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ろ過理論と脱水効率の関係

ドキュメント内 浄水スラッジの脱水効率に関する研究 (ページ 53-56)

第3章  膜を用いた浄水スラッジの強制濃縮による脱水効率改善効果

第2節  ろ過理論と脱水効率の関係

(1) 浄水スラッジの脱水過程

 浄水スラッジの加圧脱水機での脱水過程はケーキろ過と圧密とに分類される。脱 水の開始後すぐにろ材表面にケーキが形成されケーキろ過となり,すべてのスラッ ジがケーキとなった後から圧密となる10)

 一方,浄水スラッジの脱水では,加圧水によるスラッジの圧搾機構を付した加圧 脱水機が多く使用されている。この圧搾機構付加圧脱水機では,脱水効率を向上さ せるためスラッジの圧入ろ過の工程(ろ過工程)でケーキろ過を終了させずに,よ り圧力の高い圧搾工程へ移行する。そのため,ろ過工程及び圧搾工程の中盤までが ケーキろ過となり,圧搾工程の終盤から圧密となる。

 浄水スラッジの脱水過程を厳密に把握しようとすれば,ケーキろ過及び圧密のそ れぞれの理論を用いて解析する必要があるが,非常に複雑なモデルとなるため,実 用的な観点から浄水スラッジの脱水過程はケーキろ過として解析されていることが ほとんどである7)-11)。そこで本研究においても,ケーキろ過として脱水実験結果を 解析した。

(2)ろ過理論

 ろ過理論では,ケーキろ過の全過程が次式で完全に表現できると仮定する12)。  

(

V +Vm

)

2=K

(

θ+θm

)

... (3.1)  ここで,Vはろ液量(m3),Vmはろ材抵抗に相当する仮想のろ液量(m3),θ ろ過時間(sec),θmVmを得るための仮想のろ過時間(sec),Kは定圧ろ過係数(m6/ sec)である。

 式(3.1)を微分すると,ろ液量の時間変化を表す定圧ろ過速度式が得られる。

 

 

dVdθ = K

2

(

V +Vm

)

... (3.2)

 式(3.1),式(3.2)中の定圧ろ過係数Kはろ過面積Am2),ろ過圧力PPa),ケー

キ湿乾質量比m-),原液中の固形分濃度skg/kg),ろ液粘度μ(Pa·sec),ろ液 密度(kg·m3)ρ,ケーキ平均比抵抗(以下「比抵抗」と略記)α(m/kgから次

 

  K = 2A2P

(

1−ms

)

μαρs ... (3.3)

 式(3.3)よりろ過工程と圧搾工程でろ過圧力Pが異なる場合,Pに比例してK

増加する。さらに,浄水スラッジは圧縮性ケーキを形成するため,圧力の増加とと もに比抵抗αが増加する。このため,ろ過工程と圧搾工程のKは別々に取り扱う 必要が生じる。

 式(3.3)では質量分率であるsを用いているが,通常スラッジの濃度表現である「ス

ラッジ濃度」として用いられているのは重量体積濃度である。この重量体積濃度s’

sの関係はスラッジの液比重ρ’を用いて式(3.4)で表される。

 

  s= s’

ρ’ ... (3.4)  通常のスラッジにおいてはρ’1に近いため,ss’はほぼ同じ値となる。

 また,式(3.3)におけるケーキ湿乾質量比mはろ過終了時のケーキの湿潤質量と 乾燥質量の比であり,ケーキの含水率から計算される。比抵抗αは,ケーキ固形 分の単位質量当たりの抵抗を示し,ろ過理論におけるケーキの脱水性の指標である。

(3)脱水効率

 脱水効率は,単位時間・単位ろ過面積でろ過される乾燥固形物量であるろ過速度 で評価される。圧搾機構付横型加圧脱水機での1回の脱水工程は,ろ過工程及び圧 搾工程に加えて,脱水に付随するろ板締付・開放・ケーキ排出などの作業で構成さ れる。そのため,ろ過速度Fkg-ds/(m2hr))は脱水結果から,次式で求められる。

  F = W

A

(

θf +θe +θd

)

×60 ... (3.5)  ここで,Wは脱水されたケーキ中の乾燥固形分量(kg),θfはろ過工程にかかる 時間(min)(以下,「ろ過時間」と略記),θeは圧搾工程にかかる時間(min)(以下,

「圧搾時間」と略記),θdはその他の作業にかかる雑時間(min)である。通常,ろ

(4)ろ過理論と脱水効率の関係

 一定量のスラッジを定圧ろ過する場合にはろ過理論と脱水効率の関係は明確であ

る。式(3.5)Wは脱水されたスラッジ量,固形分濃度s,ケーキ湿乾質量比m

ら求められる。また,定圧ろ過係数Kが,固形分濃度s,比抵抗α,ろ液粘度μ,ケー キ湿乾質量比mで決まるため,ろ過にかかる時間は式(3.1)の関係から求められる。

そのため,ろ過速度とs,αμmとの関係がろ過理論で説明できる。

 しかし圧搾機構付横型加圧脱水機での脱水では,ろ過工程でろ過が生じながらス ラッジが圧入され,圧入されたスラッジが圧搾工程でろ過される。ろ過工程の圧入 量はスラッジの脱水性に影響を受けるため一定ではなく,さらに圧搾時間がろ過工 程の圧入量とスラッジの脱水性に影響を受けることから,ろ過理論から直接にろ過 速度を求めることができない。そのため,強制濃縮によるスラッジの濃縮改善や,

加温によるろ液粘度の低減などの脱水効率改善策のろ過速度への効果が予測できな い。また,既存の報告7), 9), 10), 13)s,αμなどの変数とろ過速度との単相関に基 づいており,これら変数のろ過理論上の役割が考慮されていないという問題がある。

 一方,浄水スラッジでは,ろ過速度が脱水機へ供給される濃縮スラッジの濃度に 比例する現象が広く観察される。このため,膜濃縮等の強制濃縮によって濃縮スラッ ジ濃度が向上すれば,それに比例してろ過速度の改善が図れるものと思われがちで ある。しかし,実際には濃縮スラッジ濃度の向上ほどのろ過速度改善が見られない

事例2)-6)が多く,脱水効率改善策を検討する際に問題となっている。

 本研究では,膜濃縮スラッジについて脱水実験を行い,その結果をろ過理論に基 づいて解析し,ろ過理論上の変数s,αμとろ過速度の関係を明らかにすること を試みた。

ドキュメント内 浄水スラッジの脱水効率に関する研究 (ページ 53-56)

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