初期変位
8.815mm
除荷開始直前
2045日目 41.97mm
除荷作業終了
2045日目 36.47mm
再載荷開始直前
2083日目 31.64mm
再載荷開始終了
2085日目 38.00mm
振動台実験に使用 するために中断
97
写真
3.3.1
は3
年後の試験体の状況である。各部のクリープの変化を図3.3.3
に示す。大斗の変形はクリープが進んだ段階では全体の
30%前後である。図で分かるように,載荷初期では大斗の
変形は全体の1/10
以下となっている。鉛直載荷試験でなじみ変形を除いた沈下量が6.5mm
である ので,大斗ではその1/10
である0.65mm
程度以下となる。これは(3.2.8)式で大斗の変形をSteinbrenner
式で0.496mm
としたこと対応するものと考えることができる。写真
3.3.1 3
年経過時の試験体状況(a)試験体北面
右(西)側に若干傾いている(b)巻斗の割れ
全体の傾きの影響で通し肘木を受 ける部分に曲げが働いて,巻斗にひ び割れが生じている。
(c)大斗の割れ
(d)方斗尻の沈み込み
図
3.3.3
各部の変形0 200 400 600 800 1000 1200
経過時間
(
日)
変位増分量(mm)0 5 10 15 20 25 30 35
1
年目2
年目3
年目試験体頂部
試験体頂部
方斗位置
下桁位置
全体の 大斗位置
24%
全体の 65%
全体の 66%
全体の 27%
全体の 28%
全体の 66%
大斗 下桁 方斗 29.36mm
19.32mm
8.08mm
98
3.3.4
めり込みクリープ変形の予測式一般に木材のクリープ変形と経過時間の関係は(3.3.1)式で表現される12が,部分圧縮について もこの式が成立すると仮定して考察する。
𝛿
𝛿
0= 1 + 𝑎
𝛿
0𝑡
𝑁(3.3.1)
ここで,
δ
:全体変形,δ
0:初期変形,t:経過時間(日)a , N:定数
以下ではδ
0=8.815mmである。(3.3.1)式を対数表示すれば,∆= 𝐴 + 𝑁𝑇 (3.3.2)
ここで
∆= log � 𝛿
𝛿
0− 1� , 𝐴 = log � 𝑎
𝛿
0� , 𝑇 = log(𝑡) (3.3.3)
図
3.3.4
は縦軸に相対クリープ増分(δ/δ0-1),横軸に時間t
をそれぞれ対数にして結果を示したものである。(3.3.1)式が成立するとすれば,勾配が
N
なる右上がりの直線部分が現れることにな る。ここでは実験結果より直線部分を抽出し,その区間毎に回帰分析を行なう。対象として表3.3.1
のような4
つの区間に着目した。なお高温のための含水率減少による変形であるメカノソープティブ変形が発生してから周期 的な変位増減が始まったとみられる
550
日目頃までの間は変形性状が不安定であるので検討の対 象から外した。変位の変動が季節の気候変動と対応していることから,550 日以降の回帰分析の 対象期間は1
年またはその整数倍とすることが望ましい。そこで区間③として1
年半から2
年半 の1
年を設定している。推定結果を表
3.3.1
に示した。区間①または②の測定結果をもとに回帰式を求めると変位増加 の割合が非常に大きくなり、現実的な結果にならない。このことは部分圧縮に関するクリープ実 験では実験期間が1
年以下のデータではクリープ変形の将来予測ができないことを示している。区間③および④の回帰分析結果をもとに
100
年目の全体変形量δ
100を計算すると,区間③の結果より:
δ
100=46.10mm(相対クリープ=5.23)区間④の結果より:
δ
100=43.18mm(相対クリープ=4.90)この解析結果によれば、載荷
4
年目で100
年目の変位の約90%に達していることになる。
区間③の結果によるクリープ推定曲線を図
3.3.5
に示す。予測式は,a/δ
0=19.386/8.815=2.20,
N=0.062
であるので,𝛿
𝛿
0= 1 + 2.20𝑡
0.062(3.3.4)
実験で得られたクリープ変形曲線を用いると,唐招提寺金堂におけるクリープ変形を図
3.3.6
および図
3.3.7
のように予測することができる。ここで,垂木の垂下は,曲げクリープによるものであるので,曲げクリープについては,既往の文献を参考にしている。
図
3.3.6
は, 100年後に,斗組の縮みは当初の5.2
倍,垂木のたわみは2.6
倍になること,解体によって変形は,垂木のたわみで
6
割(2.6が1.0
に),斗の縮みで2
割(5.2が4.2
に)が1
年で 回復することを示している。99 0.01
0.1 1 10
0.01 0.1 1 10 100 1000 10000
0 1 2 3 4 5 6 7
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000
表
3.3.1
クリープ予測式のパラメータ回帰分析期間 データ数 係数
a
指数N
相関係数R
回帰区間①11
日~70
日60 1.018 0.6042 0.998
回帰区間②70
日~367日167 3.122 0.3408 0.993
回帰区間③549
日~913日53 19.386 0.0623 0.434
回帰区間
4 549
日~1277
日79 15.147 0.1004 0.676
経過時間
t(日)
図
3.3.4
実験測定結果の対数グラフδ/δ
0-1
区間①
11-70
日区間②
70-367
日区間④
549-1095
日 区間③549-913
日 各区間勾配
図
3.3.5
区間③データのよるめり込みクリープの推定経過時間
t(
日)
変形増大率実験 推定式③
100 0
1 2 3 4 5 6 7
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200
0 1 2 3 4 5 6 7
0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 1500
図
3.3.7
は過去の修理履歴を想定して計算したもので,1200年後の変形のうち,斗組では4.9/5.9=83%,垂木では 2.6/3.6=72%がクリープによるものである。解体のたびに垂木のクリープ
変形は回復するが,荷重がかかると数年で変形が進むことになる。また,斗のクリープは回復し ないといわれている。図
3.3.7
は1200
年前の新材について1500
年間の変形を予測したものであ る。平成の解体では,古材では,荷重載荷後300
年間の変形の増加として,図の1200
年から1500
年の変化として,斗組では5.94
から6.01
と,垂木では3.63
から3.77
とわずかである。一方新し い材では,0
年から300
年の変化に対応するので,斗組では1.0
から5.5
と,垂木では1.0
から3.0
ときわめて大きく増加する。したがって,新材と古材を併用する場合は,クリープ性状の差異に 十分に注意して,組み合わせを考えることが重要となる8。図
3.3.6 100
年間のクリープ変形の予測図
3.3.7 1500
年間のクリープ変形の予測100年間の変形の様子
荷重をなくしてからの100年間当初を
1
とした変形の大きさ当初を
1
とした変形の大きさ 斗のめりこみ垂木のたわみ