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電磁場との相互作用

EDM測定ではFr原子を静電場および磁場と相互作用をさせなければならない。粒子 が全角運動量F、磁気双極子モーメントµ=µˆsEDMd =sを持つとき、外部磁場 B=BBˆに対して電場E =EEˆを平行に印加した際のハミルトニアンHは次のように 書ける。

H=1

Fµ·B 1

Fd·E (2.1)

式(2.1)で表される系に対して、電場と磁場が反平行の場合は、

H0=1

Fµ·B+ 1

Fd·E (2.2)

と書かれる。式(2.1)で表される系に対して、時間反転の操作を施した場合、スピンが反 転するため、スピン及びEDMµ,d、静電磁場はB,Eのように変換される。し たがって、式(2.2)は式(2.1)時間反転の操作をしたことに等しい。

この操作に関してスピン1/2系を例に考える。磁場Bによりスピンの磁場方向成分m に応じてエネルギーシフトし、このエネルギーシフトに対応する周波数をν0とすれば、

0のZeeman分裂が起こる。さらに、スピンの方向に依存したEDMが存在する場合、

図2.2に示すように電場が磁場に対して平行か反平行かに応じてそれぞれ、

+=2µB2dE (2.3)

=2µB+ 2dE (2.4)

のようにエネルギーシフトが起こる。このエネルギー準位の差から、EDM ∆ν = (ν−ν+)とすると

d= h∆ν

4E (2.5)

のように求めることができる。

B = 0 E = 0

B ≠ 0 E = 0

B ≠ 0 E // B

B ≠ 0 E // -B

+

0

-図2.2 EDMが存在する場合のスピン1/2系のエネルギー準位図

EDMの統計精度は以下のように見積もることができる。式(2.1)(2.2)より電場を磁場 に対して平行・反平行に印加した際のエネルギー差∆E

∆E= 2dE

F (2.6)

となる。ここで、Heisenbergのエネルギーと時間の不確定性原理から

∆E·∆t ¯h

2 ¯h (2.7)

2.1 電磁場との相互作用 21 のように近似し、電場との相互作用時間τ を用いて∆t∼τ とすれば、EDMの統計精度 δdは、式(2.7)より、

δd∼ ¯hF

2Eτ (2.8)

また、周波数決定精度は測定領域に存在する原子数N と独立な測定の回数mの平方根に 比例するため、統計精度は

δd∼ ¯hF 2Eτ

1

N·m (2.9)

のように与えられる[41]。式(2.9)よりEDM統計精度を上げるためには原子集団にかけ る電場を大きくし、原子数を多くし、相互作用時間を延ばすことが統計精度向上のために 重要である。Frの電子EDM増幅度は895であるから、式(2.9)より、

δde= δdFr

R (2.10)

= ¯hF 2R

1 E

1 τ

1

N ·m (2.11)

= 6.58×1016 2

F 895

1 E

1 τ

1 N ·m

= 3.68 × 1019F E

1 τ

1

N ·m ecm (2.12)

210Frの角運動量はF=13/2であるから、

測定領域の電場強度:E 105 V/cm

測定領域に存在する存在するFr原子数:N 106

相互作用時間:τ 1 s

の条件を満足すれば、1日間の測定*1で式(2.12)より統計精度は、

δde3.68×101913/2 105

1 1.0

1

106·8640

= 2.57×1028 ecm (2.13)

となり、我々の目標とする測定精度: de <∼ 1028 e cm領域でのEDM探索が可能で ある。

2.1.1 磁場安定性

式(2.1)より電場を磁場に対して平行にかけた際の歳差周波数ν+と反平行にかけた際

の歳差周波数ν の差をとると、

∆ν =ν−ν+= +1 h

2

FdE (2.14)

*11回の測定を10秒とした場合、およそ1日で8640回の測定が可能である。

となり、印加電場強度E105 V/cmのとき、|de| < 1028ecmの測定精度を達成す るためには、FrのEDM増幅度が895であるので、FrのEDM|dFr|<1028×895ecm を検出すれば良いとすると、

1

hdFrE = 2.16×106 Hz (2.15) また、我々の測定対象である210Frの全角運動量の大きさは13/2であるので、電場反転 による歳差周波数差は

∆ν= 2.16×106× 2

13/2 = 6.66×107 Hz (2.16) となる。110秒の測定を一日行った場合の測定回数は8640回であるため、一度の測定 辺りの周波数変動は、

6.66×107×√

8640 = 61.9 µHz (2.17)

が許容される。この周波数変動に対応する磁場変動値∆B は、

∆B= hF

µ ×69.2<2.9×1014 T (2.18) である。したがって、1日の測定で目標の精度を達成するためには磁場の変動を 0.29 pT/(1回の測定10秒の間)以下に抑える必要がある。これらの磁場変動の要因となる

v×E効果(v: 粒子の速度,E: 電場)

リーク電流による影響

Johnsonノイズ(Magnetic Johnson noise, MJN) 等の影響を取り除く必要がある。

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