母性意識に関する「肯定因子」の得点の申央値はアンビバレン
ト群(C群)8.4,回避群(A群)8.6,安定群(B群)9.
1である。H検定の結果この中央値には統計的に有意な差が認め
られなかった(H=4.83Q,df=2,N.S.)。
また, 「否定因子」の中央値はアンビバレント群(C群)6.
2,回避群(A群)6.0,安定群(B群)5.5であるが,H
検定の結果,この中央値には統計的に有意な差が認められた(H
=2 8. 59 1, df= 2, p 〈. O 1).
「肯定因子」には有意差は認められなかったが, 「否定因子」
には統計的な有意差が認められたので,どの群間に有意な差があ
るのか,さらに有意水準O.05でU検定を行った。緒果を表3
0に示す。
表30.3群の「母性意識否定因子」の得点のU検定結果
群 間 被験者数 U統計量及び正規近似値 有意水準
A群〜B群 B群〜C群
38,90
90,55
1G3)。次に回避群(A群)と安定群(B群)の中央値は6.
0と5.5である。この両群間には統計的に有意な差があると言
える(z=2,7944,p<.01)。また,安定群(B群)
とアンビバレント群(C群)の中央値は5.5と6.2である。
この両群間には統計的に有意な差が認められた(z=5,432
0, p 〈, O 1).
安定群(B群)の被験者は他の2群に比較して「否定因子」に 関しては上記のように母親としての自分に対する否定的評価は低 い。また, 「肯定因子」に関しても,統計的な有意差はないが,
他の2群に比較して母親としての自分を肯定的面を高く評価する
傾向がある(H=4.830,p=0.089<O.1)。この
点で母性意識からみても仮説aは支持されたと言える。
また,仮説。から,アンビバレント群(C群)の被験者につい て,母性意識については「肯定因子」, 「否定因子」ともに高い 傾向を示すと予想したが,統計的な有意差はないもののアンビバ
レント群(C群)の被験者は「肯定因子」が低く「否定因子」が 高いという結果を得た。この点から仮説。は支持されなかった。
回避群(A群)の被験者についても,アンビバレント群(C群)
との違いはこの測定結果だけからは導き得ない。安定群(B群)
との比較だけから言えば,母親としての自分を受け入れにくいと いう点で仮説bは支持されているが,この結果は,安定群(B群)
に対して「非安定群」 (アンビバレント群・回避群)として「肯 定因子」の低いことと「否定因子」の高いことが示された結果と 言える。母性意識について,アンビバレント群(C群)と回避群
(A群)の違いを際立たせるためには,さらに測定尺度の工夫が 必要なことが示唆された。
一92一
4.内的ワーキングモデルの類型とソーシャルサポート
第3節の2で述べた「育児ストレス測定尺度」から見ても「人 づきあい」や「家族関係」が育児上のストレスに及ぼす大きな影 響は推測される。逆に,養育者を支援する立場からは育児ストレ スに対する補償因子としてプラスの面でとらえられる要因である。
個人を取りまく重要な他者(家va f友人,隣人,同僚等)から得 られる様々な援助は「ソーシャルサポート」といわれるが,Wer−
ner(1989)の「カウアイ島研究」でハイリスク児を守った補償因子 もこのソーシャルサポートの働きと言える。ここでは養育者の内 的ワーキングモデルの類型と養育者を取りまく重要な他者(家族,
友入,隣人,同僚等)から得られる「ソーシャルサポート」との 関係について検討した。
ソーシヤルサ)t9 一一トについては,サzb9 一一トの内容についていく つかの次元が考えられるが(久田(1987),堀野(1991),嶋(1991))
今回,嶋(1991)において抽出された4因子から,それを代表する
関わりを次ページ表31のように4項目選び被験者に評価しても
らった。
評価の対象として養育者を取りまく重要な関わりを持つ人物と
なり得るであろう16対象と自由選択1対象の合計17対象を設
定し(表31),サポート源の量的な広がりも検討する意図から サポート源になる人物の人数(該当者がいない場合は×印を記入)の記入を求めたが,他の調査とあわせて実施したことと,評価の 手続きが煩雑だったためか,人数については欠損値が多く量的処 理が困難である。そこで,今回は対象となる人物とどの程度関わ っているかという被験者にとっての主観的関わりの程度の面から
検討する。
内的ワーキングモデルの類型として得た3群について5段階評 定で求めた対象人物との関わりの程度(「よくある」〜「まった
くない」)について,全ての統計値を提示すると204件(4項
一93一目X17対象X3群)と膨大な:量になるので,ここでは有意水準 0.05でH検定を行い,その結、果統計的な有意差の認められた 項目・対象と,統計的な有意差は認められなかったものの有意水 準0,1未満で有意な傾向が認められた項目・対象についてのみ,
中央値と四分領域を表32−1から表32−4に示し,H検定の 結果を表33aから表33rに示す。
表31。ソーシャルサJ$o 一一ト項目と対象人物
次 元 質 問 項 目
1.心理的サポート
2.娯楽関連的サrte ・一ト
3.道具的・手段的 サポート
4.寸寸解決志向的 サポート
Q2.個人的な悩みごとについて話し合
える。
Q1.おしゃべりなどをして楽しい時を 過ごす
Q4,忙しいときに手伝ってもらったり,
相手が忙しいときには手伝ってあ げたりする。
Q3.わからないことを聞いたり,教え あったりする。
対 象 入 物
A,夫 B。自分の父親 C.自分の母親 D.夫の父親
E.夫の母親 F.自分の姉妹 G.自分の兄弟 H.夫の姉妹 1.夫の兄弟 J.身近な親戚 K.最も親しい友入・親友 L.職場の友人 M,学生時代の友人 N,近所の隣入
0。子どもの園・学校の母親仲間 P.趣味・サークル活動の仲間 Q.その他自分にとって重要な人物(自由記述)
一94一
表32−1.3群動に統計的有意差のあった項目と対象人物
のソーシャルサポート評価の中央値と四分領域娯楽関連的サポート Q1.おしゃべりなどをして楽しい時を
過ごす
対象人物 群 申央値 四分領域
A,夫(*)
c
A
B
3. 9 3. 8 4. 4
O. 9 0. 9 0. 9
B.自分の父親
c
A
B
2. 5 2. 2 2. 8
O. 7 0. 6 0. 7
D.夫の父親
c
A
B
1. 3 1. 7 2. 4
O. 5 0. 6 0. 6
K.最も親しい 白州・親友
c A
B
4. 0 3. 7 4. 8
O. 8 0. 7 1. 0
(*) 3統計的な有意差はないが,
認められる対象
p<0.1で有意な傾向の
一95一
表32−2。3半間に統計的有意差のあった項目と対象人物
のソーシャルサポート評価の申央値と四分領域心理的サポート Q2.個人的な悩みごとについて話し合 える。
対象人物 群 申央値 四分領域
A.夫(*)
C
A
B
4. 0 4. 2 4. 4
O. 9 0. 8 0. 6
B.自分の父親
c
A
B
1. 9 2. 1 2. 6
O. 8 1. 1 1. 0
F.自分の姉妹
C
A
B
3. 2 3. 4 3. 9
1. 0 1. O O. 9
K.:最も親しい
友人・親友(*)
C A
B
4. 0 3. 6 4. 0
O. 9 0. 7 0. 9
(*):統計的な有意差はないが,p<0.1で有意な傾向の 認められる対象
一96一
表32−3.3群間に統計的有意差のあった項目と対象人物
のソーシャルサポート評価の中央値と四分領域聞題解決志向的 Q3.わからないことを聞いたり,教え サポート あったりする。
対象人物 群 中央値 四分領域
C.自分の父親(*)
C
A
B
2, 7 2. 3 2. 9
ユ.O
O. 9 0. 9
D.夫の父親
c
A
B
L 7
1. 6
2e 2
O. 7 0. 7 0. 8
K.最も親しい C
:友入・親:友(*) A
B
4. 5 3. 7 4. 2
1. 3 0. 8 0. 8
N.近所の隣人
c
A
B
3. 2 2. 8 3. 5
O. 7 0. 6
ユ.0
(*) :統計的な有意差はないが,p<O.1で有意な傾向の 認められる対象
一97一
表32−4.3群間に統計的有意差のあった項目と対象人物
のソーシャルサポート評価の中央値と四分領域道具的・手段的 Q4.忙しいときに手伝ってもらったり,
サポート 相手が忙しいときには手伝ってあ げたりする。
対象人物 群 中央値 四分領域
B.自分の父親
C
A
B2. 2 2. 0 2. 7
O. 80e 8
0. 9 C.自分の母親(*)
c
A
B3. 5 3. 6 4. 0
1. 1 0. 8 0. 9
D.夫の父親
c
A
B1. 9
L 4
2. 2
O. 9 0. 5
L O
K.最も親しい 友人・親友
C A
B
2. 9 2, 2 3. 3
1. 2 0. 7 1. 1
N.近所の隣人
c
A
B2. 6 2, 1 3, O
O. 9 1. 0 1. 0 0.子どもの園
学校の母親 仲間(*)
C A
B
2, 3 2. 1 2. 7
1. 1 0. 8 1. 0
(*) :統計的な有意差はないが,
認められる対象
p<O.1で有意な傾向の
一98一
表33.ソーシャルサポートの得点のH検定結果
a. (娯楽関連的サポート×夫)
群 被験者数 順位和 平均順位 カイ2乗値