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第 3 章 Amper プロジェクト

第 4 節 Amper に関連した拙稿

1.2. 結果

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図4は “El triángulo se toca con pánico.” という発話をAnagrafで分析した 画面である。①は発話音声のスペクトログラム、②の青い曲線は F0 曲線、赤 い曲線は音圧を表す。これらはソフトで音声を読み込むと自動的に計算処理さ れて示される。

③にはラベラーが手作業で書き込んでいく欄が5段あり、上から順に音素記 号26、ピッチアクセント、句アクセントと境界トーン、正書法的表記、ブレイ クインデックスが記入できる。最下部に出ているさまざまな数値は、Anagraf が自動的に算出して上部のグラフに曲線などで表示した値等を数値で表記した ものである。

ラベラーはこれらの画像データや耳で聴く音を頼りにピッチアクセントや句 アクセント、ポーズなどを書き込んでいく。ピッチアクセントと句アクセント、

境界トーンの記述には第2章第4節で述べたToBI-Aを使用した。

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を続けている。これはip 境界で句アクセント H-が機能している典型的なピッ チパターンで、G1にもG2にも共通して見られる点であった。

句アクセントはほとんど H-と判断される。saxofón でもっとも H-が多く、

guitarra、triánguloの順でH-は減り、L-が見られる。

1.2.3. 核アクセント (acento nuclear29) について

ピッチアクセントも G1 および G2 において分布が非常に似ていた。PP が pánicoのものは H+L*が 90%以上を占め、mesura では L+H*が約 20%現れ、

obsesiónではL+H*、H+L*、L*+H、H*+Lが比較的均等に分布して現れたが、

いずれにも L+H*が最も多く見られた。句アクセントも境界トーンも、ほとん どの場合でL-あるいはL%であった。

表1に、両グループに共通して優勢であったパターンを示す。

表1:副次核アクセントおよび核アクセントにおいて優勢であったパターン

ip IP Acento

prenuclear

Acento de frase

Acento nuclear

Acento de frase

Acento de frontera

Palabras esdrújulas L*+H H- H+L* L- L%

Palabras llanas L*+H H- L+H* L- L%

Palabras agudas L+H* H- L+H*

- H+L* L- L%

1.2.4. F0 について

各音節の母音における始点・中間点・終点の3 点のF0 を測定し、以下の計 算式を用いて句ごとに各発話のF0をZ得点30に換算して比較した。

29 IPの核となるアクセント

30 標準化スコア。観測データと全データの平均値との差が標準偏差の何倍であるかを 示す。Z得点が負の値であれば平均値より低いことを表す。標準化することによって、

異なる条件で得られた得点を比較したり相対的な位置を知ることが出来る。

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f0=基本周波数(Hz)

mg=media geométrica(相乗平均)

deg=desviación estándar geométrica(標準偏差)

得られたZ得点を句ごとにグラフで比較して以下に示す。

図5:triángulo (NP) のZ得点

図6:guitarra (NP) のZ得点

log z-score= log (f0/ mg) / log deg

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図7:saxofón (NP) のZ得点

図8:pánico (PP) のZ得点

図9:mesura (PP) のZ得点

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図10:obsesión (PP) のZ得点

NP に関しては、triángulo でやや結果の数値が乱れて比較が困難であった が、saxofónとguitarraでは両グループで曲線がかなり一致し、どちらの場合 も最後の音節が最も高く発音されていた。句アクセント H-の影響である。

triángulo では、最初のストレス音節は低く発音されがちであったが、その音

節内でピッチが急上昇し次の音節ではすでに最高点に達しており、そのまま最 後の音節まで高く発音されていた。一方、PP に関しては、たいていの場合に おいて、それぞれの単語のストレス音節でピッチが最も高く発音された。pánico では PP 内で漸次下降していくのがもっとも自然と思われるが、両グループほ ぼ同じ曲線を描き、G2 の方がややストレス後の音節におけるピッチの下がり 方が急(ストレス後にいったん急降下した後の 2 つの音節における下降がなだ らか)であった。mesuraとobsesiónに関しても、G2の方が、ストレス前音節 からストレス音節へのピッチの上がり方が急であった。G1 は、obsesión でス トレス前音節からストレス音節へピッチが上昇することがなかった。つまり G2の方が語彙ストレスを強調する傾向があると言えるかもしれない。

1.2.5. 主要結合と副次結合について

ip または IP に含まれる単語のストレス位置によってピッチアクセントの分 布は変わる。終わりから2番目の音節にストレスのある単語と終わりから3番

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目の音節にストレスのある単語のピッチアクセントは、句アクセントH-の影響 により、L*+Hになる。最終音節にストレスのある単語のピッチアクセントは、

句アクセントH-に吸収されてその場に維持され、L+H*となる。ストレス音節 のピッチアクセントが句アクセントの H-に影響を受けたり吸収されるような 関係を、副次的音韻結合 (asociación fonológica secundaria) といい、アクセ ントよりひとつ上の階層で起こる現象である。

今回分析したデータにおいては、NPを中心とするipが句アクセントH-に、

PPを中心とするIPが句アクセントL-に影響を受けていることが確認できる。

終わりから2番目にストレスのある単語と終わりから3番目にストレスのある 単語からなるipのピッチアクセントと句アクセントはL*+H H-、最終音節に ストレスのある単語からなる ip のピッチアクセントと句アクセントは L+H*

H-である。

PPを中心とするIPでは、ストレス後音節においてピッチの頂点が下がって いるのが高い割合で見られる。これは本来ピッチが上がっているべき音節で、

IP末句アクセントL-と境界トーンL%による副次的音韻結合の影響でピッチが 下がっているといえよう。