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1.ベースメタルの国際市況(2015年10〜11月)

ドキュメント内 金属資源レポート 2016.1 Vol.45 No.5 (ページ 123-126)

2015年10〜11月のベースメタル相場は、中国国慶 節による大型休暇で同国景気減速に対する懸念が顕在 化を免れ、また10月中旬までのドル安傾向に支えら れ、10月下旬までは概ね回復傾向を見せた。しかし ながら10月22日の ECB ドラギ総裁の追加緩和示唆 と、28日の FOMC 声明による年内利上げ観測の高ま

りが転機となりドル高が進行したことで、11月中は 各鉱種とも下げ足を速めた。2013年1月時点の価格を 1とすると、2015年12月31日現在の価格水準はニッケ ルが最も下落幅が大きく0.50、次いで銅(0.58)、鉛

(0.76)、亜鉛(0.77)となっている(図1-1参照)。

●  銅:10月は5,178.0US$/tでスタート。ICSGよる2016 年の供給不足予測を好感し、7日には5,200US$/t 台に回復。9日には Glencore による亜鉛減産の発 表と亜鉛価格反発につられ5,319.0US$/t を付け た。9月の FOMC 議事録が8日発表され、年内利 上げの観測が一時的に後退し、中旬まで銅価を下 支えした。22日の ECB(欧州中央銀行)ドラギ総 裁による追加緩和示唆で、月初から続いていたド ル安はドル高に転換。これにより銅価はジリジリ と値を下げ、5,135.5US$/t で越月した。

 11月もドル高が銅価を圧迫し、米国の年内利 上げが濃厚となった4日以降は下げ足を一層速め た。9日には5,000US$ 台を割り込み、5日から19 日まで11営業日に亘り続落。23日には2009年以来 の安値となる4,515.5US$/t まで下落。月末にかけ てのドル相場一時軟化で下げ止まり4,595.5US$/t で越月。

●  鉛:10月は1,663US$/t でスタート。翌10月2日に は1,619US$/t と2010年6月以来の安値を付けた。

その後も1,600US$/t 台で推移していたところ、9 日の Glencore の亜鉛減産発表で、鉛の需給タイ ト感が高まり、15日には1,816.5US$/t と3カ月ぶ り の 高 値。 し か し そ の 後 は 再 び 下 落 に 転 じ、

1,600US$/t 台のレンジに収束。26〜29日に開催 された中国共産党中央委員会第5回全体会議での 次期5カ年計画(2016〜2020年)の経済成長率目 標引き下げや、米国の年内利上げ観測からドル高 が進行し、鉛価格を圧迫。

 11月に入り、1,600US$/t の下値ラインを伺う 動きを見せつつも、11日に1,600US$/t 割れ。そ の後も中国経済減速やドル高基調に下押しされ 鉛価格は下げ止まらず、23日には2009年5月以来 となる1,555US$/t を記録。その後、月末にかけ ては、底値拾いやドル高一服による買い戻しで

ベースメタル国際需給動向  調査部金属資源調査課

図1-1.金属価格推移(2013年1月〜2015年11月) *2013年1月を1とする

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需給動向

ベースメタル国際需給動向

2016.1 金属資源レポート 120

小幅な上昇が続き、1,630US$/t で越月。

●  亜鉛:10月は1,690.5US  $/t でスタート。8日まで は1,600US$/t 台で推移したが、9日に Glencore の 亜鉛減産発表を受けて1,824.5US$/t まで急伸。12 日には1,835US$/t まで上昇したものの、その後 は、中国次期5カ年計画での経済成長率目標引き 下げや、米国年内利上げ実施見通しからドル高が 進み価格を圧迫。

11月に入っても亜鉛価格は下げ止まらず、11 日には1,568US$/t と6年ぶりの安値を更新。19日 には1,487US$/t と1,500US$/t を下回る安値を記 録。下旬は、底値拾いやドル安から買戻しの動 きが見られ、26日には1,600US$/t 台まで回復し たが最終的には1,545US$/t で越月。

●  ニッケル:10月は10,390US$/t でスタート。市場 の事前予想を下回る米国雇用統計から、世界経済 の 先 行 き 懸 念 が 圧 迫 材 料 と な り、2日 に は 10,000US$/t の大台を割り込む。その後、INSG による需給タイト化予測が発表され、また LME 在 庫 の 減 少、 ド ル 安 に 支 え ら れ9日 に は 10,710US$/t まで回復。中旬は、ECB による追加 金融緩和の可能性が示唆されたこと等を好感して 一時上昇する場面があったものの、中国 Q3GDP 成長率鈍化や同国株価下落を受け、10,500US$/t 前後を小幅なレンジでほぼ横ばい推移。23日に 10,600US$/t の値を付けた後は、ドル高基調が圧 迫材料となり下落傾向を辿り、10,135US$/t で越 月。

11月 は、3日 に9,995US$/t と 約1カ 月 ぶ り に 10,000US$/t を割り込んだ後は、中国経済の鈍化 を受け急落。同月23日には約12年半ぶりの安値 となる8,160US$/t を付けた。その後は、中国の ニッケル生産者による減産発表やドル高の進行 が一服したことを好感し、一時9,120US$/t まで 回復したものの、米国年内利上げ観測に伴う緩 やかなドル高進行や中国の経済減速懸念が下方 圧力となり、8,735US$/t まで値を落として11月 を終えた。

【米国経済】

・10月

10月中旬までは景気に水を差す指標が多く発表さ れドル安傾向で推移。1日発表された8月の建設支出 は前月比0.7%増、前年同月比13.7%増で2008年5月以 来の高水準となったが、同日発表の9月の全米供給管 理協会(ISM)製造業指数が50.2と8月の51.1から悪 化。また2日に発表された9月の非農業部門雇用者数 は142千人増と市場予想の200千人増を下回り、8月の 確定値も下方修正。同日発表された失業率は前月同の 5.1%であった。

8日 に 公 表 さ れ た9月 の 連 邦 公 開 市 場 委 員 会

(FOMC)議事録では、中国経済の減速や金融市場の 混乱が米国のインフレ率や労働市場に与える影響を見

極めるため、利上げに慎重な姿勢が示された。これも ドル安材料に働き、ドルは対ユーロで1.13US$ 台半ば まで軟化。

しかし22日に ECB ドラギ総裁が12月の追加緩和の 可能性について言及するとドル安の流れは止まり、ド ルは対ユーロで1.10US$ まで上昇。

さらに28日発表された FOMC 声明文で、「世界的 な経済・金融リスク」の表現が削除され、12月利上げ の可能性が高まったことで、ドルの対ユーロレートは 8月以来のドル高水準となる1.0903US$ まで上昇した。

・11月

11月もドル高傾向が継続。2日発表された10月の ISM 製 造 業 PMI は 前 月 か ら ほ ぼ 変 わ ら ず の50.1と 2013年5月以来の低水準となったが、同日発表の10月 建設支出は前月比0.6%増、前年同月比14.1%増の1.09 兆 US$ と2008年3月以来の高水準を記録し、内需の力 強さを示した。

FRB イエレン議長は4日の議会証言で、経済データ が堅調であれば12月利上げの「現実的な可能性」はあ ると発言し、ドルは対ユーロで1.08US$ まで硬化。

さらに6日発表された10月の非農業部門雇用者数は 271千人増と2014年以来最大の増加。また、失業率は 5.0%と前月比0.1ポイント低下し、FRB が完全雇用状 態と見なす水準まで改善したことで、12月利上げの 可能性がさらに高まった。これを受け、ドルの対ユー ロレートは6カ月半ぶり高値水準となる1.07US$ まで 上昇し、銅価格を押し下げる要因となった。

13日に発表された10月の小売売上高が前月比0.1%

増と市場予想の0.3%増を下回り、景気拡大の期待感 が後退。このため同日のダウ平均株価が200US$ 以上 下落し、ドル安に一時的に振れるも、銅価下支えまで には及ばず。結果、5日から19日まで11営業日連続で 下落し、11日間の下げ幅は約600US$ となった。

19日のドル高一服を好感し、20日の銅価は11営業 日ぶりに小反発を見せたが、翌23日には4,515.5US$/t まで値を下げた(2009年5月以来の水準)。

月初から続いていたドル高傾向は25日に対ユーロ で1.05US$ を付けて以降は踊り場に入り、これに好感 し銅価も4,600US$/t 台まで回復。4,595.5US$/t で越月 した。

【中国経済】

・10月

10〜11月は8〜9月に株価対策で発動された各種金 融政策の効果を見極める模様眺めの空気が支配。1日 に国家統計局が発表した9月の製造業 PMI は49.8とな り、予想値(49.6)を上回ったものの、前月に引き続 いて50を下回った。

19日発表された Q3の GDP 成長率は対前年同期比 6.9%と前回の7.0%を下回り、景気減速が改めて鮮明 となった。これを受け人民銀行は、貸出金利と預金金 利の引き下げを発表し(昨年11月以降6回目)、流動 性の供給増加による需要喚起を図った。

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需給動向

ベースメタル国際需給動向

2016.1 金属資源レポート 121

・11月

1日、国家統計局が発表した10月の製造業 PMI は 49.8と前月から横ばいであったが、3カ月連続で50を 下回り、景気回復の足取りが鈍いことを示した。8日 発表された10月の輸出は前年同月比3.6%減、輸入は 16%減で、それぞれ4カ月連続、12カ月連続の前年割 れとなった。

【欧州経済】

・10月

22日、ECB ドラギ総裁は、ユーロ圏経済の下支え を図るため、12月の次回理事会で追加緩和を行う可 能性について示唆。米国での利上げ観測高まりも作用 し、11月下旬まで続くドル高基調の素地を作った。

・11月

新興国経済減速による輸出低迷に加え、VW の排ガ ス不正問題がユーロ圏経済回復の腰を折った。さらに パリでの同時テロ発生がユーロ圏に暗い影を落とし、

市場では12月の追加緩和に対する期待が先行。11月 中、ユーロは対ドルで4%減価し、10月のドラギ発言 の為替的効果は十分にあったが、実際の12月の追加

緩和は限定的なものに留まった。

参考として図1-2に2015年10〜11月の為替相場を、

図1-3に 欧米中の製造業 PMI 推移を示す。

図1-2.為替相場(2015年10〜11月)

(各種報道を基に作成)

図1-3.欧米中の製造業購買担当者景況指数(PMI)推移(2013年11月〜2015年11月)

(各種報道を基に作成)

注:CFLP(中国物流購買連合会)PMI の調査対象は、国営企業等大企業が多いとされるのに対し、 HSBC(香港上海銀行)発 表 PMI の調査対象は、中小企業が多いとされる。

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需給動向

ベースメタル国際需給動向︱銅︱

2016.1 金属資源レポート 122

ドキュメント内 金属資源レポート 2016.1 Vol.45 No.5 (ページ 123-126)