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38 ACL 再建術は変形性関節症の発症を 防ぐことができるか

ドキュメント内 第 4 章 治療 (ページ 50-53)

38 ACL 再建術は変形性関節症の発症を

的評価で内側コンパートメントに OA が認められたものは 25 膝,外側は 14 膝で あった.OA の危険因子は半月損傷の合併,6 ヵ月以上の再建待機期間,25 歳以上 の再建時年齢であった.OA の進行と臨床成績,X 線学的関節制動性との間に統計 学的に有意な関連は認めなかった(K2F00296, EV level 7).

ACL 損傷症例を無治療群,臨床的に成功した再建群に分け,ACL 損傷のない健常 群を加えた 3 群間で脛骨の前方移動距離を計測した.再建後にもかかわらず脛骨 の亜脱臼を制動しきれない例があり,無治療群における OA 変化は不安定性が減 少してもなお制動不能な脛骨亜脱臼の残存と関連を認めた.安定性が改善された にもかかわらず,再建膝において OA が進行する理由は,制動不能な脛骨亜脱臼 の残存による可能性がある(K2F00314, EV level 5).

BTB による ACL 再建後の 31 膝の関節症変化の危険因子を検討した.術後 10 年 で,半月板健常群の 7%に OA の臨床的症状がみられた.半月板部分切除群で は 13%に OA の臨床的症状を認め,7%に単純 X 線像で進行した OA 変化を認め た.ACL 再建後の OA 進行の危険度は無治療の ACL 不全膝よりも低率であった.

ACL 再建を単独で行った群より半月板部分切除を併用した群の方が有意に OA 変 化の危険度が増加していた(K2F00335 EV level 7).

ACL 損傷に対して受傷初期に一次修復術を行った 44 例と非手術群の 56 例につい て,平均 15 年の経過観察で評価した.両群間に X 線所見での OA の出現頻度に差 は認めなかったが,半月板切除術が行われた例の 2/3 で初期治療の内容にかかわ らず OA 変化をきたした(K2F00335, EV level 7).

半月板損傷が OA 進行の危険因子であり,早期の ACL 修復術自体が OA 発症のリ スクを軽減するものではない.サブグループ解析にて補強術を ACL 修復術に加え た群では二次的半月板断裂の発生が低かった(K2F00518 EV level 2).

解 説

BTB を用いた場合,術後の PF 関節症の発生頻度の増大が報告されている.特 に女性や PF 関節不適合症例では有意に高いことが認められる.一方,FT 関節へ の影響は再建材料には関係していないが,半月板損傷の合併があった場合や半月 板切除を行った場合は,再建術後に関節症変化をきたす可能性がある.

文献選択基準

症例数が多く,level 7(case series)以上の論文を選択した.

文 献

4) K2F00067 Salmon LJ, Russell VJ, Refshauge K et al:Long-term outcome of endoscopic anterior cruciate ligament reconstruction with patellar tendon autograft:

minimum 13-year review. Am J Sports Med 2006;34(5):721-732

5) K2F00115 Lebel B, Hulel C, Galaud B et al:Arthroscopic reconstruction of the anterior cruciate ligament using bone-patellar tendon-bone autograft:a minimum 10-year follow-up. Am J Sports Med 2008:36(7):1275-1282 6) K2F00154 Asano H, Muneta T, Ikeda H et al:Arthroscopic evaluation of the articular

cartilage after anterior cruciate ligament reconstruction:a short-term prospective study of 105 patients. Arthroscopy 2004;20(5):474-481

7) K2F00219 Lidén M, Sernert N, Rostgård-Christensen L et al:Ostcoarthritic changes after anterior cruciate ligament reconstruction using bone-patellar tendon-bone or hamstring tendon autografts:a retrospective, 7-year radiographic and clinical follow-up study. Arthroscopy 2008:24(8):899-908

8) K2F00296 Seon JK, Song EK, Park SJ:Osteoarthritis after anterior cruciate ligament  reconstruction using a patellar tendon autograft. lnt Orthop 2006:30(2):

94-98

9) K2F00314 Almekinders LC, Pandarinath R, Rahusen FT:Knee stability following anterior cruciate ligament rupture and surgery. The contribution of irreducible tibial subluxation. J Bone Joint Surg Am 2004:86-A(5):983-987 10) K2F00335 Hart AJ, Buscombe J, Malone A et al:Assessment of osteoarthritis after

reconstruction of the anterior cruciate ligament:a study using single-photon emission computed tomography at ten years. J Bone Joint Surg Br 2005;87

(11):1483-1487

11) K2F00518 Meunier A, Odensten M, Good L:Long-term results after primary repair or non-surgical treatment of anterior cruciate ligament rupture:a randomized study with a 15-year follow-up. Scand J Med Sci Sports 2007:17 (3):230-237

要 約

Grade

BTB の特徴は,その両端に(ACL の骨付着部と共通する)腱付着部の

insertion の構造と骨片をもつところにある.移植腱の両端で,この骨 片と host の骨との間の癒合をはかるべく,移植腱固定が行われる.

サイエンティフィックステートメント

過去,BTB を移植腱として使用した研究でも,その多くで,BTB の中央 1/3 を両 端骨付きで採取し,大腿骨・脛骨靱帯付着部に作製した骨孔内での interference fit 法による固定を行う,という術式が採用されている.Shaffer らは,BTB と ACL の長さの不一致のため,interference screw 固定に支障をきたす問題回避のため の骨孔作製法の調節法について記載し,この方法により 3/4 の症例で問題の解消 ができた,と報告している(KF00956, EV level 7).

その他,術式の modification としては,骨内異物である screw の使用を避けるとい う観点からの press-fit 法(KF00579, EV level 7)の報告や,interference fit 法はそ の固定が強固過ぎる,として,ボタンと縫合糸での固定を行った術式の成績調査 の文献(KF00590, EV level 7)もある.

解 説

BTB を用いた ACL 再建術式の,他の移植腱での再建と比べての利点は,前述 したように,両端の骨を ACL 本来の付着部に近い部位で,力学的に強固に固定で きるところにある.また,この固定部での骨―骨間の癒合は,他の移植腱における 腱―骨間の癒合よりも早期から生じる.このことは,特に術後早期からのリハビリ テーションやスポーツ復帰を考えるうえでは重要な点であるが,実際の臨床例で の検討においては,この理論的利点が成績に与える影響は,十分には実証されて いない.

39 BTB を用いた ACL 再建術はどのような方法で

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