作成した質量模型とGeant4が提供する関数群を用いることで、入射γ線光子と検出器の構成物質 との相互作用、2次粒子の生成、各粒子の輸送をシミュレートできる。線源の位置からランダムな
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62 CHAPTER 7. 井戸型フォスイッチカウンタのγ線応答
要素 物質 密度[g/cm3] 形状
井戸型検出器 16ユニット
GSO結晶 Gd2SiO5 6.71 Box†
BGO結晶 Well部 Bi4Ge3O12 7.13 Box×6
BGO結晶 Bottom部 Bi4Ge3O12 7.13 Box+Trd♯+Tubs‡ PINダイオード Si 2.34 Box
ファインコリメータ CuSnP 3.0 Box −Box(Vacuum)×64
PINのケース♮ Vacuum − Box
アンチ検出器(サイド) 16ユニット
Top部 Bi4Ge3O12 7.13 Trap
Bottom部 Bi4Ge3O12 7.13 Tubs+Trd+Box+Trap♭ アンチ検出器(コーナー)4ユニット
Top部 Bi4Ge3O12 7.13 Trap
Bottom部 Bi4Ge3O12 7.13 Tubs+Trd+Box+Trap
†… 直方体
♯… 平行な2長方形を持つ6面体
‡… 円柱(あるいは円環柱)
♭…6面体
♮… 今回は形式的にしか構成していない
Table 7.1: Geant4でのHXDの主要ジオメトリ要素
方向に射出されたγ線光子から出発して、そのγ線光子及び生成される2次粒子が検出器のそれ ぞれの構成要素で相互作用し、吸収されたエネルギーを事象ごとに求めた。
1事象ごとに井戸型検出器では、i= W00-W33 をユニットのIDとして、(今後IDがiのユ ニットをユニット-iと表記する。)
• GSO[i] … ユニット-iのGSO結晶部(4つのGSO結晶)
• BGO-Well[i]… ユニット-iのBGO結晶で作られた井戸部
• BGO-Bottom[i]… ユニット-iのBGO結晶で作られたボトム部
• PIN0−3[i]… ユニット-iのPINダイオード0−3
の各検出部に付与されるエネルギーを計算する。その結果を元にして実際の較正実験での取得デー タを再現するために、事象ごとに波高値・トリガー情報・フラグ情報(ヒットパターン信号など)
に直すことを行なう。この段階で§6において求めたフォスイッチカウンタの各種の特性パラメー タを利用する。
7.2.1 Fast/Slow整形波高値
井戸型フォスイッチカウンタの各ユニットの任意の事象に対する波高値は、その事象において GSO[i], BGO-Well[i], BGO-Bottom[i]に付与されたエネルギーから以下のように計算する。用い る記号は、§6に準ずる。
GSO結晶に付与されたエネルギーに対する波高値
最初にGSO[i]での吸収エネルギーをLK344(344keV) = 344に規格化した相対光量に変換する。(式 (6.3)参照)
LL344(E) = 1.0167×E[keV]−3.90 (7.1) LK344(E) = 1.0213×E[keV]−7.39 (7.2)
7.2. 検出器特性の組み込み 63 この変換式は全てのユニットで同一のものを用いることができる。ここで Gd K端の前後におい て用いる変換式が異なる。
この相対的な光量から、ユニット-iの結晶の絶対的な光量や光電子増倍管、回路の増幅率など が含まれたパラメータ ai、およびペデスタル bi を用いてユニット-iのSlow整形の波高値の平均 値S を次のように算出する(式(6.1)を参照)。
S =P HSlow=aiL344(E) +bi (7.3) ここで各々のパラメータはHXDの較正実験にて求められたものである。Slow整形波高値の分散 (∆S)2 は、ユニット-iのエネルギー分解能を再現するように
∆S =βi
√S (7.4)
の形で表す。波高値P HSlowGSO は、これらの平均と分散を持つガウシアンに従う疑似乱数Gauss(平 均,標準偏差) を振ることで求める。これを次のように表記する。
P HSlowGSO =Gauss(S,∆S) (7.5) 一方、Fast整形の平均波高値は、§6.5の議論に基づき、
F =κS (7.6)
を用いて計算する。κは定数でなく、信号の時定数と整形時定数を反映して、事象ごとに異なっ た値
κ= P HF ast
P HSlow (7.7)
をとる。シミュレーションではκ を疑似乱数により分布させ、それと前に計算したP HSlow との
積でP HF astを分布させることを行なう。κ の分散は、Fast-Slow 2次元ダイアグラム上でのGSO
直線の垂直方向への分布の分散 (∆w)2 と次のような関係がある。(§6.5)
∆κ=
√κ2+ 1
S ∆w=αpκ2+ 1 1
√S (7.8)
上式を用いるとFast整形の波高値は
P HF astGSO=Gauss(κ,∆κ)P HSlowGSO (7.9) で与えられる。以上に必要なそれぞれのパラメータは、§6 で求めてある。
BGOに付与されたエネルギーに対する波高値
BGO-Well[i], BGO-Bottom[i]吸収エネルギーからそれぞれの平均波高値を計算するときに
P HBT MF ast =aBT MF EBT M [keV] +bBT MF (7.10) の変換式を用いる。その他の方法はGSO結晶の時と等しく、BGO結晶に対してのパラメータを 用いればよい。
1事象に対する波高値
GSO[i], BGO-Well[i], BGO-Bottom[i]について別々に求めたFast/Slow整形波高値を足し合わせ ることで、1事象に対する最終的な井戸型フォスイッチカウンタの波高値とする。このようにして 事象ごとに(P HF ast, P HSlow) が定まり、2次元ダイアグラム上での事象選択、すなわちユニット 内での反同時計数をシミュレートすることができる。
64 CHAPTER 7. 井戸型フォスイッチカウンタのγ線応答 7.2.2 ヒットパターン信号
HXDフォスイッチカウンタにおけるもう一つのバックグランド除去能力を担うのは、隣接ユニッ ト間での反同時計数であった。ここでは、それぞれの結晶でのエネルギー吸収がある閾値を越え たならばSlow LD信号が生成されるとする。それぞれの閾値は今回は、
GSO 10 keV
BGO-Well 25 keV BGO-Bottom 40 keV BGO-Anti 60 keV
とする。BGO-Anti とはアンチ検出器のBGO結晶のことで、サイドユニット/コーナーユニット
ともにこの値を用いる。