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環境電磁場変動の抑制

磁場安定化

4.3 環境電磁場変動の抑制

4.3.1 電磁波の遮蔽

電磁波の遮蔽は導体(Cu,Al)で遮蔽したい領域を囲うことにより達成する。以下こ れを電磁波シールド室と呼ぶ。シールド(導体)TOF室の内側に設置し、さらに壁面と の間に断熱材を導入することにより測定室内の温度変化が少ない環境を実現する。また、

我々の実験では図2.4のようにビームラインによりFrを輸送する必要があるため、電磁 波シールド室にビームライン導入用の穴直径100 mm程度をあける必要がある。この部 分から侵入してくる電磁波を遮断するためにビームラインを1 m程度、直径100 mm 円筒電磁波シールドで覆う。さらに、ビームダクトを伝播してくる電磁波対策としてビー ムラインにセラミック製の絶縁管を挟む。

4.3.2 磁場変動の抑制

磁場の遮蔽として以下の三つを組み合わせて使用する。

1. 除振台による振動の低減

2. 補償コイルによる直流磁場の打ち消し、及び低周波変動に対するアクティブフィー ドバック

3. 静的磁気シールド(高透磁率素材により測定領域を囲ったもの)

除振台

磁性体の振動は周囲の空間の磁場を乱す要因になる。磁性体をなるべく近くに設置しな いことが重要であるが、磁場の直流成分を遮蔽するためには高透磁率の静的磁気シールド を用いることが有効である。静的磁気シールドを含む測定領域の振動除去のためにTOF 室内に非磁性の除振台(Newport RS4000)を設置した。

*1東北大学新キャンパス構想ではEDM測定を行うTOF室付近に道路が通る

*2仙台市営地下鉄東西線、平成27年度開通予定、事業期間平成15年から平成26年度

4.3 環境電磁場変動の抑制 51

補償コイル

補償コイルは図4.1のように部屋全体を覆うコイルを用いて測定装置を囲い、中心付近 に設置する静的磁気シールド外に3軸のフラックスゲート磁力計を複数設置してそれらが 読む磁場からEDM測定領域の磁場を予測することにより、地磁気等の直流成分を打ち消 す向きに磁場をかける。これにより磁気シールド内部の環境磁場由来の残留磁場を抑制す ることができる。さらに低周波の磁場変動に対して、その変動を打ち消すようにフィード バックをかける。

ARTICLE IN PRESS

Fig. 2. Three-dimensional sketch of the external coil system, including the shielding. For details see text.

external coils

5 magnetometer channels

permalloy shielding (4 layers) demagnetization coils

support table

3000

3000 950

fluxgate

thermal insulation

SQUID cryostat

300

Fig. 1. Principle of the experiment. Dimensions are given in mm. The common axis of the four shielding cylinders is alongz(withz pointing out of the paper plane). For details see text.

T. Brys´ et al. / Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 554 (2005) 527–539 530

4.1 ヘルムホルツ条件をみたすような3軸のコイルで磁気シールドの領域に一様な 環境磁場を作ることができる。Z方向には中心付近にさらに補正コイルを追加すること により、Z方向にある磁気シールド開口部による磁気遮断率がX, Y方向に比べて小さ くなっている部分を補っている[42]

静的磁気シールド

静的磁気シールドは透磁率の高い材質である領域を囲むことによりその領域の磁束密度 を小さくさせる働きがある。EDM測定領域の磁場が一様になるよう、対称性がよい円筒 型のものを導入する。この円筒内部にはEDM測定用のチェンバー及びスピンの量子化 軸となる静磁場を発生させるための円筒コイル(Cosine theta coil)及び現在開発中のル ビジウム(Rb)を用いた高感度磁力計を導入するため、最内径は500 mm程度とする。ま た測定室の境界条件より最外径は900 mm程度とし、3(直径500 mm, 700 mm, 900 mm)もしくは4層(直径500 mm, 633 mm, 766 mm, 900 mm)構造を考えている。さ らに、Fr原子トラップ用レーザー導入のために円筒の軸方向以外に円筒の中心付近動径 方向にもおよそ直径20 mm程度の穴をあける必要がある。他の同様の円筒型磁気シール ドを使用している研究者の方からいただいた助言をもとに以下の点に注意して製作する。

ˆ 静的磁気シールドの温度を一様に保つ(例えば断熱材で囲う)

ˆ 定期的な消磁が必要なため、各層に消磁コイルを巻いておく

ˆ 対称な形状にする(円筒の両端の開口部の大きさを等しくする) また、主な磁場変動の発生源と対策は表4.1にまとめた。

4.1 主な磁場変動要因

磁場変動要因 主な発生源 対策

直流磁場変動 地下鉄 磁気シールド

自動車 除振台

エレベータ 補償コイル

交流磁場 ECRイオン源10 GHz 電磁波シールド

930 AVFサイクロトロン加速RF∼20 MHz 絶縁管 HM-12サイクロトロン

送電線 50 Hz

直流磁場 地磁気 磁気シールド

930 AVFサイクロトロン・メインコイル 補償コイル

ビームスウィンガー磁石  MOT, Zeeman減速器  HM-12サイクロトロン

4.3 環境電磁場変動の抑制 53

4.3.3 磁場安定化システムの設計

磁場安定化装置の概略図を図4.2に示す。中心にある測定領域の外部にRb高感度磁力 計を設置し、中心領域の磁場を高精度で予測することにより系統誤差を抑える。また、量 子化軸となる磁場を発生させるためのCosine“θ”コイルを設置し、測定領域を除振台上に 設置された磁気シールドで覆う。その外側に3軸の補償コイルを設置して磁気シールド外 部の中心付近に設置したFluxgete磁力計の読み値から磁場変動を打ち消す向きにコイル に対してフィードバック電流を流す。これによって、環境磁場の変動の影響を抑え、電磁 波シールドシールドにより、電磁波を遮断し、壁と電磁波シールドの間に断熱材により室 内の温度を安定化させる。

Science chamber

Rb magnetometer

Vibration damper

1500 300

2000

Crane rail

EM shielding room

200 800

Magnetic shield

Correction coil

900

Thermal insulation

Cosine theta coil

4.2 磁場安定化システムのビーム軸に垂直な断面図。中心にある測定領域の外部に Rb高感度磁力計を設置する。量子化軸となる磁場を発生させるためのCosine“θ”コイ ルを設置し、測定領域を除振台上に設置された磁気シールドで覆う。その外側に3 の補償コイルを設置してFluxgete磁力計の読み値からフィードバック電流を流すこと により環境磁場の変動の影響を抑え、電磁波シールドシールドにより、電磁波を遮断 し、壁と電磁波シールドの間に断熱材により室内の温度を安定化させる。

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