4.2 Bulk の寄与の入った時空の共形場理論
4.2.2 Bulk の寄与の入った時空の共形場理論
今までは古典論的な取り扱いをしてきたのだが、ここから量子論に持っていくことを考える。そ のとき、current は式(4.48)のOPEを満たす。primary state Φh は次のようなOPEを満たすも のとして定義する。
J−(z)Φh(x,x;¯ w,w)¯ = −∂xΦh(x,x;¯ w,w)¯ z−x
J3(z)Φh(x,x;¯ w,w)¯ = −(x∂x+h)Φh(x,x;¯ w,w)¯
z−x (4.148)
J+(z)Φh(x,x;¯ w,w)¯ = −(x2∂x+ 2hx)Φh(x,x;¯ w,w)¯ z−x
zero mode の寄与のみを考えると古典論の場合と一致する[47]。decendant は primary field に J(x;z) あるいはそのx についての微分を作用することで作ることができる。エネルギー·運動量 テンソルもいつもと同じように構成できて、primary field は worldsheet 上の共形場理論に対し て、conformal weight
∆h = ∆¯h=−h(h−1)
k−2 (4.149)
を持つ状態となっている。式(4.139)の表式を用いることで、current 同士の OPE (4.48)は J(x;z)J(y;w) =k(y−x)2
(z−w)2 + 1
z−w[(y−x)2∂y−2(y−x)]J(y;w) (4.150) とまとめ直すことができる。current とprimary field のOPEも同様にまとめられて、
J(x;z)Φh(y,y;¯ w,w) =¯ 1
z−w[(y−x)2∂y+ 2h(y−x)]Φh(y,y;¯ w,w)¯ (4.151) となる。ここで注目したいのは、J(x)Φh(x,x)¯ は特異点を持たないということで、そのため、式 (4.144)で定義される∂¯zΛ = (π/k) ¯JΦ1 はprimary stateになっていて、量子論でも成立する式と なっている。
primary state Φh の性質は調べられていて[47][48]、相関関数やOPEも知られている。ただし、
非常に複雑になってしまうので、このあとの議論で用いる次の形を引用しておくにとどめる[49]。
zlim→wΦ1(x,x;¯ z,z)Φ¯ h(y,y;¯ w,w) =¯ δ(2)(x−y)Φh(y,y;¯ w,w)¯ (4.152) ただし、表現として discrete series D+ を用いた。OPEがdelta 関数的な係数を持ち得るとこは
SL(2, C) 不変性からも示すことができて、このdelta 関数のおかげでこの後構成する時空の共形
場理論のcurrentが、時空の共形場理論の座標に対して特異点を持たせることができる。
今回は worldsheet 上で conformal weight (0,1) の場を持ってくる必要がある。前節で構成した
∂¯zΛ = (π/k) ¯JΦ1 は J¯の conformal weight が (0,1)で、 Φ1 はworldsheet では式(4.149)より
conformal weight が(0,0)であることからこれを利用することで、次の演算子を構成する。
Ka(x) ≡ −1 π
∫
d2zka(z)∂z¯Λ(γ,γ, ϕ;¯ x,x)¯
= −1 k
∫
d2zka(z) ¯J(¯x,z)Φ¯ 1(x,x;¯ z,z)¯ (4.154) 古典的な表式(4.145)から
∂¯xΛ =πΦ1 (4.155)
が成り立っていて、この式には場の積など量子論に持っていったときにずれる効果が入らないの で、量子論でも成り立つ。この式を用いることで、式(4.154)は次のような量を定義すると便利で ある。
∂x¯Ka(x) = −∫ d2zka(z)∂¯zΦ1(x,x;¯ z,z)¯
= ∑
i
I
Ci
dz
2ika(z)Φ1(x,x;¯ z,z)¯ (4.156) ここで、第 2 式に移るときに積分を実行した。演算子は式(4.136)のように相関関数として計算 されるものである。演算子が挿入されていないところはworldsheet は特異点を持たないので、演 算子が挿入されている部分に小さな穴をあけたworldsheet上で積分した。その結果、演算子の挿 入されているまわりの積分の寄与に帰着することができた。
次に今作った演算子が時空の共形場理論のcurrent 代数をなしていることを調べることにする。
まず、primary field Φhを用いてworldsheet上でconformal weightが(1,1)の演算子Vh(x,x;¯ z,z)¯ を作り、その積分
Vh(x,x)¯ ≡∫ d2zVh(x,x;¯ z,z)¯ (4.157) で時空の場を表すとする。ただし、Vh(x,x;¯ z,z)¯ はworldsheet 上で次のOPEを持つとする。
ka(z)Vh(y,y;¯ w,w) =¯ ta(R)
z−wVh(y,y;¯ w,w)¯ (4.158) まず、 current とprimary field との OPEを求めるために次の相関関数を計算する。
< ∂¯xKa(x)Vh(y,y)¯ · ··>=
∫ d2w
I dz
2i < ka(z)Φ1(x,x;¯ z,z)V¯ h(y,y;¯ w,w)¯ · ··> (4.159) ここで、式(4.156)の表式を用いた。· · · はその他の演算子の挿入を表している。今、current と primary fieldとの OPEを調べたいので、積分路はprimary field の挿入されている場所のまわり のみをとる。ここで、前節の最後に書いた OPE (4.152)から
zlim→wΦ1(x,x;¯ z,z)V¯ h(y,y;¯ w,w) =¯ δ(2)(x−y)Vh(y,y;¯ w,w)¯ (4.160)
とできることを用いると、
< ∂x¯Ka(x)Vh(y,y)¯ · ··>=πδ(2)(x−y)ta(R)< Vh(y,y)¯ (4.161) となる。delta 関数の公式
∂x¯ 1
x−y =πδ(2)(x−y) (4.162)
を用いるとcurrent とprimary field との OPE は Ka(x)Vh(y,y) =¯ ta(R)
x−yVh(y,y)¯ (4.163)
となることが分かる。式(4.152)のようなdelta関数的な係数を持ったために、得意点を持つ項が 正しい形で出すことができた。
次に current 同士のOPE を求める。このためには次のような相関関数を調べればよい。
< ∂x¯Ka(x)Kb(y)· ··>
= −1 k
∫ d2w
I dz
2i < ka(z)Φ1(x,x;¯ z,z)k¯ b(w) ¯J(¯y; ¯w)Φ1(y,y;¯ w,w)¯ · ··> (4.164) J¯ との OPE による寄与は (¯x−y)¯ の正べきの寄与しかしないので、ここでは無視してよい。
ka(x)kb(y) のOPE は式(4.153)のように1/(z−w) について2 次の項と 1次の項がある。1 次 の項からの寄与は先程と同様に計算でき、
< ∂x¯Ka(x)Kb(y)· ··>=πδ(2)(x−y)ifabc< Kc(y)· ··> (4.165) となる。2 次の項からの寄与からは次のような項が出てくる。
zlim→w∂zΦ1(x,x;¯ z,z) ¯¯ J(¯y; ¯w)Φ1(y,y;¯ w,w)¯ (4.166) ここで式(4.144)と式(4.155)を組み合わせた式
∂zΦ1(x,x;¯ z,z) =¯ 1
k∂x[J(x;z)Φ1(x,x;¯ z,z)]¯ (4.167) を用いることで、
klim
z→w∂zΦ1(x,x;¯ z,z) ¯¯J(¯y; ¯w)Φ1(y,y;¯ w,w)¯ (4.168)
= lim
z→w∂x[J(x;z)Φ1(x,x;¯ z,z) ¯¯ J(¯y; ¯w)Φ1(y,y;¯ w,w)]¯
= ∂xδ(2)(x−y)J(y;w) ¯J(¯y; ¯w)Φ1(y,y;¯ w,w)¯ (4.169) とできる。したがって、2 次の項からの寄与は、
< ∂¯xKa(x)Kb(y)· ··>=−πkws
2 δab∂xδ(2)(x−y)< I· ··> (4.170)
となる。ただし、
I = 1 k2
∫
d2zJ(y;z) ¯J(¯y; ¯z)Φ1(y,y;¯ z,z)¯ (4.171) とした。ここで、
< I · ··>=P <· · ·> (4.172) と定義する。すると、Ka同士の OPE は
Ka(z)Kb(w) = kstδab/2
(z−w)2 +ifabcKc(w)
z−w (4.173)
となり、時空の共形場理論における current と思えることが確かめられた。ただし、
kst =kwsP (4.174)
となっている。
次に時空の共形場理論のエネルギー·運動量テンソルを作る。current の場合と同様に次のよう な組み合わせを考えてみる。
T(x) =
∫
d2z[A1J ∂x2Φ1+A2∂xJ ∂xΦ1+A2∂x2JΦ1] ¯J(¯x; ¯z) (4.175) 積分される部分は worldsheet 上で primary となっていなくてはならない。そのためには特異点 を持つ項が消えるように係数を選ぶ必要がある。実際にJ(x;z) とΦ1(y,y;¯ w,w)¯ のOPEを計算 することで
6A1−4A2+ 2A3 = 0 (4.176)
が満たされていればよいことが分かる。そこで、次のように係数を選ぶことにする。
T(x) = 1 2k
∫
d2z(∂xJ ∂xΦ1+ 2∂x2JΦ1) ¯J(¯x; ¯z) (4.177) 規格化はエネルギー·運動量テンソルの OPE を満たすように決めた。current の場合と同じよ うに、
∂x¯T(x) =∑
i
1 2
I
Ci
dz
2i[∂xJ ∂xΦ1+ 2∂x2JΦ1](x;z) (4.178) を用いると後の計算に便利である。
この演算子が実際に時空の共形場理論のエネルギー·運動量テンソルのOPEを満たしているか 調べる。今回は演算子が場の積で定義されているため、公式(2.68)を用いる必要があり計算が複 雑になっている。エネルギー·運動量テンソルと primary field との OPEは
< ∂¯xT(x)Vh(y,y)¯ · ··>
= 1 2
∫ d2w
I dz
2i <[∂xJ ∂xΦ1+ 2∂x2JΦ1](x;z)Vh(y,y;¯ w,w)¯ · ··> (4.179) から求められ、
T(x)Vh(y,y) =¯ hVh(y,y)¯
(x−y)2 +∂yVh(y)
x−y (4.180)
となる。エネルギー·運動量テンソル同士の OPE は
< ∂¯xT(x)T(y)· ··> = 1 2
1 2k
∫ d2w
I dz
2i <[∂xJ ∂xΦ1+ 2∂x2JΦ1](x;z)
·[∂yJ ∂yΦ1+ 2∂y2JΦ1] ¯J(¯y; ¯w)· ··> (4.181) から求められ、
T(x)T(y) = cst/2
(x−y)4 + 2T(y)
(x−y)2 +∂yT(y)
x−y (4.182)
となり、正しいOPE を示していることが分かる。ただし、central charge は先程定義した P を 用いることで、
cst = 6kP (4.183)
となる。P がどのような値になるかは次の節で調べることにする。