第 1 章 導入
第 2 節 英語イントネーションを記述するための ToBI
2. トーン層
2.3. ダウンステップ
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いような場合。15
3: ip の境界。当該 ip において最後のピッチアクセントから境界までの 範囲に影響を与える句アクセントによって表される。つまり ip の中 の最後のピッチアクセントからその句の終わりにかけて句アクセン トが存在する場合に、ブレイクインデックス3がマークされる。
4: IPの境界。最後の句アクセントの後の最終境界トーンによってマーク
される。
例:Did you want an example?
0 1 0 1 4
↑/d j/の硬口蓋化 ↑/t/の消失とそれによる/n/の弾き音化 ↑ ↑かすかに単語の境界を感じさせる
その他にも、ブレイクインデックスを特定しきれない場合や発話が突然中断 された場合、話者が言いよどんだ場合などに記入するための記号や表記法もい くつか提案されている。
4. 注釈層
発話中に沈黙や呼気の音、笑い声や言いよどみが含まれていた場合に、それ を注記として書き込める層が用意されている。
第3節 Sp-ToBI
前節で扱った英語イントネーションの音韻論的表記法である ToBI は、近年 他の言語のイントネーション記述にも応用されている。その中でもスペイン語 のイントネーションを記述するためのものは Sp-ToBI (Spanish Tones and Break Indices) と呼ばれている。本節では主に、AM理論を適用したスペイン 語のイントネーションパターン記述を初めて提案したBeckman et al. (2002) と、それに改定を加えたEstebasVilaplana y Prieto (2008)、そしてSp-ToBI
15 Beckman et al. (1997):35. ブレイクインデックスの中でも特に中間的要素として 説明されている。
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のホームページ16に基づき、スペイン語イントネーションのための音韻論的枠
組みをSp-ToBIと合わせて概観する。
Sp-ToBIは、世界各地で話されている様々なスペイン語のイントネーション
がすべて記述可能になることを目指して開発されている記述法である。1999 年10月にオハイオ州立大学において第1回Sp-ToBIワークショップが開催さ れ、その場での合意に基づいて書かれたのがBeckman et al. (2002) である。
各方言地域ごとに別々のSp-ToBIを作るのではなく、Pan Spanish ToBI17とも 呼べるような幅広く対応できるものを作ることを目標にしている。つまり、ま ず各方言に共有される核とも言えるような現象を掴むための基本的なタグセッ トを選び出し、そこから各方言において区別する意義のある要素をすべて掴む ために少しずつシステムを拡張していくという方法で、Sp-ToBIは完成されよ うとしている。さらにこれは、オリジナルの ToBI 枠組みと矛盾するものでは ない。
Sp-ToBI表記法は、オリジナルのToBIと同様、発話の音声波形とF0曲線と そして一連の記号ラベルからなる。5 層に分かれたラベルは単語層、音節層、
ブレイクインデックス層、トーン層、注釈層とされ、それぞれに語、音節、ブ レイクインデックス、ピッチアクセントと句アクセント、そしてその他の追記 情報が記入される。その他にもラベラーがそれぞれの研究対象に応じて独自に 定義して層を付け足すことも可能である。以下、それぞれの層について詳しく 述べる。
1. 単語層
ToBIと同様、通常のアルファベットを用いた語彙表記を行う。文や句を語に 分けて記入する。
2. 音節層
16 http://www.ling.ohio-state.edu/~tobi/sp-tobi/spanish.html (最終閲覧日:2012年3 月4日)
17 Beckman et al. (2002):2
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IPAのような、音を表示できる文字記号を使って音節ごとに分けて記入する。
ただしここに記入されるラベルは他のプラットフォームにそのまま移植可能な ようにASCIIタグセット18かSAMPAアルファベット19を用いるべきであると されている。