第2節 国際文化学科
部の留学生に対する日本語教育などを担当すること となった。
平成9(1997)年4月に三宝教授が転出し、同年 10月にムラジアン助教授が、雇用期限の満了に伴い 退職した。この時期と前後して、人文学部教授会で は「国際文化関係論」講座(したがって、教育コース としての日中・日ロの両ゼミナールと比較文学コー ス)の拡充・再編のプランがもちあがった。「国際 文化関係論」講座は、当時の人文学部では数少ない いわゆる「学際的」な性格をもった講座の一つであ り、かつ、教育コースであったが、その拡充の狙い の一つは、「環日本海」地域を研究・教育の対象と する講座として、日中・日ロだけでなく、韓国・朝 鮮やロシア極東地域などをも視野に入れたものにす ること、また、現代日本の社会や文化に深い影響を あたえ続けてきたアメリカ合衆国の文化をも対象と することであった。そうした構想のもとに、教授会 で新講座への移行希望者を募ることとなった。希望 調査の結果、下記の教員が移行することとなった。
小澤 浩(教授、当時学部長、行動文化講座・文 化構造論コースより)
神徳昭甫(教授、英米言語文化講座・アメリカ言 語文化コースより)
吉田俊則(助教授、歴史文化講座・西洋史コース より)
若尾政希(助教授、人間基礎論講座・人間基礎論 コースより)
上野隆三(助教授、日本東洋言語文化講座・中国 言語文化コースより)
以上の移行希望の5教員に加えて、国際文化関係 論講座の藤井教授、中本昌年教授(当時評議員、人 間基礎論講座)の7名で、新コース立案のためのワー キンググループが設置され、新講座および新コース と、そこで行われるべき教育カリキュラムの検討が 進められた。
ワーキンググループで立案され、将来計画委員会 の承認のもとに教授会に提案された再編案は、平成 8(1996)年の概算要求事項として文部省に申請さ れ、その年の12月に内諾を得て、平成9(1997)年 から新講座「国際文化論講座」と新コース「国際文 化論コース」が、コース学生定員16人の実験講座と して発足する運びとなった。なお、それまで国際文
化関係論講座に所属していた比較文学コースは、こ のときの改組を機に同じく国際文化学科の文化環境 論講座へと配置換えになった。
新体制の特徴は、①一大講座=1コースという大 コース制ととること、②コース所属のすべての学生 に日本文化関連の授業を必修とすること、③環日本 海地域と北米の文化を学習するにあたって、できる 限り現地への研修などのフィールドワークを取り入 れること(そのための授業として「国際文化論実習」
がたてられた)、④実践的な外国語の習得のために
「外国語演習」をコース全学生の必修とすること、
などである。
講座の教員の定員は下記の通りであった。
日本文化論担当 2名 小澤、若尾 中国文化論担当 2名
朝鮮文化論担当 1名 アメリカ文化論担当 2名 神徳 ロシア文化論担当 2名 吉田 留学生担当 1名
平成9(1997)年4月に国際文化論コースが発足 したと時点では、教員ポストにも多くの欠員を抱え ていたが、同年10月には、3月に転出された三宝教 授の後任として末岡宏助教授が着任し、翌10(1998) 年、3月に藤井教授が退官し、4月には韓国・朝鮮 文化論を担当する鈴木信昭助教授とアメリカ文化論 を担当する小野直子講師が着任したが、これらはい ずれも新設ポストである。さらに同年10月に、退官 された藤井教授の後任として、ロシア文化論を担当 する青木恭子講師、また、留学生担当教官山本氏が 同年3月に転出していたために、その後任に山崎け い子講師を迎えた。なお、留学生担当教官は、講座 としては国際文化論に所属してきたが、実質的には 運営と予算の両面で独立の「コース」として存立す べきことが、この再編に際して教授会で了承され、
以後、そのような仕方で運営されている。
平成10年(1998)10月には、コース立案以来のス タッフであった若尾政希助教授が転出されたのに伴 い、国際文化学科文化環境論講座・比較社会論コー スの立川健治教授を国際文化論へ配置換えすること が教授会で認められ、立川教授は以後、国際文化論 講座に所属し、本コースの日本文化論を担当するこ ととなった。
先に述べたように国際文化論コースは、環日本海 地域とアメリカ合衆国の諸文化を、比較・対照しな がら、それぞれの文化的特質、日本社会へのその影 響、相互の交渉・交流の歴史などを研究・教育する ために、日本、中国、韓国・朝鮮、ロシア、アメリ カなどを文学、歴史学、現代文化論などの様々な視 角から研究する総勢8ないし9名のスタッフをそろ えた学際的な性格をもった大コースであるが、実際 のコースの教育課程においては、それらが有機的に 結びつくこと、言い換えれば、学生指導において事 実上小コースの並立といった姿をとらないことを強 く意識して運営されてきた。そのための方策として、
卒論指導を集団で行うこと、様々な形態での共同授 業を数多く導入すること、履修指導において少なく とも2地域以上の文化に関わる授業の履修を勧める ことなどを追求してきた。現在のところ、共同授業 としては、国際文化入門Ⅰ(1年生対象、前期は各 文化論担当教員によるリレー式授業、後期は複数教 員による共同授業)、国際文化論演習Ⅰ(2年生全 員を対象とした複数教員による共同授業、前・後 期)、国際文化論演習Ⅱ(3年生後期から4年生 前・後期、卒業研究を目指した講座全教員による授 業)などがある。
大コースが複数教員による共同の教育を行うこと は、必ずしも簡単ではなく、そのための意志疎通、
話し合いに割かれる時間も相当なものであるのは事 実である。しかし、今後国立大学によりいっそう求 められるであろう「教育重視の路線」を考慮すれば、
この点での努力は決して無駄なことではなかろう。
学生が自主的に研究テーマを選び取り、主体的な判 断のもとに教員の指導を求めるという体制が十分成 熟するにはまだ時間を要するが、この間のコース運 営において模索されてきたことは、概ねそのような 方向に合致していると考えている。
国際文化論コース カリキュラムの現状
(1)国際文化論コースの教育目標
国際文化論コースは、日本、中国、朝鮮、ロシアおよ び米国などの諸文化を比較的文化論や交流・関係論
の観点から研究する。中国、朝鮮、ロシアは日本とと もにいわゆる環日本海地域を構成し、歴史上、相互 に強い影響を及ぼし合ってきた。また、米国文化の 近代・現代日本への強い影響はいうまでもない。本 コースは、異文化間の相互理解、相互交流の歴史と 現状に関わる諸問題を、文学・歴史・宗教・政治な どの多様な分野の研究手法を複合的に用いて、総合 的に研究することを目的とするが、そのため、専門 分野の異なる複数の教官による共同の研究・教育体 制をとる。とくに外国人留学生には、国際交流のた めの実践的日本語の修得だけでなく、上記の周辺諸 国や、留学生自身が属する自国の文化との関係にお いて、日本文化を多角的に研究する場を提供する。
(2)授業の組立の骨格
①必修の内訳
入門(0)、概論(2)、実習(0)、演習(8*1)、講 読(4)、特殊講義(6*1)、講義(4*2)、学科共通講 義(6)、卒業研究(10)
*1:二つ以上の地域の科目で充足することを条件付けている
*2:「日本の社会と文化」、「日本の歴史と思想」
②各授業科目開講コマ数、および開講形態(半期、
年間、隔年など)
原則として教員は、演習と、講読を毎期1コマ、
講義を半期1コマ、3年生後期に卒業研究準備のた めの演習(国際文化論演習Ⅰ、Ⅱ)を全員で担当す る。その他、専門基礎科目である国際文化論入門
(1)を隔年(前期)で2回担当する。
③卒論指導
テーマに応じて指導教員をおいているが、年数回 の中間報告の際も含めて、原則的に、全教員が指導 にあたる体制をとっている。
3.各授業の位置付け(・学生の受講実態の概略)
[1年次]必修科目ではないが、国際文化入門(1) を開講して、国際文化論コースの教育目標、学習内 容、および各教員の研究内容を紹介している。コー ス進学のガイダンスとして位置付けているわけでは ないが、進級後のアンケートをみると、国際文化入 門(1)受講が進級の動機となっているケースが多い。
概論・講義・講読・演習・実習
(英語、ロシア語、中国語、朝鮮語、近代文書、日本語)
講義・講読・演習・実習 演習(卒業研究準備)
演習(卒業演習)
卒業研究 入 門
1年次 2年次 3年次 4年次
国際文化論講座のコースは、多様な地域を専攻しようとする学生を対象にカリキュラムを編成、いわゆるカ フェテリア方式(好きなメニューを学生に選択させる。をとっている。下記のものは、仮にアメリカを中心に 研究する予定の学生の場合の履修モデルとしての例示。( ● 印は国際文化論コースの開講授業)
国際文化論特殊講義
国際文化論演習Ⅰ(日本と東アジア)
国際文化論演習Ⅱ(日本と欧米)
国際文化論実習
日本文化特殊講義 中国文化特殊講義 ロシア文化特殊講義 アメリカ文化特殊講義 朝鮮文化特殊講義 日本文化演習 中国文化演習 ロシア文化演習 アメリカ文化演習 比較日本文化論演習
日本文化論演習(留学生対象)
日本文化講読 中国文化講読 ロシア文化講読 アメリカ文化講読
日本語・日本文化論講読(留学生対象)
外国語演習
日本語表現法(留学生対象)
国際文化概論
日本の社会と文化 日本の歴史と思想 比較日本文化論 情報文化論 都市研究
国際地域研究(地誌学)
マイノリティ研究 国際社会研究(政治学)
民俗学 国際動態研究 自然人類学 ヨーロッパ文化論 国際文化入門
卒業研究 計
3、4年生合同授業
(ブレ、中間報告)
居留地、北海道、
中国等*自己計画
2科目(地域)以 上の単位で発足
2科目(地域)以 上の単位で発足
*比較日本文化論 演習は朝鮮文化論 演習として開講
文化環境論講座と 共通(*開講担当 は文化環境論)
国際文化論が(1)
文化環境論が(2)
指導教官および全員 どの地域の専攻でも 日本の社会、文化、
歴史、思想を学ぶ。
授業科目名 必 修 選択 1 備 考
前 1 後
2 前
2 後
3 前
3 後
4 前
4 後 2
2 2
4 4 4 4 4 8 8 8 8 4 4 4 4 4 4 4 4 4 2
4 4
2 2 2 2 2 2 2 2 2
10 46
2 2
2
2 2
2
2
2
2
2
2 2
2
2
2
2
2
2
2
2 2
2
2
2
2
2 2
2
2
2 2
2
2
2
2
2 2
2
2
2
2
2 2
10 2
6
8
4
4
4
6 2 2
6
8
4
4 2
4
6
4
38
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