量)の試算

森林被覆域だったエリアを対象に、林業省および林業省+RAD-GRKの排出係数を用いて 計算した 7 カ年の総炭素蓄積量の変化を示す。図の上段、中段、下段がそれぞれゴロン タロ州、ボアレモ県、ポフワト県の結果を表しており、左列と右列がそれぞれ林業省の 排出係数を使用した結果と林業省+RAD-GRKの排出係数を使用した結果を表している。

図中に示した回帰式の傾きが 1 年間あたりの炭素排出量となり、これらを整理した結果

を表4.2-3 に示す。にRAD-GRKの排出係数の方が林業省の排出係数よりも大きいため、

林業省+RAD-GRKの排出係数を使用したほうが森林参照排出レベルは大きくなる。森林 参照排出レベルを使用することで、森林減少と森林劣化に対して何も対策を行わなかっ た場合に起こりうる、将来的な炭素蓄積量の減少が予測できることになる。

各計算対象エリアにおいて、単位森林面積から 1 年間でどれだけの炭素を失われている のかを比較するため、表の森林参照排出レベルを2000年時点の森林面積で割った値を計 算した(表4.2-4)。その結果、ゴロンタロ州全体に比べてボアレモ県では2000年時点で 森林だったエリアからの炭素の消失が大きく、ポフワト県では小さいことが分かる。

図 4.2-21:炭素蓄積量の減少率。(a)ゴロンタロ州で林業省の排出係数を使用、(b)ゴロン

タロ州で林業省+RAD-GRKの排出係数を使用、(c)ボアレモ県で林業省の排出係数を使用、

(d)ボアレモ県で林業省+RAD-GRK の排出係数を使用、(e)ポフワト県で林業省の排出係