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Fast-Slow 2 次元ダイアグラムの特性

ドキュメント内 ] 博士論文、修士論文 uchiyama mron osx (ページ 55-59)

図6.10にW33 のエネルギー分解能を図示する。γ線エネルギーの吸収場所による蛍光収量の 違いにより∝P H0.5 が成り立っていない。

Figure 6.9: BGO エネルギー波高値関係

(W33) Figure 6.10: BGOエネルギー分解能(W33)

6.5 Fast-Slow 2 次元ダイアグラムの特性

6.5.1 GSO/BGO直線の拡がり

Fast-Slow 2次元ダイアグラムにおいてGSO事象はある直線上に分布する。一方BGO事象は別

の、より傾きの大きい直線上に分布し、そして GSO-BGOコンプトン事象はその2直線の間に分

布する(図6.11)。従ってこの2次元ダイアグラム上においてGSOでのみエネルギーを吸収され

たような事象を弁別することができる。GSO/BGO直線はその直交方向に有限の拡がりを持つの で、事象の選別は完全には遂行できず、正規の事象(GSO事象)と判定した事象の中にBGO事 象やコンプトン事象の洩れ込みが生じてしまう。特に低エネルギー側ではGSO/BGO直線が接近 するために注意で必要である。

失われるGSO事象を最小限にしつつバックグラウンド事象の洩れ込みを最小限にするような 2次元上のある領域をGSO事象として取り出すことが求められる。ここではGSO/BGO直線の 直交方向の拡がりの定式化を行ない、較正実験で得られたデータの解析から拡がりのパラメータ を求める。

単色γ線に対する Fast/Slow 整形した波高値 P HF ast/Slow から次の量を定義する。ただし

P HF ast/Slow のペデスタルは引いてあるものとする。

F ≡ P HF ast (6.9)

δF ≡ P HF ast−P HF ast (6.10)

S ≡ P HSlow (6.11)

δS ≡ P HSlow−P HSlow (6.12)

H ≡ pF2+S2 (6.13)

δw ≡ 1

H(F δS−SδF) (6.14)

すなわちF は単色γ線に対する Fast整形波高値の分布(ガウシアンで表される)の中心であり、

δF の2乗平均 (∆F)2 がその分布の分散である。δwがここで問題としている直線の拡がりを表 す量である。

つぎに P HF ast とP HSlow の関係を

P HF ast =κP HSlow (6.15)

56 CHAPTER 6. HXD最終全系試験

Figure 6.11: Fast-Slow 2次元ダイアグラムの摸式図

とする。P HSlow と κ は独立だと仮定すれば、

µ∆F F

2

= µ∆κ

κ

2 +

µ∆S S

2

(6.16) この式はκの揺らぎでFast整形の悪い分解能を表現している。さらに

δF δS = (κδS+Sδκ)δS =κ(δS)2 (6.17) とすると、

(∆w)2≡(δw)2 = µF S

H

2( µ∆F

F

2 +

µ∆S S

2

−2δF δS F S

)

(6.18)

= µF S

H

2( µ∆F

F

2

µ∆S

S

2)

(6.19)

= µF S

H

2µ∆κ κ

2

(6.20) κ の揺らぎが直線の拡がりと直接的に対応していることになり、それはFast とSlow の分解能の 差を反映している。そして、Fast/Slow 分解能が P H0.5 に比例するならば、直線の拡がり ∆w はP H0.5 に比例する。

実際に今回の較正実験で得られている2次元ダイアグラムでこのことを検証してみよう。まず GSO直線について調べる。ある単色γ線に対応するGSO直線上の楕円領域を2次元ダイアグラ ムから抜きだし、それぞれの事象に対して δwを計算する。δwの分布をガウシアンでフィットし て分散 (∆w)2 を求めた。一方で前に得た Fast/Slow の分解能の値から (6.19)を用いてδw の分 散を計算した。W30/33に関する結果を 図6.12に示す。実測の直線の拡がりは確かに P H0.5

6.5. FAST-SLOW 2次元ダイアグラムの特性 57

(a) W33の実測値および分解能からの計算値 (b) W30の実測値

Figure 6.12: GSO直線の拡がり

Figure 6.13: BGO直線の拡がり

比例していることが確認できる。また分解能から計算した値ともおよそ一致し、ここでの議論を 裏付ける結果が得られた。511 keV に対する計算値が小さくなっているのは、波高値の上限を越 えたことを示すUD(Upper Discriminator)フラグによって切られてしまい、見かけ上分散が小 さくなってしまったことによると考えられる。

次にBGO直線の拡がりを求める。方法はGSOのときと全く同じであるが、用いることので きるデータはGSOと比べて乏しい。その結果を 図6.13 に示す。2点であるが、その間はおよそ

∝P H0.5 で結ぶことがきる。

6.5.2 2次元ダイアグラムでの領域選択

GSO/BGO直線の垂直方向への分散が求められたので、それを用いて2次元ダイアグラム上でど

の領域をGSO事象として選択するべきかを決めることができる。GSO事象は、単色γ線に対す る全吸収ピークが、

F =κS (6.21)

の直線上に分布し、その垂直方向への拡がりは√

S に比例した分散のガウシアンでよく表すこと ができる。したがって、そのを比例係数 α とすると、

∆w=α√

S (6.22)

58 CHAPTER 6. HXD最終全系試験 となる。2次元ダイアグラム上での事象選別として、点(P HF ast, P HSlow) の(6.21)直線からの垂 直方向へのずれ δwが、

δw≤σ∆w (6.23)

であるという条件を課す(図6.5.2)。例えば、σ = 2 なら95.4%、σ = 3なら 99.7%の全吸収事 象を選択することができ、この割合はエネルギーに依存しない。σ を小さくするほど、コンプト ン事象などの洩れ込みを抑えることができるが、一方で正規の事象も落してしまうので、その兼 ね合いで決められることになる。この条件を(P HF ast, P HSlow) を用いて記述すれば

(κP HSlow−P HF ast)2≤(σα)2(κP HF ast+P HSlow) (6.24) となる。

Figure 6.14: 選択する2次元領域(σ= 2)

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