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BTZ ブラックホール

ドキュメント内 1 Introduction (ページ 48-51)

第 3 章 反ド · ジッター空間とその性質 36

3.3 BTZ ブラックホール

を定義する。この行列には逆が存在するので、Dirac 括弧を定義することができる。ここで、式 (3.65)をJn± を用いて書き直すと

[Jm+, Jn] = kmδm+n,0+ 2Jm+n3

[Jm3, Jn±] = ±Jm+n± (3.88)

[Jm3, Jn3] = k

2m,n

となることを用いた。行列C1 を用いることで普通の交換子とDirac括弧に対応する交換子は次 のような関係をもつ。

[a, b]= [a, b] + n

2k[a, Jn+][J+n, b] + 1

k[a, Jn+][J3n, b]− 1

k[a, Jn3][J+n, b] (3.89)

この Dirac括弧に対応する交換子を用いることで、Virasoro代数の交換関係

[Ln, Lm] = (n−m)Ln+m k

2n3δn+m (3.90)

を再現することができる。central chargeは

c=6k (3.91)

となっている。式(3.53)からk=−l/(4G)という関係がついているため、ニュートン定数を用い てcentral charge を書き表すと、

c= 3l

2G (3.92)

となる。この解はVirasoro 解と呼ばれる。Brownと Henneaux [17]は計量の形式を用いて境界 でAdS3 空間となるような条件の元で、境界に存在する共形場理論のVirasoro代数の生成子を求 めた。計量を用いる方法と Chern-Simons 理論を用いる方法とは互いに入れ換えることができる ため、本質的にこの節で行ったことと同じことをしている。

となる。horizonはN(r) = 0の点に対応していて、実際に計算することで、

r±2 = 4GM l2

1±

1

( J M l

)2

(3.96)

と求まる。horizonが存在するためには、質量が正M >0であることと、BPS条件 |J| ≥M lを 満たしている必要がある。|J|=M lのときにはr+ =r が成り立っていてextremal な状態に対 応している。Bekenstein-Hawking の公式からエントロピーを求めると、

S = Area

4G = 2πr+

4G (3.97)

となる。J = 0、M =1/(8G) としてみると、

ds2=l2 (

1 +r2 l2

) 2+

( 1 +r2

l2 )1

dr2+r22 (3.98) となり、式(3.16)の式と一致している。すなわち、角運動量がなく、質量が負のある決まった値 の時のBTZブラックホールはAdS3 空間そのものになっていて、特異点が存在していないことが 分かる。

今調べた BTZ ブラックホールを 第 2.2 節で調べた Chern-Simons 理論との関係を求めるこ とにする。そのためには、 Chern-Simons 理論から計量を使った方法に変換する必要がある。式 (3.47)から多脚場とゲージ場との関係はeaµ =(il/2)(Aaµ−A¯aµ)となっており、式(3.21)から 多脚場と計量との関係はgµν =ηabeaµebν となっている。SU(2)の生成子Ta を用いてeµ=eaµTa

と定義したとき、

eµ=−i1

2(Aµ−A¯µ) (3.99)

と多脚場を行列形式で表すことがでる。計量はSU(2)の生成子のトレースがTr(TaTb) =(1/2)δab となっていることから、

gµν =2Tr(eµeν) (3.100)

を用いて計算することができる。

実際にVirasoro解を用いてBrown-Henneauxの共形場理論の Virasoro代数の生成子と計量と の関係を求める。Virasoro解のゲージ場を式(3.99)に代入すると、

ew = l 2

( 0 eρ eρ Lk 0

)

(3.101) ew¯ = −l

2

( 0 eρLk¯ eρ 0

)

(3.102) eρ = l

( i

2 0

0 2i )

(3.103) となる。式(3.100)を用いて多脚場から計量に変換すると、

ds2= 4Gl(Ldw2+ ¯Ldw¯2) + (l2e+ 16G2LLe¯ )dwdw¯+l22 (3.104)

となり、Virasoro代数の生成子を用いて計量を書き表すことができた。ただし、ここで式(3.53) のcurrent 代数の levelと3 次元の重力理論における変数との変換式 k=−l/(4G) を用いた。

Virasoro代数の生成子が定数のときがブラックホールに対応している。もしVirasoro代数の生

成子が torus上に定義されているならば、global にtorus上に定義することのできる関数は定数

のみである。ここで、次のように規格化を決めたとき、式(3.93)に一致することを示すことがで きる。

L0+ ¯L0 = M l = r2++r2

8Gl (3.105)

L0−L¯0 = J = 2r+r

8Gl (3.106)

式(3.93)と比較するためには変数変換をする必要がある。そこで、

w=ϕ+it (3.107)

として、radial方向を

r2 =r+2 cosh2−ρ0)−r2sinh2−ρ0) (3.108) とする。ρ0

e= r+2 −r2

4l2 (3.109)

を満たすとする。このような座標を選ぶことによって、l22=N2dr2 の性質を持たせることが できる。実際にこれらの座標変換を行うことによって、式(3.104)の計量が式(3.105)と式(3.106) の元で、式(3.93)の計量と一致することが示される。

式(3.105)と式(3.106)によって、Brown-Henneauxの共形場理論のVirasoro代数の生成子と、

ブラックホールの質量と角運動量との関係をつけることができたので、式(2.87)のCardyの公式

を用いてBrown-Henneauxの共形場理論の立場からブラックホールのエントロピーを求めてみる。

Cardy の公式は

S(L0,L¯0)

cL0

6 + 2π

cL¯0

6 (3.110)

で、共形場理論のcentral charge は式(3.92) c= 3l

2G (3.111)

なので、これらの式を元にしてエントロピーを計算すると、

S

l(M l+J)

8G + 2π

l(M l−J) 8G

=

π2

2Gl(2M l+ 2M l2−J2)

= 2πr+

4G = Area

4G (3.112)

となり、Bekenstein-Hawking の公式を用いて計算した値と一致している。このことはbulk の情 報が境界にある共形場理論から得られることを示唆しており、反ド·ジッター空間のbulk の情報 とその境界にある共形場理論の情報か対応しているという AdS/CFT 対応[12][30][34]になって いる。

境界にある共形場理論は effective には Liouville 理論[35] で表すことができ、そのときには cef f = 1 を用いるべきという議論もある[36]が、Liouville理論で表すときにはAaA¯a を組み 合わせて新しく場を定義し直しているため、自由度が落ちてしまっておりエントロピーの議論を する際にはLiouville理論に帰着させる方法は向いていないと思われる[19][37]。

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