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3,1,予備調査 3,1,1 予備観察

予備観察において,次のようなエピソードが見られた.

#1

授業のなかで話し合いをする.しかし,うまく話し合いをすることができ ない.みんな勝手なことを話している.発表者を決めようとするがなかな か決まらない.グループの中で比較的強い子が「Z男やれ一や(やれよ)」

と言う.Z男は「なんでおれなんかいや(なぜおれなんだ)」と言い返す.

ここから2人の言い争いが始まり,グループとしても当然まとまらない.

中にはくじで役割を決めるグループもあるが,その場合も後から不満が出 てくることがある.そんな時は誰かが担任に不満をぶつける.つまり,担 任に注意してもらおうとするのである.しかし,担任の注意を受け止めて いない.その場がすぎればよいという気持ちが子どもの中に感じられる.

だから,注意されても下を向いて笑っている.結局決まらないまま時間が 過ぎてしまう.

#2

担任が「どんな紙がいるか班で話し合って下さい.」と指示する.

Aは「3枚3枚」と強く主張する.他の子の意見は全く聞いていない.

その後,他の子が「○○にしよう」と言うとAは「勝手に決めんで!」と 不満を言う.

他の子の意見を聞くこと1年忌ないで自分の主張を通そうとし,他の子が意 見を言ったりすると,勝手に決めたと文句を言う.

#3

M子がY男に対し,今日は社会の時間に用紙の切り方を教えようとする.

Y男が用紙の折り方を間違っており,それに対してM子が教えようとした もの.しかし,Y男は「もう!いいじゃんか」といいながら援助を拒否す る態度を見せる.いちいちうるさくいわれるのがいやだという感じを受け る.M子もそんなY男の反応に嫌気が指したのか,それ以上は援助するこ とはなかった.しかし,Y男は折り方が分からず,「どうしてぼくだけ難 しいことをさせるのか」と大声で不満を述べ,「みんなぼくのことを笑っ てる」と担任に告げに行く.

 #1では,1人の子が班の中での役割をある子に押しつけようとした

ところ,その子が反発し,言い争いになったケースである.「やれよ」

といった子は命令ではなく,気軽な気持ちで言ったのかもしれないが,

その言葉を受け止めた子は命令されたと感じ,不満をぶつけたという場 面である.周囲の子はその2人に対して争いを止めたり話し合いを進め ようとはせず,静観している.かかわりたくないという気持ちも感じら

れる.

 #2では,自分の主張することは通そうとするのだが,それに対して 意見を言うと強く反発する場面である.自己主張することは大切なこと でもある.しかし,ここでは自分の主張に対する意見に対して,自分の 主張が否定されたと感じているのではないだろうか.また,それは主張 している自分という個人を否定されているように感じているのではない かとも思えてならない.また,自分の主張は通レても,他人の意見は通

さないという傾向があるのかもしれない.

 #3では,個人のものの見方自体に歪みが見られるケースである.全 員に同一の課題が提示されたにもかかわらず「自分だけ難しい」と感じ ている.また,M子の援助も含めて,周りが「ぼくをばかにする」よう に感じている.しかし,M子は,分からなくて困っているY男への単純 な援助行為であり,他の子はY男に対してばかにするような行為をとっ たわけでもない.このエピソードには表れていないが,Y男は他の場面 でも「みんながぼくのことを笑っている」と発言したり,担任や友達の 言動を曲解してしまったりする.このケースは一般的なものではないが,

かといって特殊なケースとも言い難い.同じような出来事は他の学級で も少なからず見られることなのである.

 当然,学習への動機付けや学習の進め方が十分ではないということも 原因の一つであろう.しかし,それだけの問題ではなく,子どもたちの 人間関係や関係の持ち方に問題があると思われる.

 また,他に得られたエピソードの中で次の点が観察された.

 ・授業中に私語が多く,集中して授業に取り組むことができない.,

 ・友達と会話をしていても,内容が正確に伝わっていないことがある.

 ・友達の言動に対して適切な対応をすることができない.

 ・学級が騒々しく,ていねいな言葉遣いやあたたかい言葉かけが見ら

  れない.

 このようなエピソードから,社会的スキル指導の必要性を感じた.社

会的スキル指導によって,あたたかい言葉かけをしたり,相手の立場に

立った行動ができるようになれば,学級も落ち着いた雰囲気になり,対

人行動もよりスムーズにいくのではないかと考えた.また,学級成員の

スキルが向上することによって,他の児童への肯定的なかかわりが増加

し,スキルの未熟な児童のスキルアヅプがさらに図られるのではないか

と考えられる.

3,1,2 児童の社会性とその指導に関するインタビュー

 教頭2名,教務主任2名の計4名に,児童の社会性とその指導に関す るインタビューを行った.1名あたり約1時間前後のインタビューとな った.逐語記録より,74のエピソードが抽出され,KJ法によって図 のようにまとめられた.そこから,以下のことが考えられた.

 小学校においても,児童の人間関係が希薄になっている.友達とのコミュニ ケーションがうまくとれなかったり,他人と協力して物事を進めるとことが難し い.また,友達とトラブルを起こしても修復することがなかなかできない。そうい った,社会性に関する問題点が見られ,学級全体の問題となる場合もある.

 したがって,学校教育の中でも児童の社会性を高める指導が求められてい ゑといえる.しかし,具体的にこれといった方法はなく,具体的な実践はなされ

ていないというのが現状である.

 また,児童の社会性を育てる上で,学級担任の学級経営能力が重要だと考 えられる.社会性を育てるための特別な指導時間だけではなく授業や日常の かかわりの中でも指導できることがあるのではないか.しかし,担任の学級経営 能力は低下しており,それが児童を不安定にさせている場合もある.社会性を 高める方法が検討・導入されるとともに,学級経営力を担任が身に付けること

が急務と言える.

 学校経営においても検討されなければならないことがある.例えば,

養護教諭が不登校児童を心理的に支えている事実がある.しかし,児童 が保健室登校をしている場合,保健室では何をすればいいのか,誰がか かわるのか,といったことが養護教諭任せになっている.養護教諭をサ ポートする必要もある.

 担任1人では抱えきれない学級については,小学校においても副担任 制を導入することも考えられる.

 また,一人ひとりを大事にする意味でも,30人学級の実現が必須で

ある.

 以上のように,学級担任の力量を向上させるとともに学校体制の充実

が図られなければならないだろう.

子どもが変わってきている 学校だけで子どもは変わらない

指導の困難さ 他人との関わりが難しい

多様な子がいる

親や教師の子どもの見方

ノ思いこみがあるのでは 少子化が子どもの社会

ォの発達を阻害している 友達関係に教師がかかわれるかは疑問

自分たちで協力して ョくことが少ない 式で歩き回る子

ェ増えている

子どもはストレスの持っ

@て行き場がない

親も子育て不安がある

子どもは教師や親よりも友達を優先するようになる 我慢できないので友

Bと協力できない 不登校ぎみの子

ェ増えている 友達づきあいが下手

学校教育で社会性に関する指導が必要 自己主張の強い

@子が多い

相手のことを気遣う

@ ことがない 社会性にかかわる指導を年間計画に位置づける必要がある

我慢を嫌う子が

@ 多い

子ども同士に上下の

@つながりがない 教師が協同で取り組む @ ことが必要

社会性に関する指導は学級経営と大きくかかわっている 学校にうまく対応できない けんかが少ない=

@つきあいが疎

学級の決まり 社会的スキノ

の基本

学級の顯轍 気作りが重要

学校で集団を意識させ

髀黷 驍アとが大切

場に応じた言葉遣いを教える

高学年になっても

@幼さが残る

教師が言わないとできない

 人を認める雰囲気が

相手がどう感じてし

@   ることが

るかを意識す

セるい学級の基盤となる

まず学級の約束を作ること

落ち着きのなさは学年があがってもなかなか変わ

@        らない

異学年集団を作るこ

@   大切

明るく指示的な雰囲気が

@   大切

学年当初の学級づくりが大