A群〜B群 38,85 B群〜C群 85,50
中学生 10 高校生 12
成人 96
919.0 421.5 738,0 6699.5
65.64 42.15 61,50 69.79
4.983
(df=3)
結びの数:36
N. S.
この結果から見ると育児経験の有無は育児ストレスの認知に関 わりがないと言える。ただし,表36bに見られるように身近な 人が赤ちゃんの世話をするのを見た時期により分類してみると,
H検定により統計的な有意差がみられた(H=9.492,p<.
05)。そこでどの群間に有意な差があるのかさらに有意水準0.
05でU検定してみた。表37に統計的な有意差の認められ群間
を示す。
表37.育児経験の時期による育児ストレスの違い
育児経験 被験者数 u統計量 有意水準 中学生
高校生
21
!3
Ul=62.50 U2=210.50
p 〈,Ol z=2.6261
一 122 一
U検定の結果,中学生の時期に身近な人が赤ちゃんの世話をす るのを見る経験をした被験者の育児ストレスの筆墨値は38.4 であり,高校生の時に経験した被験者の育児ストレスの中央値は 47.9であるが,中学生の時期に経験した被験者群と高校生の 時期に経験した被験者群の群間には統計的に有意な違いが認めら
れた(z=2.626!,p<, O!)。
育児経験を3種類に分類して検討したが,統計的に有意差を見 いだせたのは上記の中学生の時期と高校生の時期の育児経験の有 無のみであった。ただし,統計的に有意な差とは認められないが,
育児経験の時期については中学生の時期に経験したと答えた被験 者がいずれも育児ストレスが低い傾向にあった。また,他の時期 の被験者については統計的な有意差はないことはもちろん,統計 値*2を単純に比較しても余り変わらない。このことだけからは断 定できないが,申学生の時期になる思春期は将来の養育者(ここ では女子の資料しかないが)となるための重要な時期にあたるこ とが示唆される。
以上のことから,育児ストレスについては,個人の内的ワーキ ングモデルがストレス認知に関連していることが言えるが,養育 者となる前の育児経験については内的ワーキングモデルの類型に 比べると育児ストレスとの関連は薄い。ただし,時期によってそ の影響が異なり,思春期における育児経験は何らかの関連がある
ことが示唆された。
*1 B。wユbyの原著ではrepresentational modeユsと言う表現を使って いる。他の悩所ではworkin墓m。deユsと言う表現を使っているが概 念としては同じ内容を指していると思われる。訳者はrepresent−
ationaユmodelsに「代表的モデル」,working modelsに「作業モ デル」と言う訳語を当てて訳し牙けているが,筆者は訳し分ける
一 123 一
だけの概念の違いを感じない。内在化された「表象」としての内 的ワーキングモデルに注目すればrepresentationa!models,内的 ワーキングモデルの認知機能や情動機能の動的な着目すればwork −ing modelsと言える。その意味で,訳し分けるとすれば「代表的 モデル」と言うより「表象としてのモデル」と言った方が適切だ
ろう。
*2 育児に関わるを経験した時期別の育児ストレス合計得点中央値 は以下の通りである。
① 自分が赤ちゃんの世話をした経験
a,小学生の時期: Md=42.5 b,中学生の時期: Md=36. O c.高校生の時期: Md=47.3 d.成人してから: Md=45.8
(e.保健婦,保母など仕:事として: Md=41.8)
② 身近な人が赤ちゃんの世話をしているのを見た経験 a.小学生の時期: Md:=42. O
b.中学生の時期: Md=38.4 c.高校生の時期: Md=47.9 d.成入してから: Md=44.1
③ 身近な人からあかちゃんの世話をする楽しさやしんどさを 聞いた経験
a.小学生の時期: Md=43.3 b.中学生の時期: Md=37.5 c.高校生の時期: Md=4!.5 d.成人してから: Md=43.4
一 124 一
第2節 新たな愛着対象の出現と内的ワーキングモデルの再構成の 可能性
これまで述べてきたように内的ワーキングモデルは育児上のス トレスにさらされている時のような,個人にとって情動を喚起さ れる場面においてストレス認知に関連し影響を及ぼしているとい える。Bowlby(1980)がいうように内的ワーキングモデルは個人の 認知機能に働きかけて環境からの情報を選択的に入力し,個入の もつ内的ワーキングモデルにとって「安全感」が得られるように 情動を制御する。BowlbyにせよAinsworthにせよ,研究の対象とし ては乳幼児の養育者(主に母子関係であるが,Bowユbyは「母親」
という表現は避けようとしている)との関係であり,ここで述べ るように成人の内的ワーキングモデルを直接扱ってはいない。そ こで,内的ワーキングモデルの研究において今後の最大の聞題は 乳幼児期の愛着行動と本研究でも問題としている内的ワーキング モデルの関連であろう。
今回使用した戸田等による質聞紙による内的ワーキングモデル の分類は,乳幼児期の愛着行動のパターンに対応して作成された ものである。乳幼児期に愛着行動という形で客観的に測定できる 行動として現れた乳幼児期の内的ワーキングモデルが,全く変化
しないで成入になっても同じ構造で同じように機能しているかの ようにして論を進めているが,乳幼児期から成人に至るまでに内 的ワーキングモデルがどのように発達的変化を遂げるかは,まだ 明らかにされていない。
今回指摘したように戸田等による「愛着スタイル測定尺度」に ついても本研究の被験者においてはいくつか項目として不適切と 思われるものもあった。Comrey(1973)によれば,因子分析を行う 上で信頼性を得ようとすれば,できれば500以上の標本を使う べきであると述べているが,本研究では197というC。mreyのい
う必要数には満たない標本数であった。Comreyによれば標本数 一 125 一
200以上を十分ではないが「まあまあよい」標本数としている おり,そこで本研究でも因子分析にかけてみて確認してみた。標 本数という点からは今回やや不足したことが「愛着スタイル測定 尺度」において戸田等とやや違った結果を得た原因とも考えられ る。この点ではさらに被験者数を増やした継続研究が必要である,
また, 「愛着スタイル測定尺度」の信頼性については,評定の 内的一貫性を検討するため,3要因それぞれ7項目ずつについて 次ページ表38のようにCronbachのα係数を求めてみた。
表38に見る通り,3要因とも0.7以上を記録した。因子分
析の結果と各7項目という項目数の少なさから考えると筆者には 予想以上に高い印象がある。α係数で測った測定尺度の内的一貫 性という点からは満足すべき数値であろう。本研究ではクラスター分析で得た3群と「愛着スタイル測定尺 度」の3要因が対応していた。質問項目についての今後の検討は 必要であるが成人の愛着スタイルを測定するための妥当性は本研 究でも示されたと言える。
ただし,先にも述べた通り乳幼児期の愛着行動のパターンと成 人の内的ワーキングモデルの関連を直接ものがたるものではない。
Bowlby(1980)は内的ワーキングモデルについていったん形成され ると意識の外で働くので変化しにくいと述べているが,一方で愛 着について述べたなかで, 「愛着は通常ライフサイクルの大部分
を通じて続く。青年期になると幼少時の愛着は弱まり,新しい愛 着行動によって補完されるようになるカ㍉ある場合には新しい愛 着によって代わられるようになるが,幼児期の愛着は簡単には放 棄されず,いつまでも残っていくのがふつうである」 (Bowrby
(1979)pp.184)と言い,必ずしも一度形成された内的ワーキング モデルが全く変化しないとは考えていない。
一 !26 一
表38.愛着スタイル測定尺度の項目とα係数
項 目 α係数
Secure
QB1.私は知り合いができやすい方だ。
QB4.私はすぐに人と親しくなる方だ。
QB7.私は人に好かれやすい性質だと思う。
QB10.たいていの人は私のことを好いてくれている と思う。
QB13.気軽に頼ったり頼られたりすることができる。
QB16.どんなことがあっても,友達は私を見捨てた りしないと思う。
QB19.初めて会った人とでもうまくやっていける自 信がある。
O. 8212
Amb i,vaient
QB2.入は本当はいやいやながら,私と親しくしてく れているのではないかと思うことがある。
QB5。時々友達が,本当は私を好いてくれていないの ではないかとか,私と一緒にいたくないのでは と心配になることがある。
QB8,自分を信用できないことがよくある。
QB11.あまり自分に自信が持てない方だ。
QB14.私は誤解されやすい方だ。
QB17.私はいつも人と一緒にいたがるので,時々人か らうとまれてしまう。
QB20.ちょっとしたことですぐに自信をなくしてしまう。
O. 7962
Avoidant
QB3.入に頼るのは好きで はない。
QB6.私は人に頼らなくても,自分一人で十分うまく やっていけると思う。
QB9.あまりにも親しくされたり,こちらが望む以上 に親しくなることを求められたりするとイライ うしてしまう。
QBユ2.あまり人と親しくなるのは好きではない。
QB/5.入は全面的には信用できないと思う。
QB18.生涯つき合っていきたいと思うような友達はほ とんどいない。
QB21.どんなに親しい間柄であろうと,あまりなれなれ しい態度をとられるといやになってしまう。
O. 7207
α係数は次式により計算した:α=m{1一.曳。2/σ2}/(m−!)
講縞蠣霧繕十目得点の轍
一 127 一