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(『労働力調査特別調査』(1991)より作成)

 末子の年齢が母親の就業に与える影響については同じ調査で数 量化H類により「女子の就業」の要因を分析しているが,それに よっても末子年齢が0〜3歳というのは就業に対して大きな負の       一30一

要因となっていることが指摘されている。

 このことについては, 「労働白書」(1991)における次のような 統計からも推測できる。図2は女子労働力率の国際比較にわが国 の「潜在的女子労働力率」 (労働力人口と就業希望者数を加えて 該当年齢の人口で割ったもの)を加えて図にしたものである。こ こではアメリカとスウェーデンのみを図にしたが,いわゆる先進 国と呼ばれる欧米諸国ではほぼ同様な曲線を描く。際立って目立 つのは,日本の女子のrM字型就労」と呼ばれる現象である。先 にふれた「労働力調査特別調査jに見られるように,結婚・出産

・育児に伴って職場を離れ,育児が一段落した頃からまた仕事に つくという労働形態である*1。

 しかし,実際に就労している人口に就労希望者数を加えた「潜 在的労働力率」を見てみると,欧米諸国と同様な曲線を描いてい

ることがわかる。この20歳代後半から30歳代にかけての就労

者数の落ち込みは「子育ては母親自身の手で」という一般的観念 の所在を顕していると推測される。

 また, 「子ども白書」(1992)で紹介している女性誌「わいふ」

1991年7月号の特集記事「核家族の子育てとしつけの盲点」

によると,保育園児の母親と家庭育児の母親では,子どもに対す る姿勢が異なり,表10に見られるように,前者は後者より「甘 い」という結果が出ているということである。この結果について

「子ども白書」(1992)は「母親が『働く』ということが人間とし て当然であり,誇るに足ることであるという自覚がない場合,働

く母の子育ては,子どもを甘やかす結果になりがちです。日本の 働く母親はまだまだ『母性神話』に呪縛されている,といってま ちがいではありません」 (pp.112)と論評している。表10にお いて,選択肢2を選んだ母親を子どもを甘やかしていると,簡単 に解釈する見解を筆者は肯んずることは早計と考えるが,選択肢 2を選ぶ背景に働く母親自身の子どもに対する後ろめたさを見る ことはできるだろう。

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/9 24 29 34 39 44 49 54 EE) 64 図2,年齢別女子労働力率

(『労働白書』(1991)より作成)

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表10.保育園児の母親と家庭育児の母親のしつけ観の違い 選択肢:1. 親は自分の人生観に旛じて確固とした方針を持ち,

     やさしいなかにも権威ある親であるべきだ。また子      どもが親のいうことをきくのは当然である。

    2. 幼児期の子どもは,まだ聞き分けがないのだから,

     自由にのびのびと育てるべきだ。それは最終的には      子どもの自主性を育て,個性豊かな人間にすると思      う。

    3.子どもに欲求不満を感じさせないように,物心両      面豊かに,十分な満足を与えて育てたい。子どもの      安定した情緒を育て,充実した親子関係を作るため      にもそのことは重要だと思う。

保育園児の母親 家庭育児の母親

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2を選択 48. 40/o 30. 20/.

3を選択 18. 50/o 18. 60/o

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(『わいふ』(1991/7):「子ども白書」(1992)より引用)

一33一

 子育てに関するわれわれの意識について更にふれると,総理府

青少年対策本部による図3−1,図3−2のような国際比較があ

る。 「子どもを育てる意味」について意識調査をしたものだが,

図3−1に見られるようにわが国では「家の存続のため」という 意識は低くなっている。また図3−2に見られるように「出産・

育児によって自分が成長する」という意識については高い割合;を 示し,この二点から見ると欧米諸国と似ている。

 しかし,わが国においては「子どもを育てることは楽しい」と いう意識は低く(図3−2), 「夫婦は子どもをもってはじめて 社会的に認められる」という意識が韓国と並んで他の諸国に比べ て高い(図3−!)*2。

 戦後, 「イエ意識」は低下してきていることが窺えるが,反面,

「夫婦は子どもをもってはじめて社会的に認められる」といった,

子どもをもたない女性への有形無形の圧力となるような,本節で 問題としてきたいわゆる「母性神話」という固定観念の呪縛を思 わせる結果ともなっている。

 その結果「子どもを育てるのは楽しい」という子育ての意識は 低くなるのは当然といえよう。母親自身の意識の申にも子どもへ の献身や,母親は子どもに絶対的な愛情を注ぐもので子育てに専 念しない母親は異常だといったような「母性神話」を形作る観念 があり,このような調査にもその葛藤が現れているといえる。

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(家の存続の ため)

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