磁場安定化
5.3 EDM 探索感度
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第 6 章
まとめ
冷却不安定原子を用いた電子EDMの高精度探索を目指して、電場印加試験および、原 子集団の局在化実験、EDM測定環境付近での環境磁場計測を行った。
電場印加試験では約10−5 Pa 真空中に設置した電極を用いて行った40 kV/cmの電場 印加中のリーク電流を20 pA以下に抑制することができた。さらにコンディショニング 効果により、リーク電流が減少し、印加可能電圧が上昇することを確認した。このことか ら、電極コンディショニングによる、印加可能な電圧の上昇およびリーク電流のさらなる 抑制が見込まる。さらに、リーク電流の測定とは別に行った電場印加実験では途中で放電 が見られたものの、電場印加試験チェンバーの安全上到達可能な最大電圧である50 kV を電極間に印加し、電極間での放電から、電極間に電場が印加されていることを確かめ た。以上より今後コンディショニングや電極の表面処理の工夫、電極間隔の調整により、
目標とする100 kV/cmは十分に達成可能であると考えられる。
原子の局在化においては現在現在MOTに捕捉されたRb原子をを光双極子トラップ
(ODT)への移行する実験に向けた準備を進めている。この実験が成功すれば、冷却原子
を用いたEDM測定への大きな一歩となる。
以上を組み合わせることにより、106個のFrをODTに導入することにより1日の測 定で目標とする10−28 e cm領域でのEDM測定が達成可能である。
環境磁場計測においては、プロトタイプの磁気シールドを導入し、Frの生成・輸送実験 期間中および実験期間外のEDM測定領域付近に設置した磁気シールド内外の磁場、温度 をそれぞれ計測した。実験期間中の磁気シールド内部の磁場の計測結果から、磁気シール ド内部の磁場変動に対する加速器運転による影響がほとんどみられないことを確認した。
また、シールド外部における垂直方向の磁場が加速器のメインコイルからの漏れ磁場の影 響で約0.2 µT上昇することを確認した。さらに磁気シールド周辺の温度同時測定の結果 から、磁気シールド内部の磁場と温度変化に相関が見られた。このことから、磁場の安定 化のためには磁気シールドの温度を一定にすることが重要であることがわかる。今後は仙 台市営地下鉄東西線の開通や東北大学青葉山新キャンパス計画によりEDM測定環境周囲 の磁場変動要因が増えることが予測されるため、補償コイルの導入による磁場変動の打ち 消しや、磁気シールドの温度の安定化等の対策を行うことで、磁場の安定化を行いEDM
探索の目標精度に達するための磁場変動による系統誤差の抑制に取り組んでいく必要があ る。また、現状の磁気シールド内の磁場計測結果から、我々のEDM測定の時間スケール における垂直方向の磁場の安定性が20pTであることがわかった。これにより、目標の EDM測定精度に到達するためにさらなる磁場変動の抑制および、co-magnetometerの導 入等による磁場安定化対策が必要であることが示された。
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