ットなどの通信ネットワークを教育に導入するとい うことにした。
立川の教育活動は、他者の目から眺められた日本 文化を通して、「日本」および「外」を考えていく こと主眼とした。テキストとしては、幕末から明治 期に日本を訪れた西洋人たちが記録したもの、ある いは横浜等で外国人によって発行されていた英字新 聞などを使用した。それと関連して居留地に関する 授業も行い、学生主導で準備を進め平成6(1994)、 平成7(1995)年横浜、平成7(1995)、平成8
(1996)年神戸、平成9(1997)年函館、平成10
(1998)年再び神戸と、ほぼ全員の学生が参加して、
かつての居留地でフィールド・ワークを行った。通 常4泊5日という短い日程ではあったが、それぞれ のテーマについて調査を進めた。その過程で、かな りの学生が卒論のテーマとして居留地を選択するこ とになった。
筒井の教育活動は、筒井の専門がドイツ研究であ ることから、インターネットを活用したプロジェク トを始めるときにはドイツの大学との共同授業を始 めることにした。海外を対象にして研究している学 者が、こうした便利なツールを教育研究に使うこと の意味は大きい。このプロジェクト(プロジェクト 名:DJ50)は、平成7(1995)年10月から平成11
(1999)年2月まで、ドイツのデュイスブルク大学 などとの間で約四年間継続された。
http://www.toyama-u.ac.jp/hmt/scs/dj50/dj50j.html な お 、 こ の プ ロ ジ ェ ク ト は 、 当 時 、 文 科 系 分 野 で は 先 駆 的 な 試 み で あ り 、 平 成 8 年 に は 日 本 経 済 新 聞 社 主 催 の 「 カ レ ッ ジ イ ン ― 文 科 系 ゼ ミ でのインターネットプロジェクト・コンテスト」
http://www.nikkei.co.jp/rcafe/s/cin/award96.htmlにおい て、第1位となった。平成8(1996)年当時の地方 国立大学が第1位となることができたのは、こうし たツールは地方でもすぐに利用可能であったことの おかげである。地方大学が都市部の大学や私立大学 に負けないで存在意義を見せることができるとすれ ば、何よりもスピードとアイデアが必要である。こ の受賞はそれを裏付けている。このプロジェクトと 平行して、平成8(1996)年には「国際NGOのイン ターネット利用調査」を全国的に行った。このこと から、当コースのテーマとして、NPO/NGOと情
報化との関係が中心になった。
http://www.toyama-u.ac.jp/hmt/scs/ggp/zemi96.html 当時の建物は、エアコンもなく、また学生演習室 の場所が4階建ての一番端にあったので、真夏には 40度近くになることもあった。エアコンは、当時の 建物の電源の許容量の制限によって、使用不可能で あった。しかし、こうした劣悪な環境にもかかわら ず、学生の熱意はかなりのものであった。インター ネットブーム勃発直前でもあり、「なにかすごいこ とが起こるかもしれない」という予感を感じながら、
インターネットという怪物と格闘し、時間と空間を 越える快感に魅了されていた。
もちろん、こうしたプロジェクトに関わらなかっ た学生もいたのも確かである。けれども、就職後に 研究室を訪問してくれた時に、「学生時代は興味な かったけど、今ならその意味がわかります。もった いないことをした」と言われた時には救われた気持 ちがした。
立川と筒井の二人の異なる学問手法のいずれか
(あるいは双方)を学生は選択しながら、コースの 特徴を作り上げていった。
平成5(1993)年創設当初の学生は、バンカラと 言った形容がぴったりしていた。先輩がなく、また 担うべきコースの歴史もない気楽さからリラックス していた。もちろん、女子学生もいたが、一緒に楽 しく過ごしていた。その一方で、筒井のゼミに集ま ってくる他学部や他コースの学生は、好奇心と熱意 の固まりみたいなところがあり、対照的であった。
それはともかく、コースの学生は、スポーツ大会 ではよく活躍していた。筋肉の固まりみたいな学生 が多数集まり、実績を残していった。スポーツ大会 後の宴会でははしゃぎすぎたこともあったが、総じ て面白い学生の集まりであった。
平成10(1998)年9月に、立川が国際文化論講座 に移籍したのに伴い、10月に林夏生が講師として就 任した。彼は、アジアの国際文化交流をテーマにし ている。教育では、国際関係論の基礎を中心にして 教えている。
林・筒井共に、国際関係論の出身ということもあ り、コース名こそ「比較社会論」であるが、実質的 には「国際関係論コース」となった。そもそも「比較 社会論」という名称は、学部内事情から国際関係論と
いう名称を使えないという理由であった。しかし、比 較社会論という名称で運営することで新しいテーマ やディシプリンに自由に接近できるメリットがあっ たのも事実である。そのなかから、筒井がドイツ外交 史から、NPO・情報研究へと転換できたのである。
林が、国際関係論の基礎理論やそれをもとにした 富山を対照にした実習を行うのに対して、筒井は、
NPOや情報ネットワーク社会といった応用的なテー マを扱った。
こうしたコースの教育方針の延長線上で、多くの 学生が米国西海岸NPOへのインターンシッププロ グラムに参加したり、京都や東京でのボランティ ア・インターンシッププログラムへも参加した。こ うした内外での活動が評価されて、北陸電力への環 境インターンへも参加したりといった多彩な活動も している。
また、個別に海外でのスタディーツアーなどにも 参加して、自分の将来との関係で考え始める学生も 多数出ている。好奇心に溢れ、活発な活動と勉学熱 心なところが当コースの学生の特徴である。
卒業後の進路としては、多くは民間企業、地方公務 員などに就職している。北陸地区での就職が多いが、
他地区での就職者もいる。また、富山大学の大学院以 外にも他大学大学院へも進学している学生もいる。
比較社会論コース カリキュラムの現状
(1)教育目標
比較社会論コースでは、学生各人がそれぞれひと りの「市民」として主体的に現代国際社会に向い合 い、積極的に生き抜くことができるよう、下記の点 に特に留意して教育を行っている。
1.旺盛な知的好奇心と積極的な参加態度の養成:
当コースでは、現代国際社会にみられる広汎な現現 象の中から、学生各人が関心のあるテーマを自由に 選択することを許している。そのため、学生の選択 するテーマはきわめて広範囲に分散する傾向にある が、全員が共有できる方法論を習得しながら、互い の報告や議論を通じ互いの研究成果に関心を持つよ うにさせることで、むしろ各自の研究テーマに限定 されない広い知見の獲得や、研究意欲の維持・向上、
より積極的な研究への取り組みを促している。
2.「知識」と「方法」のバランス(応用力の養
成):当コースでは、個人研究テーマ以外の問題感 心に対しても柔軟に対応できる応用力を身につけさ せるため、現代国際情勢や主要な分析枠組みに関す る正確な「知識」とともに、直接観察からインター ネット上のデータベースの利用まで、様々な情報源 を有効に組み合わせた現実観察の手法、分析枠組み の選択や適用の仕方、またグループワークの手法な どといった「方法」の取得にも、力点をおいている。
3.プレゼンテーション能力・コミュニケーション 能力の向上:当コースでは、学生が各人の暫定的な 研究テーマを比較的早期から決め、調査研究と報告 を重ねながら問題意識を深めてよい明確なテーマを 決定する、という方式をとっている。また、コース 教育で習得した知識や方法を相対化し、さらに理解 をふかめることができるよう、コースの壁をこえた 共同授業や海外行事への参加を積極的に奨励してい る。こうした機会を学生に多く与えることで、自分 と異なる見地に立つ他者に対して正確に情報を伝達 し、有意義な討論を実現する訓練としている。
(2)カリキュラム授業の組立と骨格
2−(1)、組立方(主として所属教官が担当するも のについて、年次ごと)
●印は標準的な履修のタイミング、○印は履修可能 なタイミングを示す。
1年次 2年次 3年次 4年次 前・後 後期
前期
●
● ●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
○
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●
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○
●
●
○
○
○
○
○
● 後期
前期 前期 後期
コ ー ス 開 講
共 通 開 講
比較社会概論 比較社会論講読 比較社会論実習(Ⅰ)
比較社会論実習(Ⅱ)
比較社会社会論演習 比較社会論特殊講義 卒論指導
国際文化入門(Ⅰ)
文化環境論演習 文化環境論講読
2−(4).コース横断的授業
講座共通の授業として、「国際文化概論」(前期、1 コマ、1年生対象)、「文化環境論演習(前期、2コ マ、2年生対象)。いずれも、各コースの担当教官
が分担して開講。教官ごとに内容がばらばらになっ てしまわないよう、担当教官が随時会合をひらき、
全体としての内容に一貫性をもたせるよう努力して いる。
比較社会概論
国際文化概論(講座共通)
指定された5種類の概論(考古学、文化人類学、人文地理学、文化構造、比較文学)の中から 比較社会論講読
文化環境論講読 比較社会論実習 比較社会論演習
文化環境論演習(講座共通)
比較社会論特殊講義 その他の特殊講義等
卒業研究
総 計
授 業 名 称 単 位 数 小 計
概 論 系 講 読 系
実 習 系
演 習 系
特殊講義等
4 2 4 4 2 4 8 4 6 6 10
10
6 4 12 12 10 54
2−(2).必修の内訳
比較社会概論(2)比較社会論の手法や主要テーマについて概説。
比較社会概論(2)1年次後期から継続。
比較社会論講読(2)分担枠組み=方法論の習得のための文献講読と、事例研究の参考例としての文献講読の組み 合わせ。
比較社会論実習Ⅰ(1)基礎技術の習得。情報機器の利用、文献検索、プレゼンテーションの基礎など。
比較社会論演習(2)3年生と合同でグループワーク(文献講読と発表。)
比較社会論講読(2)前期から継続。
比較社会論実習Ⅰ(1)前期から習得した技術をもとに、フィールドワークを加えながら、調査報告・議論の練習 を重ねる。
比較社会論演習(2)前期から継続。
比較社会論実習Ⅱ(1)個人研究報告=各人が関心を持つテーマについて調査を進め、順に報告して全体で議論を 重ねる(卒業研究の準備段階)。
比較社会論演習(2)2年生と合同でグループワーク(文献講読と発表)。
比較社会論実習Ⅱ(1)前期から継続。報告と議論を重ねる中で、各人の卒業研究の方向性を定めていく。
比較社会論演習(2)前期から継続。
卒業研究指導中間報告会を何度か開催しつつ、随時指導。
(卒論提出後に発表会を開催)
主な授業(カッコ内は単位数)とその位置づけ 1年次後期
2年次前期
2年次後期
3年次前期
3年次後期
4年次
比較社会概論 比較社会論講読 比較社会論実習(Ⅰ)
比較社会論実習(Ⅱ)
比較社会社会論演習 比較社会論特殊講義
卒論指導 国際文化入門(Ⅰ)
文化環境論演習 文化環境論講読
A B B B A 非常勤 A・B A・B A・B
−
A・B B B B A 非常勤 A・B
−
− B
(集中)
授 業 名 称 前期担当者 後期担当者 備 考
コ ー ス 開 講
共 通 開 講
2−(3).各授業科目開講コマ数、および開講形態