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高濁度原水の膜ろ過に関する考察

ドキュメント内 浄水スラッジの脱水効率に関する研究 (ページ 42-46)

第2章  膜による浄水スラッジの濃縮におけるケーキ特性の影響

第4節  高濁度原水の膜ろ過に関する考察

 ここまでは,浄水スラッジの膜濃縮における膜間差圧について述べてきたが,さ らに,高濁度原水の膜ろ過におけるケーキ堆積と安定運転条件について,本研究の 手法を応用して検討した。

 河川水の膜ろ過では,無凝集で膜ろ過を行う場合や,前段処理として凝集もしく は凝集沈澱を行う場合とがある。本研究では,前段で凝集処理を行うことによって 膜ファウリングの進行を抑制できたものと考えられたことから,ここでは前段処理 として凝集処理を行うケースを想定した。

(1)膜面におけるケーキ最大厚さ

 高濁度原水の膜ろ過においては,膜表面にケーキ層が形成される。形成されるケー キの厚さが大きくなると,膜エレメント間のケーキ堆積が生じ,膜面積有効率の低 下によって,膜間差圧の上昇を招く恐れがある。そこで,まず,高濁度原水の膜ろ 過時におけるケーキ厚さについて検討した。

 実験では,膜表面に形成されるケーキの厚さを実測できなかったことから,ここ では,ケーキの固形分の比重と含水率から厚さを推定した。実験に用いた凝集沈澱 スラッジの固形分真比重は,表2-2より中高水温期は2.66g/cm3),低水温期は2.36

(g/cm3)であり,AlT比が低くなる中高水温期が低い値であった。また,含水率に ついては,膜表面上のケーキ含水率を測定できなかったことから,脱水実験におけ る脱水ケーキ含水率から,推定した。脱水ケーキ含水率とAlT比の関係を図2-15 に示す。脱水ケーキ含水率はAlT比が低いほど低くなる傾向があり,最も低い場 合は40%程度であった。

AlT比(mg-Al/mg-濁度)

脱水ケーキ含水率 (%)

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8

40 50 60 70 80

  図2-15AlT比と脱水ケーキ含水率の関係

 高濁度時の膜ろ過では,前段の凝集処理におけるAlT比はかなり低くなると考 えられる。そこで,固形物真比重を2.7g/cm3)とし,膜表面におけるケーキ含 水率を60%と仮定した。この条件において形成されるケーキの厚さを原水の濁度 別に推計した結果を表2-6に示す。透過流束1.0m3/(m2·day)),ろ過時間10min の条件では,原水濁度が1000度で約0.14cmの厚さのケーキが形成されるものと 推計された。なお,中空糸膜での活性汚泥のクロスフローろ過では,クロスフロー

流速が0.7m/sec)以上であればケーキ堆積が生じないことが報告されており21)

この推計値はろ過において形成されるケーキ層の最大の厚さであるといえる。

表2-6 ケーキ層の最大厚さの推計結果

(透過流束:1.0m3/(m2·day),ろ過時間10min

原水濁度(mg/L 100 500 1000 5000 ケーキ層厚さ(cm 0.014 0.068 0.136 0.682 AlT0.05mg-Al/mg-濁度)において,固形物真比重2.7g/cm3),

ケーキ含水率60%として推計

(2)膜間差圧の挙動

 次に,高濁度時の膜間差圧の挙動について検討した。ここでは,透過流束1.0m3/

(m2·day))の条件において,膜間差圧が50kPaとなるろ過時間を,原水濁度別に算

出した。算出にあたっては,ケーキ堆積を考慮して,膜面積有効率ηを変数とした。

AlT比は0.2及び0.05の2条件とし,式(2.13)から式(2.15)までの関係から,C=

原水濁度(mg/L)として膜間差圧が50kPaとなるろ過時間を求めた。なお,高濁 度は中高水温期に発生することが多いことから,水温は25℃とした。算出結果を AlT比別に図2-16に示した。

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 20 40 60 80 100

膜面積有効率η ()

()

AlT0.2 (mg-Al/mg-濁度)

100 200 500 1,000 2,000

5,000 10,000

20,000

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

0 20 40 60 80 100

膜面積有効率η () AlT0.05 (mg-Al/mg-濁度) 100 200

500 1,000 2,000 5,000

10,000

20,000

図2-16 膜間差圧=50kPaとなるろ過時間

AlT及び固形分濃度別。図中の数字は固形分濃度(mg/L)

 原水濁度が1000度(=mg/L)以下の条件では,膜面積有効率η0.3までで あれば,通常の洗浄間隔(60分以下)では膜間差圧が50kPaまでは上昇しないと 考えられた。つまり,ケーキ堆積がある程度発生したとしても,膜ろ過処理に大き

め,膜エレメントの間隔が狭い中空糸膜などでは,適切な洗浄間隔を設定する必要 がある。

 また,前段処理でのAlT比を低くすることで,部分比抵抗を低下させてろ過抵 抗を低減することも対策として挙げられる。しかし,AlT比を低下させることに より,懸濁粒子の粒径が減少することが懸念される。図2-17にAlT比と浄水ス ラッジの10%体積粒径の関係を示した。AlT比が低い場合には,10%体積粒径は 数μmと膜孔径の10倍程度まで低下しており,膜孔径に近い粒径の懸濁粒子も一 定量存在するものと考えられる。膜ファウリングを防止するためには,ある程度の AlT比を保つように凝集剤注入率を制御することが重要であるといえる。

AlT比(mg-Al/mg-濁度)

10%体積粒径 (μm)

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8

0 10 20 30 40 50

図2-17AlT比と10%体積粒径の関係

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