ゆ
も
●
ρム
るまい。HUTAHIMAGOは,大分に見られる。ここ
独自の発生であろう。
以上の榿・赤・桃・草の符号を与えた類を大観する と,赤の類がもっとも古いものを代表し(榿の中にもそ れに準ずるものが含まれているかも知れない),ヤサイ 類はその変化,桃の類がこれにつぎ(桃の中ではやシャ ラ類が主流),草の類がもっとも新しいものと考えられ る。草の類は各地で独自に発生しうる性質も持ってい る。榿の類の位置づけはよくわからないが(ことにYA−
HII(0・YAHI(1)MAGO),概して草の類にならぶ ものであることは言えると思う。YAHIKO・YAHI一
(1)MAGOの類は,ヤシャ類とヤシャラ類が過去にお いて衝突し,その混乱を解消するために生じた語形だっ たかも知れない。
後部要素を中心に考えると,東日本の一KO〜一GOの 類が古く,西日本の一MAGOの類が新しく,その接触 地帯では,一K:0・一GO・一MAGOの接尾しな、・現象が 現われている,ということになる。
CURUNOK:0以下CURUNOMAGOまでは,近
畿から西方に延びる分布を示し,新しい語類と考えられ る。西方へは,海上交通によって運ばれたものであろ5 か。r新勅撰和歌集』に「鶴の子」ということばがあるよう だが,玄孫を意味するかどうかよくわからない。『大日 本国語辞典』には古写本の節用集に,雲孫の意味でツル ノコとあると出ているが,この雲孫はかならずしも入代 の孫の意味ではなかったかも知れない。『全漸兵制考附 日本風土記』(15〜16C?)には玄孫としてツル(ノ)マゴ とある。ツルの部分は,『和訓栞』にもあるように蔓の意 味があったかも知れない。ただし7309・37では,玄孫の 次をカメノマゴと言う注記があり,7313・34では鶴の語源 意識があったと報告されて、・る。なお,6455.31では,
玄孫の次をシャシャラマゴと言うとのこと。ここでも意 味のずれが起こっている。
且IKIMAGA以下PISiMAAまでは,すべて琉
球列島に現われる表現である。ヒキ(ウ)マゴにあたる表 現である。
MATAI{IKO以下MATAMAGAまでは,語頭
にMATA一のつく類である。最初の3者は,当然曾孫 の延長であろう。MATAH:IKOは福井, MATAHI−
MAGOは岐阜, MATAHYUUMAGOは岡山に見 られる。MATAKOは福井であるが
(コーマゴ) ピコーマタコ
という系列も(付近にマタヒコがあればなおさら),..あっ
て不自然というわけではな、・。MATAMAGOは南九 州と徳島に見られる。この語形は139図にもそのまま現 われるが,
(コ一層マゴ)一ヒマゴー マタマゴ
という系列もあってよさそうである。南九州のものにつ いては,この系列の発生には,奄美にある曾孫の意味の マタマゴが関係していよう。徳島のものは,隣接地点
(7408.25)では曾孫をマタマゴと言うから,複雑な葛藤 がありそうである。ちなみに7408.25の系列を示せば,
(コーマゴ)一マタマゴーヒマゴ
である。MATAMAGAは奄美大島。この地点では曾
孫をHIMAGAと言う。新来の語形が在来の同義語を.次の意味に追放した例に加えられよう。
HIKO以下HYUUMAGOまでも, MATAMA−
GO, MATAMAGAなどと同様,139図に一致する見 出しが現われる。これらの現われる地点はすべて139図
ではHI(1)MAGOとなっており, HIKOなどは
MAGO・HI(1)MAGOに圧迫されて,ついに孫の位 置から曾孫の位置にまで転落したと見ることができる。HIKOMAGOは6地点認められるが,すべて.
(コーマゴ)一ヒコーヒコマゴ
という系列であり,一種の原理を見出しうる。HWI−
KOMAGO(山形), SIKOMAGO(富山)も,まったく 平行的に考えうみ。地域はすべてまとまりを持たず,各 地で独自に発生したと考えてよかろう。ピコマゴのずれ である。それかあらぬか,3752.53では玄孫の次をヤ シャゴと言うとの注記があった。
HI(1)MAGOは全国に17地点見られる。しかし139 図と1地点ずつつき合わせればわかるように,以下の5 種類に分類できる。
BCDE
(コーマゴ)一ピコーヒマゴ(8地点)(コーマゴ)一ピコマゴーヒマゴ(5地点)
(コーマゴ)一ヒュウマゴーヒマゴ(1地点)
(コーマゴ)一マタマゴーヒマゴ(1地点)
(コーマゴ)一ヒマゴーヒマゴ(2地点)
㈲は,それなりに内部に秩序がある。(BXC)は系列とし ては理屈が合わないが,囚㈲とともに,曾孫を意味する 新来のヒマゴが,在来の語形が強固なために,次の意味 のわくに仮に定着したものと考えてよかろう。(E>は一見 曾孫と玄孫とが語によって区別されていないように思わ れるが,カードにあたると,6369.37,652120ともに
曾孫はヒマゴ,玄孫はヒイマゴとあって,実際は区別の あることがわかる。そうするとヒイマゴとは実はヒヒマ ゴだという考えが成り立ち,ここでは,HI一とHII一と を区別すべきだった,ということになるかも知れない。
ちなみに,ここで述べたうち,HI(1)MAGO 17地点 のうち4599.31,5536.78,5615.61,6368.60,6538.02,
6594・19以外の11地点はヒイマゴであった。なおここ
で139図におけるHIMAGOと HIIMAGOについ
て概略を述べれば,前者は近畿(兵庫西半を除く)・高知。
鹿児島を中心とする地域に分布し,他はほとんどHII−
MAGOと言うことができようか。東日本ではHIMA−
GOとHIIMAGOが混在している。1音節語の母音の 長さについては110図が参考となるが,MEとMEE
の分布関係はHIとHIIとの分布関係と一致しない。むしろ逆と言ってもいいくらいである。
HIMAGAは奄美に1地点,新来の語形が在来の MATAMAGAが強固なために,正当な位置を得られ なかったものと見るべきであろ5。HYUUMAGOは
3地点であるが,139図と対比すればわかるように,新 来の語形HI(1)MAGOが在来のものを蹴落とした例 に分類すべきである。GOKOは石川・富山と八丈にのみ見られる語形であ る。139図と比較すればわかるように,明らかに シ(四)コーゴ(五)コ
という語源意識が働いて生じた語形である。もっとも入 丈のものは〔gogO〕であって,調査者は言い違いかも知 れないと注記している。SOHIMAGOは佐賀に現われ るが,この地点での独自の発生と考えられる。
その他としたものは全国で12地点であった。ダィマゴ
(3761・22),メンメエゴ(6650.70),カナマンゴ(7326.41),
サジュスマゴ(7392・94),ヨコズツマゴ(8325.03),コッ パマゴ(8334・25),ドゥチマグ(2072.20),ミイマア(2076.
99)など珍しいもののほかは, ピコノコ・ヒマゴノコな どであった。ヨコズッマゴ〔jokozutsumago〕のズッの 部分は,さきに触れた『新撰字鏡』の豆々子と関係があろ
5か日ドゥチマグについてはすでに触れたところがあっ
た。
無答もかなり多い。曾孫・玄孫の次は来孫・昆孫・傍 孫・雲孫とでも続くのであろうが,これらを順次たずね ていけぼ当然無答が圧倒的に多くなろう。玄孫において すでにその傾向が現われたと見るべきである。
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141.おじいさん(祖父)
139図以下142図は,相互に,特にこの地図は142図
(曾祖父)との関係が深いので,図・解説とも比較された い。なお,141図・142図の2項目に関しては,呼び名 でなく名称を求めていることに注意されたい。親族語彙 に関する項目はごくわずかであって,せめて親・父・祖 母などの項目も比較のため加えるべきだったかといまは 思うが,いたしかたがない。
この図に関しては,ZII〜OZII+SAN〜SAMA〜
CYAN〜CYAMAという形式を標準語形と認めて,
〈併用処理の原則〉を適用した。
符号の与え方については,次のような原則を考えた。
完全に一貫しているとはいえないが,色で大きな分類 を,形で接尾形式を,同形内の変種でそれ以下の区別を 示した。なお,ZIとZIIの区別は,別見出しとして立て ることはしなかった。142図との関連を考えたためであ
る。
色としては,一般語形に草を,MAGO一という接頭辞 のつくものに榿を,その他に紺を与えた。
形としては,四角を接尾形式のつかないものに,三角 を一SAMAに,円を一SANに,水滴形を一CYANにあて るなどした。その他,短いひげ(シッポ)の出ている符号 は0一を接頭するものなど。
まず,色の区別によって図示した大分類についてみる と,MAGO一類が主として東日本の海岸部に分布して,
中央を発し過去のある時代に伝播したもののように見え る。各地で例外的な独自発生があったにしても,ほとんど のものは相互に関連があったに違いない。139図・140図 の解説で触れたように,マゴという語は東日本より西日 本において病勢であると思われるのに,やや不思議な現 象である。MAGO一という接頭辞は,老爺と祖父とを区 別するために新しく添加されたものかと思われるが,な お,142図の解説に触れるところがある。MAGO一を除 いた部分については,他の草の符号を与えたものと比較 しつつ考えればよかろう。
MAGO一類のうち,最後のものはおもしろい命名であ る。日本海岸(隠岐にも)に,12か所点在する。
マゴオヤ (オヤ コ マゴ)
という系列を作るのであろう。この語が祖父に限られる のか,祖母にも使えるのかは不明である。
渦
髄
ら
ぜム
紺の符号を与えたものを考察しよう。OYAZIZI(岩 手),OZIOYA(青森・新潟)は,語構成は逆順になって いるが発想は同じある。オヤジは一般に父のことと思わ れやすいが,何か関係があろうか。U8AZIZIは伊豆 大島。BUYA, BUYAA, ABUZI, UBUZA, BU−
CCII, ACCI, ASAは,すべて入重山である。 BUYA,
BUYAAは大オヤにあたる語形であろう。UBUZA,
8UCCIIは,それぞれ大一ASA,大一ACCIであろう か。OESAN(実際には〔oisaN〕を含む)は,新潟・福 井・大分に見られる。MAMA, AMA, ANMAは,すべ て岩手の東北部に現われる(142図と比較せよ)。SYU−
U以下TANMEEまでは,すべて琉球列島に現われ
る表現である。『沖縄語辞典』と比較すると,sjUUは 父〈平民語〉であるといい,?uhusjuuは父方の一番上 の伯父く平民語〉であると.いう。また?Nmeeは祖母 く士族語〉だともある。祖父を示すことばとしては,,taNmee〈士族語〉,?usjumee〈平民語〉, puupuu 〈農村語〉とある。琉球語の親族語彙の成立の複雑さを 思わせる。これらの語のうち,HU一, UPU一, PU一は
大の意味,U一は大ないし御の意味,一MEEは尊敬の接 尾語と考えられる(?ajaamee〈奥様〉, jacimee〈坊っ ちゃま〉など)。
最後の三つの見出しは,曾祖父を表わすかとも思われ るものである。142図と比較すれば次の通り。
141図 142図 6569.12 00ZISSAMA 無 答:
6616.93 且IIOZII(SAN) HIIOZII
6636.05 HIIOZII SENZOSAN
6616.93のものは,調査時に確i認したとあるから,臨時 の誤解ではない。他の2地点の揚合は,何らかの理由で ずれが生じたのであろう。
無答は,質問の内容が玄孫と違って近親者であるせい か,1地点(1893.01)のみであった(この地点142図でも
無答)。
さて,草の符号にあたる諸語形(榿を与えたものの中 核要素を含む)を見ると,0一の付かない形がまとまって 分布していることがわかる。ZIの部分は当然父のチに あたり,それが有声化する原因としては前に何か(オ ホ?)が付いたことが考えられるが,分布の観点からは,
現在の0一は語源的にはオホであっても,後に尊敬の接 頭語として新しく添加されたものである可能性がある。
国の両端で平行的に0一が脱落したと考えるより,妥当
な考えと思う。
次に,接頭語・接尾語を除いた部分が,ZIZI・ZIZZI・
ZINZI・ZIZII・ZIIZIIのように畳語形式をとるかど うかの観点で見てみよう。繰り返し形が主として現われ る地域は,秋田。宮城・新潟(西部)・富山・石川・福 井,島根東部から広島西部にかけて,九州西北部という
ことになろうか。ZIZZIは新潟に1地点, ZINZIは 秋田西南部から山形北部にかけて,および伊豆諸島・高 知・五島である。草符号最後のZICCIの類をこれに加 えるとすれば(2回目のZIが無声化したと見る),福島 の東半がこれに加わる。領域が分断されているから,古 いものの残存と言えるであろう。
次に,繰り返しのないもののうち一ZIN一の地域をさ がしてみよう。宮崎がその中心である。接尾語として は,一CYA,一CYAN,一CAMA,一CANなどが有勢であ るから,末尾の三音と後続子音とは,当然関係があるとせ ねばならない。ZIN, OZINは九州に各1地点である
が,これはZISAN, OZISANのSAの脱落と見
ことができるかも知れない。ZINMAは四国であるが,この綴音も後続子音の影響を考えるべきかも知れない。
次に,ZIとZIIの分布を見てみよう。この地図か ら十分にくみとることはできないが,『日本言語地図資 料』によって短母音の多く現われる地域をさがすと,山 奥からまぼらながら新潟・岐阜あたりまでと,島根東部 から広島西部にかけて,および九州南半である。もっと もこれらのうち,秋田に多いZICCYAやZIKKO,岐
阜や長野のZISSAやZISSAMA,島根から広島にか けてのZICCANやOZICCANなど,促音を含む語形
は,単純に短母音とすることはできないかも知れない。
愛知のZISSAMAはZIISAMAの付近に,三重の 神島のZICCYANはZIICYANのそばに,山陰の
(0)ZICCYAN・(0)ZICCANは(0)ZIISANのそ ばに,九州でZICCYANはZIICYANの付近に分
布すると見ることもできるからである。
次に,おもな接尾語の分布を展望しよう。ただし非常 に大まかであり,それぞれの分布はいりみだれ,ここに 挙げる地域以外にその現象がないわけではないから,注 意されたい。接尾語のないもの 青森,山梨・静岡・
岐阜・北陸,南近畿から四国東半・山陰。西北九州。
SAMA一岩手・秋田,福島南半,長野・岐阜・富山。
CAMA 宮城。 MA 岐阜北部6 SAN 関東・
中部地方南半・近畿以西。CAN一宮城・広島西部。