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第 3 章 Amper プロジェクト

第 4 節 Amper に関連した拙稿

1.1. 目的、実験

Amperでは、インフォーマントの条件に「高等教育を受けたことのない者」

という項目を設けている。高等教育を受ける環境下にあった者は一般的に他の 地方出身の人間との接触が多くその影響を受けている可能性があることを想定 して設けられた条件だが、高等教育を受けたことのあるインフォーマントとそ うでないインフォーマントで実際にどのような違いがあるかを確認する。

高等教育を受けたことのないグループ (以降、G1) と高等教育を受けた経験 のあるグループ (以降、G2) 各4人で計8人のインフォーマントの協力を得た。

23 http://www.lis.secyt.gov.ar/index.php?l=es (最終閲覧日:20121122)

24 Yanagida et al. (2009a)

25 http://www.iada-web.org/category/online-publications/ (最終閲覧日:201211 22)

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Amperプロジェクトの基準に基づいた短い定型の平叙文 (NP+V+PP構造) を 発話させてコーパスを作成し、それを分析した。

コーパス作成に用いた具体的な単語はそれぞれ、NPはel triángulo、la guitarra、el saxofónの3種類、 Vは常にse toca、そしてPPはcon pánico、 con mesura、con obsesiónの3種類で、組み合わせ方は以下の通りである。

このようにして、9種類の定型平叙文を作成する。

なおコーパス作成に際しては、「文字を音読する」のではなくできる限り自然 な発話に近づけるため、以下のような方法をとった。まず文をNP、V、PPに 分けてそれぞれを小さなカードに書き、インフォーマントの前のテーブルに並 べる。インフォーマントはその時点で定型文に用いられる語彙バリエーション を頭に入れておく。NP が書かれたカードのうちのひとつと PP が書かれたカ ードのうちのひとつを、実験者はランダムに選択し指差して示す。インフォー マントはそれを見て組み合わせを確認し、いったんテーブルから目を上げる。

そしてその文をできるだけ自然発生的に発話する。今回は8人のインフォーマ ントが上記要領で9種類の定型文を3回ずつ発話した。

こうして作成されたコーパスに、ラベリングを施していく。今回は、子音と 母音を分けて F0 の平均値を出すためには Matlab を、それ以外のデータを入 力するためにはAnagrafを使用した。

図3は “El saxofón se toca con obsesión.” という発話をMatlabで読み込ん だ画面である。上下の大きな枠のうち、上が音声波形、下がスペクトログラム であり、どちらにおいても縦線で子音と母音を区切ってある。この分節はラベ ラーが実際に聴く音と画像で確認しながら行う。この後、母音の部分だけを取 り出してピッチ変化を分析する。

La guitarra El saxofón

se toca

con pánico.

con mesura.

con obsesión.

El triángulo

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図3:Matlabの画面

図4:Anagrafの画面

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図4は “El triángulo se toca con pánico.” という発話をAnagrafで分析した 画面である。①は発話音声のスペクトログラム、②の青い曲線は F0 曲線、赤 い曲線は音圧を表す。これらはソフトで音声を読み込むと自動的に計算処理さ れて示される。

③にはラベラーが手作業で書き込んでいく欄が5段あり、上から順に音素記 号26、ピッチアクセント、句アクセントと境界トーン、正書法的表記、ブレイ クインデックスが記入できる。最下部に出ているさまざまな数値は、Anagraf が自動的に算出して上部のグラフに曲線などで表示した値等を数値で表記した ものである。

ラベラーはこれらの画像データや耳で聴く音を頼りにピッチアクセントや句 アクセント、ポーズなどを書き込んでいく。ピッチアクセントと句アクセント、

境界トーンの記述には第2章第4節で述べたToBI-Aを使用した。