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1期の特徴

 啓太や幸子の孤立が目立つ.啓太は他の男子と遊ぶことがなく,遊び に誘われることもない.だから,一人で本を読んでいるか1年生と一緒 に遊んだりしていることが多い.

 学級では,授業中のふざけが多く,他人にちょっかいを出したり私語 をしたりすることが多い.

 また,他人の気持ちを考えずに,自分勝手な行動が目立つ.

①幸子 NO.6

幸子は遊ぶときも給食の時もいつも文恵と一緒にいる,担任から「幸子 は,以前からいじめられたりからかわれたりすることが多く,それで話 しやすい文恵と一緒にいるようだ」と聞く.幸子は表情も暗く,楽しそ

ってくるときも,「太郎くんが一緒に遊んでくれないんです」とか苦情を 言ってくることが多い.

NO.35

終わりの会が始まる前に,階段の隅で泣いている幸子に会う.筆者が「ど うしたの」とたずねると,「なんでもありません」と言って教室に戻る.

 幸子は4年生の時に他の子からのいじめにあう.「きたない」「○○菌 がうつる」と言われて,「菌をうつす遊び」が児童の中で頻繁に行われ

る.当時の担任は1学期の間臨時採用の新卒者であり,いじめをなくす ことができなかった.教務主任や隣の学級担任が折を見ては学級の様子 を見に行くが,継続的な指導は困難であった.2学期からは育休のため に休職中だった教諭が復職し,いじめの防止と学級づくりに励み,表だ ったいじめや混乱は見られなくなった.しかし,担任の見えないところ でいじめは行われていたようで,5年生に進級しても幸子は他の児童と 仲良く行動することはなく,話し相手になる文恵と太郎以外の児童と話

をすることはなかった.

 6年生になっても,遊び時間や給食時間は常に文恵と一緒に過ごす.

時々太郎と一緒にいるが,他の児童と過ごすことは見かけることがない.

他の児童も幸子や文恵に対して積極的にかかわろうとはしない.

②啓太

NO.18

 今日はめずらしく業間時間に外へ出てくる.昇降口の外にある丸木で できた一本橋に乗って6年生の男子の方を見ている.一本橋では1年生 が何人か遊んでいた.

NO.20

給食の時間に話を聞くと,啓太は昼休みにいつも図書館で読書をしてい るという.よく読む本は学習マンガだという.いろんな知識を得たいと いう気持ちはあるように感じる.科学的なことに興味を持って,読みや すさから学習マンガを読んでいるのだろうと筆者は推測する.

NO.25

業間時間に男子がサッカーをしている.太郎,啓太をのぞいた10人で やっている.啓太はサッカーをやっている場所(?)の方から玄関の方

へ1人で歩いてくる.「啓太君はサッカーをやらないの」と筆者が尋ねる と,「うん」と言って校舎の裏の方へ移動する.しばらくして何気なく校 舎の裏をのぞいてみると,1年生と一緒に遊んでいた.担任の話による

と,1年生に弟がおり,そのせいかよく1年生と一緒に遊んでいるらし い.啓太はサッカーをしたいのか,それともしたくないのか,がよく分 からない.担任にもよく分からないそうだ.ただ,運動は苦手だからや りたくてもみんなの足を引っ張ったり,自分がおもしろくない思いをす るのがいやなのではないかと担任は説明する.

 啓太は,運動が苦手で他の児童とサッカーやハンドベースボールなど をすることを敬遠しているようだった.他の児童も啓太を遊びに誘うこ ともなく,決まったメンバーで遊んでいた.この頃一緒に遊んでいたの は,啓太と太郎を除く男子全員であった.啓太は他の児童と遊びたいよ うな素振りを見せることもあったが,主に読書をしたり,1年生と一緒 に過ごしたりしていた.

③その他

NO..7

業間休みに,男子とフットベースボールをする.メンバーは,大介,高夫,

勇作,健次,典男,芳之,卓郎,洋治(途中から参加),参加していない のは,啓太,太郎.

 グループ分けをする.筆者は高夫,卓郎,芳之,洋治らと同じグルー プになる.大介を中心としたチームが点をたくさん入れる.最初は卓郎 がピッチャーをしていたが,途中から高夫に代わる.しかし,守りの失 敗もあり,あいかわらず点をよく入れられる.ところがこちらは点をな かなか入れることができない.すぐにチェンジすることになる.ピッチ ャーの高夫はだんだんふてくされ,ボールの投げ方もいいかげんになる.

文句を言うことはないが,不満な様子を表している.ほとんどしゃべら なくなり,機嫌が悪いということは見て分かる.

 高夫は自己中心的な言動が目立つ男子である.自分が中心でなければ 気が済まないことが多く,このエピソードのようにふてくされてしまう

ことも多い.高夫に対して他の児童も遠慮しているように見受けられる.

NO.32

給食終了時,文恵が前に出て合掌と言うが,声も小さく,みんなは騒い

でほとんどの人が聞いていない.そこへ,同じ係りなのか啓太が前に出 て合掌という.しかし,担任が我慢できずにみんなに注意する.「みんな は状況判断ができない.これは4月から言ってきたことだ.12歳の人 にいちいち指図はしないよ.どうして自分たちで考えられないのか.自 分で考えて判断して行動するように」と注意する.この時ばかりはしん

となる.

 この事例のように,誰かが話をしても騒いでそれを聞いていないこと が多かった.学級全体が騒々しく,それは授業中でもあまり変わらなか

った.担任が注意をするとしばらくは静かになるが,長く続くことはな く,定着もしない状態だった.担任は注意するといっても大声で怒鳴っ たり長い時間小言を言うようなことはなく,注意がかえって学級をだら けさせてしまうといった悪循環は避けられた.

【II期】

II期の特徴

 孤立は見られるものの,授業中のふざけ等が減少し,仲間入りが見ら れるようになる.

①幸子

NO.62

幸子,文恵は今までずっと2人だけで食べていたのだが,今日はそれぞれ が違うグループで食べているので驚いた.担任にたずねると,10日くら い前に憲子,妙子,しおりが幸子の家に遊びに行き,そのことを日記に書 いていたらしい.楽しかったと書いていたよと担任が幸子に言うと,とて も喜んでいたそうだ.それから,その子がいるグループで食べるようにな ってきたそうだ.先週は子どもたちと食事を一緒にしていないのでこんな 様子を見るのはこの時が初めてである.

 幸子が他の児童と給食を一緒に食べるのは6年生になってはじめての ことである.5年生の時もなかったようだ.幸子の表情に特別変わりは なく,他の児童も同じだった.この後も幸子が文恵以外の子と給食を一 緒に食べることがある.しかし,それがずっと続くというわけではなく,

一人で食べたり,文恵と食べたりすることもある.

②啓太

NO.64

昼休みに教室に残っていると,泉子,妙子,しおり,憲子,かなえ,優香,

啓太が一緒に遊ぼうというので,爆弾落としをする.子どもたちが筆者の 周りを踊りながら回っている.しばらく続け,子どもたちもまだやろうと

いうが,筆者はその場を離れる.

Nα83

給食時間,啓太は最初黙って食べていたが,そのうち筆者らの会話にも加 わるようになり.『先生.心理テストをしますよ.エレベータですれ違っ た女性がいました。それは誰』と筆者に問いかけてくる.『これは,先生 の嫌いな女性なんですよ.すれ違うということは嫌いということを意味し ているんです.』と説明をする.その後も近くの子らと話をしている.1 人で食べることに抵抗がないように本人は担任に話したそうだが,こちら の会話に加わってきたところを見ると,やはり何らかのコミュニケーショ ンを求めていると感じる.ただ,自分から進んで他の子の中に入っていく ことができないのではないだろうか.

Nα87

給食が終わると昼休みになるが,教室では,文恵,幸子以外の女子全員で,

振り向いては動いた人を見つけてオニにするゲームをしている.かなえと 妙子が最初は加わっていなかったが,いつの間にか中に入っていた.みん なで楽しそうにやっていたが,そこへ啓太が来て,『いっしょにやろう』

と誘われるが『やらんよ』と言う.しかし,その場を離れることなく,他 の子と同じように動いていたので,女子から当てられる.『おれやつちょ らんよ』と言いながらも自然に中に入ってゲームを楽しむようになる.一 緒にやりたいんだけど恥ずかしいという気持ちなのではないかと思われ

る.女子も啓太に対して,女子の中に入ることに対して何も言わない.男 子と遊べとも言わないし,やらないならなぜここにいるのかとも聞かない.

入る方も入れる方も自然な感じである.『いいから,やりなさい』という 雰囲気である.そういう意味では,遠慮や不満,拒否ということは全く見 られない.男子でも女子でも(この場合は女子が啓太にかける言葉)気軽 に声をかけて気軽に答えている.

 啓太に対して女子が声をかけることは,それまでは見られなかったこ

とである.啓太は「やらんよ」と言いながらもその場を離れず,もっと

誘ってほしいという気持ちであるように筆者には思えた.女子の啓太に

対する態度も「さそってあげよう」とか「仲間に入れてあげよう」とい