• 検索結果がありません。

2000年 6月27日

ドキュメント内 伝統的木造建築物の耐震設計法に関する研究 (ページ 101-105)

初期変位

8.815mm

除荷開始直前

2045日目 41.97mm

除荷作業終了

2045日目 36.47mm

再載荷開始直前

2083日目 31.64mm

再載荷開始終了

2085日目 38.00mm

振動台実験に使用 するために中断

97

写真

3.3.1

3

年後の試験体の状況である。各部のクリープの変化を図

3.3.3

に示す。大斗の変

形はクリープが進んだ段階では全体の

30%前後である。図で分かるように,載荷初期では大斗の

変形は全体の

1/10

以下となっている。鉛直載荷試験でなじみ変形を除いた沈下量が

6.5mm

である ので,大斗ではその

1/10

である

0.65mm

程度以下となる。これは(3.2.8)式で大斗の変形を

Steinbrenner

式で

0.496mm

としたこと対応するものと考えることができる。

写真

3.3.1 3

年経過時の試験体状況

(a)試験体北面

右(西)側に若干傾いている

(b)巻斗の割れ

全体の傾きの影響で通し肘木を受 ける部分に曲げが働いて,巻斗にひ び割れが生じている。

(c)大斗の割れ

(d)方斗尻の沈み込み

3.3.3

各部の変形

0 200 400 600 800 1000 1200

経過時間

(

)

変位増分量(mm)

0 5 10 15 20 25 30 35

1

年目

2

年目

3

年目

試験体頂部

試験体頂部

方斗位置

下桁位置

全体の 大斗位置

24%

全体の 65%

全体の 66%

全体の 27%

全体の 28%

全体の 66%

大斗 下桁 方斗 29.36mm

19.32mm

8.08mm

98

3.3.4

めり込みクリープ変形の予測式

一般に木材のクリープ変形と経過時間の関係は(3.3.1)式で表現される12が,部分圧縮について もこの式が成立すると仮定して考察する。

𝛿

𝛿

0

1 + 𝑎

𝛿

0

𝑡

𝑁

(3.3.1)

ここで,

δ

:全体変形,

δ

0:初期変形,t:経過時間(日)

aN:定数

以下では

δ

0=8.815mmである。(3.3.1)式を対数表示すれば,

∆= 𝐴 + 𝑁𝑇 (3.3.2)

ここで

∆= log � 𝛿

𝛿

0

− 1� , 𝐴 = log 𝑎

𝛿

0

� , 𝑇 = log(𝑡) (3.3.3)

3.3.4

は縦軸に相対クリープ増分(δ/δ0-1),横軸に時間

t

をそれぞれ対数にして結果を示した

ものである。(3.3.1)式が成立するとすれば,勾配が

N

なる右上がりの直線部分が現れることにな る。ここでは実験結果より直線部分を抽出し,その区間毎に回帰分析を行なう。対象として表

3.3.1

のような

4

つの区間に着目した。

なお高温のための含水率減少による変形であるメカノソープティブ変形が発生してから周期 的な変位増減が始まったとみられる

550

日目頃までの間は変形性状が不安定であるので検討の対 象から外した。変位の変動が季節の気候変動と対応していることから,550 日以降の回帰分析の 対象期間は

1

年またはその整数倍とすることが望ましい。そこで区間③として

1

年半から

2

年半 の

1

年を設定している。

推定結果を表

3.3.1

に示した。区間①または②の測定結果をもとに回帰式を求めると変位増加 の割合が非常に大きくなり、現実的な結果にならない。このことは部分圧縮に関するクリープ実 験では実験期間が

1

年以下のデータではクリープ変形の将来予測ができないことを示している。

区間③および④の回帰分析結果をもとに

100

年目の全体変形量

δ

100を計算すると,

区間③の結果より:

δ

100=46.10mm(相対クリープ=5.23)

区間④の結果より:

δ

100=43.18mm(相対クリープ=4.90)

この解析結果によれば、載荷

4

年目で

100

年目の変位の約

90%に達していることになる。

区間③の結果によるクリープ推定曲線を図

3.3.5

に示す。予測式は,

a/δ

0

=19.386/8.815=2.20,

N=0.062

であるので,

𝛿

𝛿

0

1 + 2.20𝑡

0.062

(3.3.4)

実験で得られたクリープ変形曲線を用いると,唐招提寺金堂におけるクリープ変形を図

3.3.6

および図

3.3.7

のように予測することができる。ここで,垂木の垂下は,曲げクリープによるも

のであるので,曲げクリープについては,既往の文献を参考にしている。

3.3.6

は, 100年後に,斗組の縮みは当初の

5.2

倍,垂木のたわみは

2.6

倍になること,解

体によって変形は,垂木のたわみで

6

割(2.6が

1.0

に),斗の縮みで

2

割(5.2が

4.2

に)が

1

年で 回復することを示している。

99 0.01

0.1 1 10

0.01 0.1 1 10 100 1000 10000

0 1 2 3 4 5 6 7

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000

3.3.1

クリープ予測式のパラメータ

回帰分析期間 データ数 係数

a

指数

N

相関係数

R

回帰区間①

11

~70

60 1.018 0.6042 0.998

回帰区間②

70

日~367

167 3.122 0.3408 0.993

回帰区間③

549

日~913

53 19.386 0.0623 0.434

回帰区間

4 549

~1277

79 15.147 0.1004 0.676

経過時間

t(日)

3.3.4

実験測定結果の対数グラフ

δ/δ

0

-1

区間①

11-70

区間②

70-367

区間④

549-1095

区間③

549-913

各区間

勾配

3.3.5

区間③データのよるめり込みクリープの推定

経過時間

t(

)

変形増大率

実験 推定式③

100 0

1 2 3 4 5 6 7

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200

0 1 2 3 4 5 6 7

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500

3.3.7

は過去の修理履歴を想定して計算したもので,1200年後の変形のうち,斗組では

4.9/5.9=83%,垂木では 2.6/3.6=72%がクリープによるものである。解体のたびに垂木のクリープ

変形は回復するが,荷重がかかると数年で変形が進むことになる。また,斗のクリープは回復し ないといわれている。図

3.3.7

1200

年前の新材について

1500

年間の変形を予測したものであ る。平成の解体では,古材では,荷重載荷後

300

年間の変形の増加として,図の

1200

年から

1500

年の変化として,斗組では

5.94

から

6.01

と,垂木では

3.63

から

3.77

とわずかである。一方新し い材では,

0

年から

300

年の変化に対応するので,斗組では

1.0

から

5.5

と,垂木では

1.0

から

3.0

ときわめて大きく増加する。したがって,新材と古材を併用する場合は,クリープ性状の差異に 十分に注意して,組み合わせを考えることが重要となる8

3.3.6 100

年間のクリープ変形の予測

3.3.7 1500

年間のクリープ変形の予測

100年間の変形の様子

荷重をなくしてからの100年間

当初を

1

とした変形の大きさ

当初を

1

とした変形の大きさ 斗のめりこみ

垂木のたわみ

100年で当初の5.2倍

100年で当初の2.6倍

当初の変形を

1

とする

100年経た後で荷重をなくし

た場合の変形の回復具合

5.23

2.63

ドキュメント内 伝統的木造建築物の耐震設計法に関する研究 (ページ 101-105)