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必要があり,それは別の機会にゆずるが,例えば,ナン コ・ナンゴが,東北,新潟,九州に分布する。 「おに ごっこ」の意味で,オニナンコ・オイナンゴ等が中央か らあるとき伝播し,他方,これと全く無関係に「かくれ んぼ」の意味で,カクレナンコ・カクレナンゴ等が別の あるとき中央から伝播して,その結果,たまたま,東 北,新潟,九州にナンコ・ナンゴの分布が見られるよ5 になったということは,ちょっと考えられない。オニナ

ンコとカクレナンコとの間には当然何らかのつながりが あったと考えるべきであろう。その場合,あるとき中央 でオニナンコ。カクレナンコの2形が生じ,その二つが 相伴い対となって伝播し東北にまでたどりついたと考え

るか,「おにごっこ」「かくれんぼ」という遊びの伝わる以 前からナンコ・ナンゴという形がこれらの地方にあり,

そこヘオニやカクレという要素を持った語が伝わって,

在来のナンコ・ナンゴと結びつき,それぞれの地方でオ ニナンコ,カクレナンゴ等の語を生んだと考えるか,あ るいは,オニナンコ(またはカクレナンコ)とい5語形が 中央から伝播し,そのナンコが,別の経路によって分布 したカクレ(またはオニ)と結合して,各地でカクレナン コ(またはオニナンコ)という形を生んだと考えるかは,

むずかしいところである。これら各地に見られる形態素 が,それぞれの地域で,「おにごっこ」「かくれんぼ」以外 の遊びの名付けにどのような力を持っているか,また,

それがどのような分布になっているかを詳しく調べた上 でないと,真実のところはわからないと言うべきであろ

う。

 次に,これも舟入を各地点ごとに対照してみないと 正確なところはわからないが,「おにごっこ」・「かくれ んぼ」をどのような語で言いわけているか,あるいは言 いわけていないかという問題がある。両図の分布の説明 のところでもところどころふれたが,例えば,148図に おける空のオニ類,OINANGO等「追い」にあたる形態 を持つ類などの中には,147図と語形が全く同じものが ある。つまり,「おにごっこ」と「かくれんぼ」とを,語と して区別しない地方がある。地域をたどれば,東北地方 の一部,北陸,山陰,九州等に比較的多く見られる。東 北の大部分,関東,中部,近畿,中国,四国等では,両 者は区別されている。とくに,近畿一帯では,一方を才 ニゴト・オニゴッコ,他方をカクレンボと,共通部分の 全くない二つの語で区別している。このことから,両者 を区別しない言い方は古いものの残存と考えることがで

きるかも知れない。言いかえれば,古くは,今のような

「おにごっこ」・「か..くれんぼ」の区別は,それほど明確では なかったものと推定される。あるいは,「おにごっこ」に 無回答が多いことから,古くは「おにごっこ」にあたる遊 びは無かったのではないかとも考えられる。質問の順序 は「おにごっこ」の方が先であった。.「おにごっこ」の方を 後で質問して無回答となったのならば,「おにごっこ」と

「かくれんぼ」とを区別しないことを示すとも考えられる が,先に質問した方が無回答となっているのであるか

ら,むしろ「おにごっこ」にあたる遊びが無い,あるいは 名前を持つ段階に至っていないと考える方がいいのであ ろう。さらに,このことは,147図の解説にも述べたよ

5に,これらの遊びのルールの変種,あるいはそれらの 変種に対する名称の与え方の構造のちがいという問題と

も関連してくることである。

149.かたぐるま(肩車)一一般的な名称 150.かたぐるま(肩車)一特殊な名称

 この項目は,いわゆる方言量が多く,回答された語形 が多様であり,また,1地点だけの孤立的な語形がかな

りあった。そのため,1枚の地図にすべての見出し語形 を記載すると,まとまった分布のない孤立的な語形につ いては,その符号の位置を地図上に捜し出すことが困難 になり,また,見出し数が非常に多くなるなどの障害が 生ずるので,この項目については,その内容を149図と 150図の2枚に分けて示した。149図には,比較的広い 地域にわたってまとまった分布を示す類の語形をのせ,

それ以外の比較的孤立的な語形は150図に記載した。

 まず,149図について説明しよう。この図における色 の一与え方は,原則として,それぞれの語形の語頭の形に よって行なった。たとえば,K:ATA(KKO)・K:ATA−

UMA・KATAKUBIなどには榿1, K:UBI(K:0)・

KUBIUMA な.どには空, BI(N)BI(N)KO・BE一

(N)BE(N)KO・BIBI(N)KUBIなどには紺, UMA−

NOKUBIなどには赤, TENGURUMA・DEDEKA−

TAなどには緑, TANGURUMA・CYONNOK:UBI

などには草の色をそれぞれ与えた。それぞれの色を与え た語形のグループを,ここでは,挿図類,クビ類,ビビ・

ベベ類,ウマ類,テン・デン類,タ.ン・チャン。チョン……

類とよぶことにする。また〜UMA・〜MA・〜MAI・

〜K:UMA・〜GURUMAなど,各語形に共通にみら  MA・KUBIK:INMAなど,見出しをNMA とした

れる後部分の形は,符号の形によって区別した。後部分  ものは,あるいはUMAとしてもよかったのだが,内 の形と符号との関係のうち主なものについて説明すると  容が〜ンマのみであり,〜ウマが含まれていないので,

次のとおりである。      この見出しとした。なお,K:ATAK:UMA。1(UBIU一  〜UMA。〜MA・〜MAI……シッポのついた正≡i  MAの中には末尾音節の子音が〔b〕のものも含めてあ  角形      る。なお,奄美におけるUMA(KO)の内容は〔 ma〕

 〜KIUMA・〜KIMA・〜K:IMAI……シッポのつ   〔 ma kwa〕〔umag9wa〕であり,同じくUMA(KO)一  いた凹形       NORIの内容は 〔maη ka=nuri〕〔 ma kwamuri〕

 〜KUNMA。〜K:UMA・〜KUMAI  …シッポ  〔 mamuji〕などである。

 のついた円形       KUBIKONMA・KUBITA(K:0)・KUBITA一  〜KONMA・〜K:OMA・〜KOMAI……シッポの  MA(K:K:0)の中にはKUBIのBIにあたる部分の音

 ついた正方形       節が〔pi〕のものも含めてあり, KUBI(KO)・K:UBI一  以一しのそれぞれについて      (1(0)NORIの中にはBIにあたる部分が〔bu, bo,

 後部分がUMA・KIUMA・KUNMA・KONMA  pi, pu, n〜η〕のいずれかであるもの, Kuにあたる部  であるもの……シッポが下向き       分が〔ko〕のものなどを含めてある。 KUBIのBIに  後部分がMA・KIMA・KUMA・K:OMAである  あたる部分が〔pi〕であるものは,岩手内陸部と宮城北  もの……シッポが左向き      部とに集中的に見られる。

 語末がMAIであるもの……シッポが右向き       なお,以上の諸点に関する具体的な詳細は, r日本言  〜GURUMA……円形またはその下に2本足のつい  語地図資料』を見なければならない。

 た形      この項目は標準語の「肩車」にあたる名詞形を求めたも  〜GURUMAI……円形の右側に2本足のついた形  のであるが,回答の中にはカタクマニノル・カタグル  〜KOROBA・〜GOROBA ……正方形の下に2本  マスル・カダンノスッ・クピコニノセルなど,名詞(助  足のついた形      詞)+動詞の形がかなりあり,これらは,それぞれ名詞  〜1(UBI……Y字形       の部分のみをとりあげ, KATAKUMA・KATAGU一

 〜KATA・〜KACYA……いちょう形      RUMA・KATA(KKO)・KUBI(KO)などの中に含

 〜BONBO……小さい平行四辺形       めた。

 〜NORI・〜AGEなど,後部分が動詞から転じた形   BI(N)BI(N)K:0はかなり多くの変種をまとめてあ  のもの……線符号       り,その中に,ビビ・ビンビ・ビビン・ビンビン・ビイ  以上のほかにも,後部分について一定の形の符号を与   ビイ・ビビコ・ビンビコ・ビビンコ ビンビンコ●ビイ えたものがあるが,それらの一つ一つについては凡例に  ビンコ・ビンコなどのほか,ビンブク・ビンビク・ビン よってみられたい。       ビキなど,BIにあたる音節が〔bu〕であるものや,末尾  次に,それぞれの見出し語形の内容について記す。   音節が〔ku, ki〕のものを含めてある。ブンブクチャガ  KATO(0)MA・KATA(KKO)のように見出しに  マ(6356.98)もこの中に含めた。 BE(N)BE(N)KOも かっこ部分を含むものは,それぞれ,KATOMAと  同様に,ベンベ・ベベン・ベベコ・ベンベコ・ベベンコ・

KATOOMA・KATAとKATAKKOとをまとめ  ベンベンコなどをまとめたものであるが, BI(N)BI(N)一 たものである。      KOの揚合のような母音部分の変種は含まれていない。

 KATAUMA・KATAKIUMA・K:UBIUMA・  これらの変種の一つ一つについて見出しを立てること

UMA(K:0)のように見出しをUMAとしたものは,  は,分布からみて妥当ではないと判断されたので,この ウマ(〔uma〕〔u【ma〕〔血ma〕など)とンマ(〔mma〕  よろに大まかなまとめ方をした。これらの詳細について

〔mma〕など)とをまとめたものである。ただし,琉球  も,具体的には『日本言語地図資料』を見なげれぼならな に分布するものについては,表記が〔 ma〕〔ma=〕であ  い。

るものもUMAの中にまとめてある。 KATAKUN一   次に,各類およびそれぞれの類にまとめた見出し語形

のうち,主なものについて,その分布をみて,それぞれ の歴史について検討してみよう。

 クビ類(空)は,北海道海岸部。東北・中部・隠岐・四 国南部から紀伊半島南部にかけてなど,周辺地域に多く みられ,本州と四国とを合わせた地域では,テン・デン 類(緑)やカタ類(榿)よりも古そうである。しかし,東北

に広くみられるKUBI(KO)NORIなどは,主として 長野以西に分布するKUBIUMAとは無関係に,独自 に発生して拡がったものかも知れない。というのは,東 北各地にみられるKUBI(KO)の中には,クビッコニノ セル・クボコサノサル・クピサノルなど,その内容が〜

ノセル・〜ノサル・〜ノルであるものを多数含んでお り,それらがKUBI(KO)NORIの発生と密接な関係 をもつものかも知れず,この種の発想は各地で独自に行 なわれやすいとも考えられるからである。

 しかし,福島などに分布のあるKUBI(K)KOMA・

KUBIKONMAなどは後部分がKOMA・KONMA

であり,西日本のKUBIUMAとつながるものかも知れ ない。福島は牡馬をコマまたはコンマという地域であ る。しかし,あるいはK:UBIK:0+UMA(またはMA)

であるかも知れない。少なくとも中部以西ではKUBI−

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