46
20 40 60 80 100
10 20 30 40 50 60
EL CENTRO
47
-60 0 60
0 10 20 30 40 50
-60 0 60
0 10 20 30 40 50
-60 0 60
0 10 20 30 40 50
-60 0 60
0 10 20 30 40 50
-60 0 60
0 10 20 30 40 50
-60 0 60
0 10 20 30 40 50
-100 -50 0 50 100
-60 0 60
-100 -50 0 50 100
-60 0 60
-100 -50 0 50 100
-60 0 60
図
2.5.10
重量を1/2
にした場合の応答結果の比較(a1) EL CENTRO 950cm/s
2入力(a2) TAFT 850cm/s
2入力(a3) HACHINOHE 550cm/s
2入力(a)
復元力応答の軌跡の比較δ (cm) δ (cm) δ (cm)
Q(kN) Q(kN) Q(kN)
M=980kN
M=490kN
(b)変位応答および絶対速度応答の時刻歴 (b1) EL CENTRO 950cm/s
2入力(b2) TAFT 850cm/s
2入力(b3) HACHINOHE 550cm/s
2入力 変位(cm)時刻(s)
変位
(cm)
変位(cm)
時刻(s)
時刻(s)
時刻
(s)
時刻(s)
時刻(s) 変位(cm)
変位(cm) 変位
(cm)
M=980kN M=980kN
M=490kN
M=490kN
M=980kN
M=980kN
M=980kN M=490kN
M=490kN
M=490kN
48 0
200 400 600 800 1,000
0 5 10 15 20
Q(kN)
δ (cm)
0 200 400 600 800 1,000
0 5 10 15 20
Q(kN)
δ (cm) 2.6
傾斜復元力と建物周期2.6.1
唐招提寺金堂写真
2.6.1
に示される唐招提寺金堂は現存する奈良時代唯一の仏堂であり,8 世紀末の建立後,鎌倉時代,江戸時代および明治時代に解体修理がなされてきた 23。明治の改修から
100
年を経て1998
年から2009
年にかけて平成の解体修理が行われた。外観からは大きな破損が生じていない ように見えるが,平成の修理では柱の内転びや軒先の垂下などの構造的な問題を解決することが 大きな課題となっている 24。唐招提寺金堂の保存修理のための構造解析・補強設計の一環として,常時微動測定を行った 25。国宝を初めとする重要文化財では,実際の建物加振や不測の地震観測 は行い難いため,常時の微小な揺れを測定することで建物および地面の揺れ方を推定する常時微 動測定が,地震に対する建物特性をつかむ有効な手法となっている26,27。
写真
2.6.1
平成の解体修理前の唐招提寺金堂図
2.6.1
解体修理前の唐招提寺金堂の耐力柱および壁の負勾配部分は耐力を低減させて 完全塑性にモデル化している。
梁行(短辺)方向 桁行(長辺)方向
合計
柱
壁 貫
合計
柱
壁
板壁 貫
49
唐招提寺金堂は図
2.6.1
に示されるように,地震時の主たる耐力要素として柱の傾斜復元力が7
割 と大半を占めているので,傾斜復元力と建物周期の関係について常時微動計測に基づいて考察す ることができる。まず常時微動測定によって唐招提寺金堂および周辺地盤の振動特性を検討し,北面側の調査足場を利用して行った人力加振から建物減衰定数の評価も併せて行う。さらに測定 周期を既往の伝統木造建築の微動周期と比較し,柱の傾斜復元力と建物周期の関係について考察 を加えることとする
2.6.2
常時微動測定平成
11
年1
月12,13
日に行った測定位置を図2.6.2
に示す。建物は基壇・天井・屋根・屋根トラスの
4
つのレベル12
点,地盤では鐘楼前・南大門前・駐車場の3
点,計15
点のいくつかを組み合わ せて同時測定した。測定記録例として図2.6.3
に建物最上部の小屋組みトラス下弦材位置での平面 軌跡を示す。ミリカイン
-4 -3 -2 -1 1 2 3 4
東
西
北
南
ミリカイン
0 1
2 3 4
0 -1 -2 -3 -4
図
2.6.3
屋根トラス位置速度記録の平面軌跡図
2.6.2
唐招提寺金堂常時微動測定位身舎柱
側柱
尾垂木 大虹梁
3,290 8,060 3,290
14,635
4, 7 20 5, 6 60
15, 66 0
礼 堂 桔木
地垂木
南大門 駐車場
鐘楼
金堂 講堂 屋根トラス
屋根
天井・大虹梁
基壇
(a)
建物(12点)(b)
周辺地盤(3点) 平面梁行断面
(寸法は mm)
鼓楼
経蔵 宝蔵 北
北
来迎壁
50
固有周期と併せて,速度波形のフーリエ振幅と位相から作成したモード図を図
2.6.4
に示す。壁 の少ない梁行周期が0.91
秒と比較的長く,微動振幅も梁行が桁行に比べて4
倍程度となっている。また北側に偏芯した来迎壁のため,南の吹放し柱列側が振られる捩れモード(0.83秒)や天井平面が せん断変形するモード(0.32秒)も見られる。
周辺地盤では
3
地点とも卓越周期は,水平(南北,東西)で3, 2, 0.3
秒,上下で2, 0.3, 0.25
秒 であり,スペクトルのピーク値もほぼ同程度であった。図2.6.5
は鐘楼前の水平(南北方向)と上 下の解析結果を大阪市の地盤での例と合わせて示す。常時微動卓越周期の中で,2 および3
秒の 長い成分は,地下数百メートルの深い地盤構造によるものであり,0.3
秒の短い成分は地下数十メ ートルまでの浅い地盤構造によるものである。図
2.6.4
唐招提寺金堂の常時微動固有モード中央断面
1.73
1.87
1.09
1.63 1.02
0.18
0.00
0.08
0.03 1.73 1.48 1.33
速度振幅
(
ミリカイン)
0.13
0.18
1
次:0.91秒 梁行方向中央断面
0.52
0.49
0.49 0.19
0.18
0.19
0.19 0.34
0.36
0.35 0.49 0.52
3
次:0.63秒 桁行方向 東端断面0.25
0.68
0.71 0.11
0.56
0.54
0.58 0.06
0.37
0.58 0.71
2
次:0.83秒 ねじれ 来迎壁0.03
0.21
0.22 0.09
0.12
0.11
0.14 0.14
0.15 0.12 0.14
4
次:0.32
秒 天井面内せん断東端断面 中央断面 東端断面
小屋組
屋根
天井
小屋組
屋根
天井
小屋組
屋根
天井 小屋組
屋根
天井
0 2 4 6 8 10
振動数(Hz)
フーリエ振幅(
ミリカイン)
0.325Hz(3.1
秒)フーリエ振幅 (ミリカイン)
4.000 2.950Hz(0.3
秒)
0.500 Hz 3.050
0.475Hz(2.1
秒) 地盤水平方向 地盤上下方向唐招提寺地盤
大 阪 市 中 央 区 地 大阪市中央区地盤
唐招提寺地盤
図
2.6.5
地盤の卓越振動数0.2
0.1
0.0
0.2
0.1
0.0
0 2 4 6 8 10
振動数(Hz)51
この特性は,図
2.6.5
に比較されるように大阪市の地盤でも同様である。ただし水平成分につ いては,唐招提寺では大阪市内と比べて,環境がはるかに静かであり,交通振動などの短周期振 動源が小さいためか,比較的に長周期成分の卓越具合が大きくなっている。2.6.3
人力加振による減衰定数の評価建物梁行方向振動および桁行方向振動が卓越する時の,微小振幅時の建物減衰定数を求めるた
め,写真
2.6.2
のように,調査足場を利用して,建物固有周期のピッチに合わせて外部尾垂木木口または肘木を人力で加振した。図
2.6.6
のように,ある程度共振振幅を増加させた後,加振を停止 しその後の自由振動波形から図2.6.7
の方法で減衰定数h
を求めると,梁行方向で2.2 %,桁行方
向で
3.0 %であった。比較のため,一般に用いられる伝達関数の回帰解析によって減衰を求めると,
表
2.6.1
にまとめられるように,それぞれ1.7 %, 1.9%であった。
写真
2.6.2
人力加振風景図
2.6.6
人力加振天井位置での速度波形200 0 -200
速度振幅(ミリカイン)
0 5 10 15 20 25 30
時間(秒) 梁行方向 加振停止
減衰
2.2%
加振 自由減衰振動
100 0 -100
0 5 10 15 20 25 30
時間(秒) 梁行方向 減衰
3.0%
速度振幅
(
ミリカイン)
加振 加振停止 自由減衰振動
52
2.6.4
古代寺社建築の固有周期伝統的木造建築の常時微動計測による固有周期を,既往の文献 26,27から周期と高さの関係とし て,唐招提寺金堂の結果も併せて図
2.6.8
にまとめる。便宜的に高さは屋根棟の高さを用いている が,壁率や建物の長短比,高さと短辺長との関係から分析するほうが,より良い相関が求められ るものと思われる。唐招提寺金堂梁行方向の固有周期は他の同規模の伝統的木造建築の周期と比べて
1.5
倍と,かな り長いと言える。これは独立柱の存在,木組みの緩みや土壁が少ない構造である結果と考えられ る。h=(1/2π) log
e(y
1/y
2)=(1/2π) log
e(y
2/y
3)=
・・・図
2.6.7
減衰波形を用いた減衰定数の推定(梁行方向)0 25 50 75 100 125
速度振幅(ミリカイン) y2
,y
3,y
4,…
速度振幅