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63 (3)大斗固定水平載荷実験

大斗の回転を治具で拘束することで水平載荷時の枠肘木上部の巻斗,方斗の回転を顕著に生じ させ,その回転剛性の評価に資するデータを得る。但し,試験体の損傷を防ぐため,水平載荷 は低いレベルで終了する。載荷は鉛直載荷と繰り返し水平載荷を同時に行なうが,鉛直荷重は 水平載荷中一定となるように載荷する。鉛直荷重の大きさは身舎柱,側柱に於ける長期設計軸 力とし,26t(255kN) と

17t(167kN)

2

ケースについて実験を行なうものとする。

(4)大斗ダボ木材内固定水平載荷実験

この一連の実験の中で最も重要なものであり,表

3.2.1

に示されるように,「大斗ダボ木材内固 定」であるが「大斗回転自由」とし,「鉛直載荷+繰り返し水平載荷」という載荷条件で本実 験の主要な目的に対応した条件を設定している。載荷は鉛直載荷と繰り返し水平載荷を同時に 行なうが,鉛直荷重は水平載荷中一定となるように載荷し,

26t(255kN)

17t(167kN)の2ケー

スについて実験を行なうものとする。ここでは試験体全体及び各部の挙動を把握し,構造設計 に資する各種データを得る。

(5)大斗ダボ鋼材内固定水平載荷実験

大斗下のダボを直接厚さ 80 mm の台盤(鋼材)に固定した場合の実験である。このダボの固定 方法以外は総て実験(4)と同じ条件である。実験(4)との比較により,大斗下のダボの固定条件 の違いが試験体の挙動に及ぼす影響を把握する。

大斗下のダボは実際には厚さ 15 mm の鋼板を間にはさんで,大斗と頭貫を結合している。試 験体では 15 mm の鋼板の下は厚さ 80 mm の台盤(鋼板)であるが,実験条件をできるだけ実際と 同じものにするという観点から,ダボ回りには頭貫に相当する木材を使用することとし,これを 鋼板内に埋め込んで固定し,その木材に穴をあけてダボを打ち込んだ。ダボを打ち込む木材を台 盤に固定した状況は写真

3.2.1

に示す。ここで使用している石膏は,実験用の高強度のものであ

る。表

3.2.1

に示すように鉛直載荷実験,偏心載荷実験,大斗固定水平載荷実験,大斗ダボ木材

内固定水平載荷実験の

4

実験は上記のダボ固定条件にて実施する。一方,大斗ダボ鋼材内固定水 平載荷実験はダボを台盤(鋼材)に直接固定した条件で実施するもので,写真

3.2.2

にその固定状 況を示す。

3.2.1

実験の概要

大 斗 ダ ボ 固 定 方 法 大 斗 拘 束

1

鉛直載荷実験

木 板

(

厚さ

80

mm

)

内の

φ62.5mm

の穴に打ち込み

固定

回転自由 鉛直載荷

2

偏芯載荷実験 偏芯鉛直載荷

3

大斗固定水平載荷実験 固定

鉛直載荷+

繰り返し水平載荷

4

大斗ダボ木材内固定水平載荷実験

回転自由

5

大斗ダボ鋼材内固定水平載荷実験

鋼 板

(厚さ 80mm)

内の

φ65mm

の穴に石膏充填

固定

64

3.2.2

試験体の概要

試験体は金堂の柱頂部に載る斗組の

1

段分を取り出した形のもので,実大寸法のもの

1

体であ る。樹種はヒノキ(三重県産)である。試験体の形状寸法を図

3.2.3

に示す。試験体は写真

3.2.3

に 示すように大斗,枠肘木,巻斗,方斗,通し肘木,円形鋼板等によって構成されており,全長 1,595

mm,幅 750 mm,高さ 970 mm

である。大斗は樹齢約 130 年のヒノキから切り出している。巻

斗,方斗と枠肘木の間及び大斗とその下の固定部(柱頭に相当)の間にはそれぞれ以下の寸法のダ ボが打たれている。

・巻斗,方斗と枠肘木の間のダボ : 直径 45 mm,長さ 60 mm

・大斗と固定部の間のダボ : 直径 63 mm,長さ 115 mm

ダボも総てヒノキである。ダボ穴の直径はダボ自体の直径とほぼ等しいが,そのはめ込み度合 は,木槌で軽く叩いて納まる程度である。組立状況を写真

3.2.4

に示す。

3.2.2

実験の内容

No.

鉛直載荷

鉛直荷重 偏心荷重

No.2

偏心載荷

木板

一定鉛直荷重

No.3

大斗固定 左右

繰返し

No.4

木板ダボ水平載荷

一定鉛直荷重

左右 繰返し

木板

No.5

鉄板ダボ水平載荷 左右

繰返し

一定鉛直荷重

鉄板

写真

3.2.1

大斗ダボ固定部(木材の場合)

木材と台盤の間の隙間に石膏を充填して一体化

写真

3.2.2

大斗ダボ固定部(鋼材の場合)

鋼材と台盤およびダボの間の隙間に石膏を充填 して一体化

65

また,大斗下のダボについては,固定部の台盤(厚さ 80 mm の鋼板)に埋め込んだ木材(実際の 木組みの頭貫に相当:寸法 238×238×80 mm)に取付るケースと,台盤に直接取付るケースの2 通りを考え,それぞれ同じ条件で実験を行なう。この時,大斗内へのダボの埋め込み深さは両方 のケースともに同じ 45 mm としている。 なお,円形鋼板には中央に 75 mm 角の正方形の穴が あけられており,ダボには接触しない。

試験体が実験場(竹中技術研究所)に到着した日(1999年

12

月 6日)及び実験終了後の試験体解体 時(12月 27日)に各部の表面含水率を高周波式(接触式)測定器を用いて測定した。その測定結果

を表

3.2.2

に示す。数値は数ケ所の測定値の平均である。試験体は実験場到着後,梱包を解いた

直後からひび割れの小さな発生音が聞かれ,到着の次の日には各部材の木口面に細かな乾燥ひび 割れが多数発生した。これらのひび割れは到着直後には殆ど認められなかったものである。12月

6

日の測定値は梱包を解いてから 7 ~8 時間経過した時のもので,梱包を解いた直後はこれより 高い値であったと考えられる。通し肘木と枠肘木では実験開始までの

4

日間で軸方向の横ひび割 れが発生した。

3.2.2

試験体各部の含水率

含水率の単位:%

測定日 経過日数 通し肘木 巻斗(西) 巻斗(東) 方斗 枠肘木 大斗

99/12/6 0

32.4 22.0 23.5 26.0 29.3 33.5

99/12/27 21

24.9 15.5 16.3 17.5 21.8 23.8

3.2.3

試験体寸法

955

1,580 210

38 242 125 250 210

1,193

50 45 15

238

80

750

238

645 606 210

210 5

5 238

φ545

606

正面

大斗上端 側面

大斗下端 大斗断面

巻斗下端

210

220

8

63

50

97 412 97

100 160 130 290 390

φ63

412

412

606

606

333

5 5 61. 5 61. 5 210 333

173 72 78 95 245

30

45

60.5 60.5 212

212

212

φ45

333

303

巻斗上端

巻斗断面 木ダボ

鉄板内へ木板を 組み込む

または鉄板のまま 鉄板

t=80

鉄板

t=15

寸法単位

mm

66

写真

3.2.3

試験体 組立前各部材

大斗敷面 大斗尻面

通肘木とダボ 枠肘木 巻斗と方斗

実験装置台座

①ダボ受材と鉄板取付 ②大斗下ダボ取付

③大斗取付 写真

3.2.4(a)

試験体の組立

1

67

3.2.3

実験装置と載荷方法

3.2.4

に大斗回転載荷実験装置構成を示す。同図 に対応する実際の装置構成を写真

3.2.5

に示

す。偏心載荷実験における鉛直載荷装置のセット状況を写真

3.2.6

に,大斗固定治具の取付状況

を写真

3.2.7

に示す。鉛直載荷実験と偏心載荷実験を除いて,載荷は一定の鉛直荷重を試験体頂

部中央に作用させながら左右2台のジャッキを押しのみ交互に使うことで繰り返し水平載荷を行 なう。この時水平載荷に伴い試験体頂部が移動するので,鉛直載荷用ジャッキの上端(載荷フレー ム側)がローラーにより滑る構成とした。水平載荷用ジャッキと試験体との接点には球面座を設け,

圧縮加力時のみ両者が接触するようになっている。なお,試験体の面外への倒れを防ぐために通 し肘木両端にキャタピラー型の倒れ止めを設けている。

大斗ダボ木材内固定水平載荷実験,大斗ダボ鋼材内固定水平載荷実験の

2

つの実験では,試験 体の復元力特性を把握するために,以下の項目に関するデータが得られるような載荷プログラム とした。

(1)包絡線(スケルトンカーブ) (2)非線形領域に於ける履歴ループ (3)等価粘性減衰定数

(4)同一変位振幅に於ける繰り返しによる耐力低下度

水平載荷は,柱天端(頭貫上面)に相当する台盤上面から通し肘木中心までの高さ

H

に対する通 し肘木中心高さに於ける水平変形量δの比,即ち斗組試験体全体の水平変形角

R(=δ/H)による変

位制御で行なう。ここで高さHは鉛直載荷を受けた状態での値を用い,総ての実験で一律

841mm

写真

3.2.4(b)

試験体の組立

2

④枠肘木取付 ⑤斗下ダボ取付 ⑥巻斗・方斗取付

⑦通し肘木取付 ⑧取付 大斗・枠肘木取合

68

とした。各加力サイクル毎に同じ変位振幅を

2

回ずつ繰り返して定常ループとし,上記(3),(4)に 対応するデータを取得する。

鉛直載荷は,柱位置(身舎柱,側柱)により異なる実際の応力を考慮し,構造解析により求めら れた各々の長期設計軸力

26t(255kN),17t(167kN)を鉛直荷重として設定した。この鉛直荷重は水平

載荷中一定となるように制御する。図-2.4.2 に載荷プログラムを示す。履歴は変位振幅のレベル に応じて第

1~第 3

ステージに分類した。各々のステージで

2

通りの鉛直荷重に対する水平載荷 を行なう。

なお,大斗固定水平載荷実験では後に続く大斗ダボ木材内固定水平載荷実験のため,試験体に 損傷を与えないように配慮し,変形角が±1/1000 rad までの範囲で水平載荷を行なうこととした。

写真

3.2.5

実験装置全景

3.2.4

実験装置構成(大斗回転水平繰り返し載荷)

ダボ φ63 長さ

115

木板または鋼板

238×238

厚さ

80

鋼板

φ478

厚さ

15

台盤

1500×1200

厚さ

80

通肘木

210×250

長さ

1595

ロードセル 油圧ジャッキ 油圧ジャッキ

50/28ton×50cm

1510