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CUZU

CUZU・

CUBAKI

4

      唇      唾

.大  分界腸合● とCUZU

宮  崎KUC・CUBAと器盟 騨島●三三・U・A と8器入

 以上の対比からもわかるように,「唇」と「唾」とは何 らかの関連がありそうである。対馬。北九州・宮崎の KUCICUBAは,付近に分布するクチビルなどの影響 があって生じたものかも知れないが,前記のような「唾」

と区別する必要から生じたものと考えてみることも大切 である。入重山のHUCIノースバは「唇」であることを 特に示すため,説明を加えた語形と思われる。

 なお,凡例に一SUBA,一SIBAなどとしるしたも のは,「唇」を意味するSUBA・SIBAの前に「上」「下」

などのついた「上唇」「下唇」という複合語形しか報告が ない,すなわち「唇」を示す単独の語が現実には切り取ら れなかったらしいものであるが,整理の段階で「上」「下」

に相当する部分を取り去って扱ったことを示す。117 図「舌」の図と比較すると,沖縄本島およびその周辺で は,「舌」と「唇」とが語によって区別されていないことが わかる(なお詳しくは117図の説明参照)。

117.した(舌)

 空の符号で示したシ玉矛が,近畿を中心にして,山陰 方面へ,北陸道から東北北部にかけて,東海道を南関東 まで,さらにとんで九州(主として西半)にと,大きな分 布領域を持っている。一方,赤の符号で示したべロ類が,

東北南部。関東と,中国・四国・九州に分布し,榿の符号 で示したヘラ・ベラ類が中部地方にかなりまとまって分 布するほか,四国にも見られる。そのほか,緑の符号で 示したツバなどの類が,山口・奄美・沖縄に散在する。

 シタ類のSITAの中には,東北などにみられるSIの 中舌母音や,TAの子音の有声化しているものが含まれ ている。これらについては,115図「口」の「チ」の中舌母 音および有声化の分布などによって,おおよその見当を つけることができる。北陸・山梨のHETAは,付近に

分布するHERAとSITAとの混交によって生じたも

のかと思われるが,近畿西部・大分のものについては,

分布から見て1{ITAからの変化かと思われる。山梨の H:ETAもあるいはそうかも知れない(107「類」の説明に ヘタについて触れたところがあるので参照)。IIITAは

西日本,および山梨・東京の一部に分布する。ここは第 1集の14図にもあるとおり,シチをHICIと言う傾向 のあるところなので,それと通ずる音韻傾向があるので あろう。奄美の大部分と沖縄の一部には,シの部分が脱 落したと思われる語形がある。紀伊半島のSITANE,

熊本のSITANOSAKIなどには,「舌全体のことであ る」と特に注がついていたので疑問があるかも知れない が採用した。

 なお,符号の色は赤や榿を与えたが,SITABERO,

SITABERAなどのシタを含む語形までを入れれば

(地図で四角形の符号をたどる),シタの勢力が近畿を中 心として,北は飛騨・北陸・佐渡から東北北部へ,東は東 海道を連続して関東中心部へ,西へは瀬戸内海を経て九 州へと広まっていった様子を地図から読みとることがで きる。おそらく,古い時代に全国がベロであったところ へ,このようにシタが主要交通路ぞいに近畿から侵入し て行った跡を示すものであろう。

 ベロ類の語形は,この図のほかにも116図「唇」,118 図「唾」,119図「誕」にも現われるので,語形の分類およ び符号の色と形を共通にしてあるから,比較されたい。

なお,このべロという語形が,どの意味にどの地域で使 われているかを示す総合地図は,べつに120図「ベロの 意味」として作図した。ベロ類はほとんどがBEROと いう語形であるが,徳島・九州ではBEEROも見ら れる。ベロ類は,前述のように古くは全国的に連続して 分布していたが,のち近畿あたりからシタが四方へ広

まって,東西に分断されて残存しているものと考えるの が言語地理学的には妥当な解釈ということになろう。し かし,古典などではべロはほとんど見あたらない。これ は,擬音語的な俗語が書きことばとしてはしるされにく かった事情によるのであろうか。一方,言語地理学的に は一見残存のように見えても,擬音語であるからこそ東 西で同じベロという語形が別々に発生した,すなわち,

ベロの方が新しいと考える道のあることも忘れてはなら

ない。

 シタとべロの接触地帯では,各地とも両者の併用地点 がかなりの幅の地域を形作っている。そしてこれらの地 点の多くで,ベロは「子供に向かって言うことば」との注 があった。この表現は,2形併用の場合の注記としてほ かの図の場合あまり現われないもので,特色があり,注意 しておく必要がある。このほか,「シタは正式なことば,

ベロは俗なことば」との注もかなりあったが,この揚合

はく併用処理規則〉により,地図ではべロの単用として ある。西関東・伊豆半島などのSITABEROは,シタ類 とべロ類の接触地帯であるから,両石の接触によって生 じた複合形と考えてよかろう。一方,116図「唇」では,

この地方はクチベロの分布しているところであるから,

「唇」の方にはクチベロ,「舌」の方にはシタベロという平 行的な説明意識が働いた結果とも考えられる。

 ヘラ類のうち,中部地方のHERAと四国・山口・九 州東端などのBERAとが歴史的に関係があるとすれば,

方言周圏論的に,全国的に,ベロ→ベラ(ヘラ)→シタと いうように外側ほど古いものということになろうが,東 西のヘラ類は語形が異なるので,これらはおのおの独自 に発生した可能性の方が大きいよ5である。すなわち,東 のHERAはうすい片羽のもの一般を表わすものが舌に 転用され,ある時期に,たとえば濃尾地方に発生して,

東や北に広まったことが考えられる。そして,現在この HERAの分布している周囲,すなわちシタとヘラとの 接触地帯にSITABERAの分布することは,さきにSI−

TABEROの発生について述べたと同じく,両者の複 合現象が生じたものと言えよう。そして,このSITA−

BERAの付近にBERAが散見するのはSITABERA

の前部分が脱落した結果と思われる。ところが四国な どのBERAは,このような事情によって生じたという 根拠が薄弱である。わずかに,大分南端に1地点だけ見

られるHITABERAを, EERAからBERAへの媒介

物としてあげるのは無理があろうし,だいいち,現在西 日本にはHERAという語形がほとんど見出されていな い。西日本のBERAは, BEROの中に分布している ことから,BEROの変化したものと考えるのが穏当で ある。これが四国に生じて,九州東端にも伝播したので はあるまいか。山口のBERAは独自に発生したもの か,これらと関係があるのか不明である。大分南端の

HITABERAは,分布から見て,大分のH:ITAと宮

崎のBERAが接触複合して生じた新しい形と思われ

る。

 ッバ類のうち,CUBAが山口西端に分布している が,このうち,地点によっては118図「唾」と区別のない

ところも見出される。奄美は,北半で「舌」がSUBA で,「唇」がKUCIBIRU,南半で「舌」がSYAAなど で「唇」がSUBAなどであって,地点別に対照すれば区 別ははっきりしている。沖縄本島(主として南部)では,

116図「唇」の説明でもふれたように,SIBA(舌)と

一SIBA(唇)のような区別を持っているところがある。

地点ごとに対照すると,「舌」と「唇」を完全に同語形で表現 するところはないようであるが,上記の地方では,「舌」

と「唇」の対立は,地理的にあるいは語形的に微妙であっ て興味深い。おそらく,古くは両者の区別があいまいで あったものが,各地で何らかの方法により区別しようと いう努力がなされた結果,このようになったものかと思 われる。『沖縄語辞典』によれば「舌」はふつうは号iba(ス パに対応する)であり,sica(シタに対応する)は慣用句・

比喩的用法の複合語の成分としてのみ用いるという。

「唇」については特にそれをさす特定のことばがなく,

?waa學iba(上唇), sic錦iba(下唇),寧iba?iru(唇の色)

などの複合語の成分として學ibaが用いられるとある。

この区別は,沖縄本島北部ではSICYA(舌)対KUCI−

BIRU(唇),宮古・入重山ではSITA(舌)対ツバ類

(唇)であって,これらの場合は,どちらかに標準語と同 じ語形を用いて区別をしている。この事実も,この両項 目を区別する傾向が新しいものであることを暗示してい

よう。

 アゴが,静岡および伊豆諸島に分布していて興味をひ かれる。108・109図「あご」を見ると,本土では調査が ないため不明であるが,利島・新島あたりにオトガイ・

オトゲエなどが分布していて,両者の区別は地点ごとに はあるとせねばならない。

118.つば(唾)

 全国を大観すると,緑の符号で示したツバ類が広く分 布し,これに似た草の符号のツズ類が西中国。九州。奄 美。沖縄と紀伊半島に分布している。東北地方にはこれ らの類が分布せず,北半には茶のヨダレ類・赤のべロ 類・紺のタンペ類が,南半には空のシタキ類が分布して

いる。

 ツバ類は,この図のほか,116図「唇」,117図「舌」,

119図「灘」にも現われるので,各図とも語形の分類,符 号の色・形を共通にしてある。すなわち,CUBA・CU−

WAなどをぬりつぶし符号で, CUBAKIIなどキのつ くものはぬき符号で,CUBAK:Eなどケのつくものは ぬきの中に点のある符号で示した。以下,ツバ類の中に おけるこの3種は,それぞれ,ツバ・ツバキ・ツバケ類

と呼ぶことにする。この3者の分布を比べると,東日 本・北陸・山陰・西九州などにあるツバキが最も古く,

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