(1)生保業界の環境変化
生命保険業界を巡っては、人口減少の影響
(図表5)等を受けた公的年金制度や医療制
度など社会保険財源の逼迫、「商品・サービ ス品質」や「価格」に対する消費者意識の変 化など、将来的な外部環境は大きく変わるこ とが予想される。
こうしたことから、個人に依存した生命保 険マーケット(図表6)は今後縮小傾向を辿 るものと思われる。また、生命保険マーケッ トは、一般的に「シニア層に対する生存保障
チェック 顧客
営業店 保険担当本部
内部監査部門 本部
契約
保険 募集人
契約申込み書類 教育 研修
教育 研修
チェック
監査 監査
チェック チェック
法令等遵守 責任者
保険販売業務 担当者
法令等適合性 個別確認者
法令等遵守 統括責任者
「保険募集にかかる法令や保険契約に 関する知識等を有する者」を配置する ことが望ましい。
※監査の有効性を確保できるかがポイント
(注 )改正された監督指針のなかで、法令等遵守統括責任者、法令等遵守責任者は生損保共通ですべての保険商品を対象に配 置することが明記され、法令等適合性個別確認者は生損保共通で制限商品を対象に配置することが明記されている。
(備考)保険WG資料等をもとに筆者作成
図表4 保険募集にかかる体制整備
(注)12 .保険窓販に取り組む銀行側が保険会社の研修プログラムに対して持つ一般的な不満や要望として、「自社商品の販売につ なげる研修ばかり」、「もっと顧客のコンサルティングニーズに対応するためのサポートがほしい」などが多いといわれてい る。信用金庫業界では、信用金庫代理店業務に軸足を置いているフコクしんらい生命が、信用金庫の視点で考えた研修プロ グラムを提供している。
(出所)国立社会保障・人口問題研究所
図表5 わが国の将来人口推計(総人口の推移)
(%)
団体生命保険
個人保険 個人年金保険
医療保障保険
団体保険 その他 0.1 0.1
15.1
55.7 24.5
4.5
(備考 )㈳生命保険協会年次統計(平成19年度)
をもとに信金中金総合研究所作成
図表6 生命保険業界の種目別収入 保険料の割合(平成19年度)
マーケット」と「子育て層に対する死亡保障 マーケット」に大きく分かれており、それぞ れのマーケットにおいて生命保険会社間で の顧客獲得競争が激化していくものと思わ れる。
人口減少は、将来的なマーケットの縮小を もたらすとともに、若手人材の採用にも影響 するため、次項(2)で述べる採販合一型の生 保営業員制度(営業職員(生保募集人)が採 用と販売業務を兼務)に依存している国内生 命保険会社は、経営スタイルの根幹を見直す ことが求められてくるのではないだろうか。
(2)保険外交員チャネル
従来、大手国内生命保険会社は、「大量採 用・大量退職」のスタイルで営業職員を順調 に確保してきたが、前項(1)で述べたよう な外部環境の変化のなかで「大量採用」が難 しくなりつつあり、依然として「大量退職」
が続くなか、営業職員の確保が困難になって きている。事実、生保登録営業職員数は年々 減少している(図表7)。生保販売チャネルが 多様化していくなかで(後述(3)、(4)参照)、 多くの契約者が保険外交員チャネルを通じて 保険契約手続きをしている現状(注)13は、変化 せざるを得ないであろう。
変化の一例として、販売実績に基づく「定 量評価基準」に偏った報酬体系のままでは営 業職員の大量退職が続く(注)14ことから、生命 保険会社のなかには、営業職員確保の観点に 立ち、「定性評価基準」を加えた報酬体系に 転換する動きがでてきている(図表8)。契 約者にとって、保険事故発生時に保険外交員 と連絡がとれることのメリットは大きい(注)15 ことなどを勘案すると、近い将来、保険外交 員チャネルの位置付けが急激に低くなること はないだろう。
(年.月)
(人)
400,000
300,000
200,000
1998.3 99.3 2000.3 01.3 02.3 03.3 04.3 05.3 06.3 07.3
図表7 登録営業職員数(保険外交員)の変遷
(備考 )㈳生命保険協会「生命保険の動向(2008年版)」をもとに信金中金総合研究所作成
(注)13 .㈶生命保険文化センターの統計資料によると、現在、保険契約手続き時ベースで契約者全体の約66%が保険外交員チャネ ルを利用している。
14 .一般的に営業職員の給与体系は、入社当初は保障給付固定給であるが、入社から一定期間(試用期間)が経過するとその 保障給部分がなくなる。したがって、業績目標を達成できない営業職員は、給与で営業経費をまかなえなくなるため、その 大半は退職せざるを得なくなる。
15 .保険外交員への連絡が早いほど迅速な対応が期待できる一方で、契約時に担当していた保険外交員が退職していると、契 約者はどこに連絡をしていいか分からなくなるという不便もある。
(3)代理店(窓販除く。)チャネル
保 険 業 界 の 外 部 環 境 が 変 化 す る な か で、
個人代理店は、販売力強化の観点から、再編 あるいは淘汰され、その数は年々減少してい る(注)16(図表9)。
また、最近は、代理店チャネルにおいて、
独立系保険代理店に加えて、保険会社が直営 で来店誘致型店舗(注)17(保険ショップ)を展 開する事例が増えている(図表10)。
①独立系保険代理店
独立系保険代理店の代表的な事例として、
保険代理店として唯一の上場企業(注)18である
㈱アドバンスクリエイトが挙げられる。同社 は、営業スタイルとして「お客様に売りに行 く」ではなく、「お客様に買いに来ていただく」
をモットーに来店型ショップを全国展開すると ともに、保険比較サイト「保険市場(注)19」を 運営し、多様なチャネルを通じた保険販売を 実践している。また、08年4月に、あいおい
現行制度 新制度
成績給固定給
(月間4件〜)
約13万円
約8万円
約7万円
約17万円 約15万円
約10万円 約1万円〜
約4万円
約1万円〜
約3万円
(月間3件) (月間1〜2件) (月間4件〜) (月間3件) (月間1〜2件)
図表8 給与水準(イメージ)
(備考)信金中金総合研究所作成
(店)
法人代理店数 個人代理店数 180,000
160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0
1999.3 2000.3 01.3 02.3 03.3 04.3 05.3 06.3 07.3 08.3(年.月)
(備考)㈳生命保険協会「生命保険の動向(2008年版)」をもとに信金中金総合研究所作成
図表9 登録代理店数の変遷
(注)16 .01年度に個人代理店の数が大幅に減少した主な理由は、保険業法の改正を受けて生保会社本体が損保代理店になること が可能になったため、保険業法改正前に個別に登録していた生保営業職員の個人代理店が大量に廃止されたためである。
17.店舗の平均的な広さは、10〜20坪である。
18.02年4月にヘラクレス上場 19.http://www.hokende.com/index.html
損害保険㈱と共同(注)20でアドリック損害保険
㈱(注)21を開業し、個人総合自動車保険の販売
にも取り組んでいる(注)22。
その他の事例としては、㈱リンク・トラス ト(注)23や㈱ライフプラザホールディングス(注)24 が挙げられる。
㈱リンク・トラストは、主なターゲット層 を30歳から40歳代の女性とし、「利用者と一 緒に保険を設計するサービス(保険ラボ)」
「保 険 の 総 合 管 理 サ ー ビ ス(保 険 バ ン ク )」
「利用者間のコミュニティーの提供(ライフ サロン)」 を コ ン セ プ ト に 来 店 型 シ ョ ッ プ
LifeSalon(ライフサロン)を展開している。
特に同社は、人材育成に重点を置いており、
自立型人間の育成を目指すべく、アクティブ ラーニング手法(注)25を取り入れた研修体系を 構築している。
㈱ライフプラザホールディングスは、来店 型ショップ「ほけんの窓口」を中核に、別ブ ランドとして「ほけんの専門店」「ほけんラ ンド」を展開している。複数のブランドを立 ち上げてそれぞれを競争させることにより、
相談対応の質やサービスの向上を目指し、将 来的には、来店型店舗を約1,000まで拡大す 図表10 主な来店型店舗
店舗名 店舗数 特長
独立系保険代理店
アセットガーディアン㈱ 保険deあんしん館 8 独立系FPを中軸とする。
㈱アドバンスクリエイト 保険市場 65 郊外のショッピングセンターを軸に出店
㈱エージェント 保険えらび 7
㈱F.L.P 医療保険ショップFLP 9 医療保険販売に特化
㈱ソニックジャパン ソニックプラザ 28
㈱トップウィン おひさま保険 25 九州地区に特化(地域限定型)
㈱ニュートラル 保険フォーラム 39 プランナーによる出張サービスあり。
㈱保険相談センター 保険相談センター 1 名古屋エリアに特化、有資格者と連携
㈱保険見直し本舗 保険見直し本舗 40
㈱ライフプラザHD ほけんの窓口/ほけんランド/ほけん
の専門店 90/11/21
㈱リンク・トラスト ライフサロン 98 人材育成のための研修プログラム
㈱ワールドフィナンシャル 保険のセレクトショップ 29 横浜エリアに特化(地域限定型)
保険会社直営保険代理店
アフラック アフラックサービスショップ 600超
アリコジャパン アリコいいなショップ 5
日本生命 ライフプラザ 80 自社商品を対面で販売、主要都市に展開
住友生命・三井生命・三井
住友銀行 ほけん百花 10 自社商品と外資系生保商品を扱う。テナ
ント出店
第一生命 生涯設計パーク 4
損保ジャパン 損保ジャパンやさしい保険ショップ 1
(注)店舗数は08年12月末現在
(備考 )各社ホームページ等をもとに信金中金総合研究所作成
(注)20 .出資割合は、アドバンスクリエイト50.1%、あいおい損保49.9%
21.http://www.adlick.co.jp/
22.http://www.adlick.co.jp/disclosure/disclosure̲pdf/disclosure2008.pdf 23.㈱ベンチャー・リンクの連結対象子会社(http://www.link-trust.co.jp/)
24.http://www.lifeplaza.co.jp/
25.知識を伝達する教育ではなく、自分自身で考えることで成長できる力を育成する教育手法