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の圧縮性は凝集沈澱処理条件(AlT比:原水濁度に対する凝集剤注入率の比)に関 わらず0.8程度で一定であり,ケーキの部分比抵抗はAlT比に比例することを明 らかにした。この関係を基に,凝集沈澱処理条件,固形分濃度及び運転条件から,ケー キの堆積時の膜間差圧を定量的に推計できる手法を提案した。本研究が提案した膜 間差圧の予測手法は,凝集沈澱処理条件や固形分濃度に応じて膜濃縮の運転条件を 最適化することを可能とし、膜濃縮の実施設導入に求められる長期間の安定運転に 寄与するものといえる。

 第3章「膜を用いた浄水スラッジの強制濃縮による脱水効率改善効果」は,膜濃 縮による固形分濃度の向上率と,脱水効率改善効果との定量的な関係を明らかにし たものである。一般的に,浄水スラッジの脱水効率は濃縮スラッジの固形分濃度に 比例する現象が確認されるため,膜濃縮で固形分濃度が向上すれば,それに応じた 脱水効率の改善が期待される。しかし,膜濃縮によって得られた濃縮スラッジの脱 水実験結果ではこの関係が成立しなかった。この原因を明らかにするため,脱水実 験結果をろ過理論に基づいて解析した結果,一般的な濃縮方法である沈降濃縮と,

膜濃縮との両者について,固形分濃度及びケーキ平均比抵抗と脱水効率との間に共 通して成立する定量的な関係があり,脱水効率(ろ過速度)は濃縮スラッジ濃度の 約0.3乗,ケーキ平均比抵抗の約−0.7乗に比例し,この関係に基づいて,膜濃縮 による脱水効率改善効果の定量的な予測が可能であることを明らかにした。

 第4章「浄水スラッジの脱水効率に関する予測モデル」は,第2章及び第3 で対象とした膜濃縮に加えて,代表的な脱水効率改善策であるスラッジの加温脱水 についての実験結果を基にして,沈降濃縮,膜濃縮及び加温脱水の全てに共通に成 立する脱水効率予測モデルを提案するものである。加温脱水実験結果では,ろ過工 程終了時の全ろ過抵抗に占めるろ材抵抗の割合は10~60%であり,浄水スラッジ の脱水においては,ろ材抵抗の影響が無視できないことが分かった。そこで,ろ材 による抵抗を考慮して,沈降濃縮,膜濃縮及び加温脱水についての実験結果を解析 することにより,スラッジの基本的特性である固形分濃度(s’)とケーキ平均比抵

モデルを適用し,原水や凝集沈澱処理条件や,脱水時の圧力等の処理条件が異なる 事例においても,高い精度で脱水効率改善効果を予測できることを明らかにした。

 

 以上,本研究では,浄水スラッジの脱水効率に関して,実際の浄水スラッジを用 いた実験結果をもとに,ろ過理論を用いた解析を行うことにより,改善策における 改善効果の定量的な予測についての有用な知見が得られたと考える。

 以下では,この理論的な解析手法や得られた予測モデルが,関連する浄水処理,

排水処理分野でどのような役割を果たすのかについて述べることとする。さらに,

今後の研究課題についてもこれに併せて触れる。

 第2章における膜間差圧の予測手法は,ろ過理論に基づくものであり,その基本 的な考え方は,膜濃縮だけでなく,膜ろ過における様々な処理条件の状況において も成立する可能性があると考えられる。特に,長時間の取水停止が許されない大規 模基幹浄水場における膜ろ過方式の導入にあたっては,高濁度原水の膜ろ過におけ る挙動の予測が不可欠である。この条件においては,膜間差圧はケーキろ過によっ て支配されると考えられることから,本研究の予測手法が適用できるものと考えら れる。

 ただし,膜の表面に形成されるケーキについては,本研究では膜の物理洗浄によ る除去がないものとして取り扱ったが,クロスフロー流速や空気洗浄強度などの条 件よってはケーキ量が低減できる可能性があることから,実際の状況においては本 研究で検討した結果よりも膜間差圧の上昇量が少ないことが考えられる。この点に ついては,更なる調査が必要と考えられる。

 また,凝集沈澱処理におけるAlT比とケーキ特性の関係については,ある程度 の誤差を含んだものであることから,予測精度の向上のためには,様々な処理条件 における凝集処理条件とケーキ特性の関係を明らかにしていく必要があると言え る。

 第3章及び第4章では,浄水スラッジの脱水実験をろ過理論に基づいて解析す ることにより,浄水スラッジの無薬注方式で広く用いられている沈降濃縮,強制濃 縮及び加温脱水において,これまで明確な関係が明らかでなかった,濃縮スラッジ

ドキュメント内 浄水スラッジの脱水効率に関する研究 (ページ 113-116)

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