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脱水効率予測モデルの検証

ドキュメント内 浄水スラッジの脱水効率に関する研究 (ページ 101-113)

第4章  浄水スラッジの脱水効率に関する予測モデル

第4節  脱水効率予測モデルの検証

(2)既存研究結果への適用:加温脱水

 加温脱水に関する既存研究について,実験条件及びろ過速度を整理して表4-1に 示した。

 さらに,それぞれの研究例について,加温温度からろ液粘度を算出し,式(4.4) によるろ過速度向上率の予測値 (μheatnorm)−0.62を求めた。また,加温脱水及び常温 脱水のそれぞれのろ過速度の実測値 Fheat及びFnormからろ過速度向上率の実測値 (Fheat/Fnorm)を求めた。以上の結果についても,表4-1に併せて示した。

表4-1 加温脱水に関する既存研究例におけるろ過速度向上率 文献 脱水温度( ろ過速度

kg-ds/(m2hr) 向上率 常温 加温 常温 加温 実測値 予測値

3) 7 20 1.05 1.25

7 30 1.15 1.44

7 40 1.49 1.62

16 30 1.07 1.23

16 40 1.30 1.39

4) 10 40 0.93 1.24 1.33 1.54

10 60 0.93 1.44 1.54 1.89

5) 20 40 1.25 1.61 1.29 1.30

20 60 1.25 2.23 1.78 1.61

6) 7 30 0.86 1.05 1.22 1.44

7 40 0.86 1.35 1.57 1.62

7 50 0.86 1.36 1.58 1.81

9 30 1.47 1.75 1.19 1.38

9 40 1.47 2.13 1.45 1.57

9 50 1.47 2.27 1.54 1.75

7 30 1.50 1.90 1.27 1.44

7 40 1.50 2.22 1.48 1.62

7 50 1.50 2.46 1.64 1.81

8) 16 36 0.82 1.17 1.43 1.32

20 40 1.40 1.30

9) 14.5 36.7 0.48 0.70 1.46 1.37

14.5 36.7 0.69 1.07 1.54 1.37

10) 9 35 0.40 0.53 1.33 1.47

9 47 0.40 0.66 1.65 1.69

9 54 0.40 0.89 2.23 1.82

9.5 47.5 0.27 0.50 1.85 1.69

9.5 51.8 0.27 0.72 2.67 1.76

 そして,ろ過速度向上率の予測値と実測値を比較した結果を図4-15に示した。

一部のデータを除けば,予測値と実測値は概ね一致しており,加温脱水の既存研究 についても予測モデル式でろ過速度向上効果を正確に予測できることが分かった。

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

ろ過速度向上率予測値

(

μheat

/

μnorm

)

0.62

(-)

ろ過速度向上率実測値F’ heat

/

F’ norm

(- )

図4-15 既存研究における加温脱水のろ過速度向上率の予測値と実測値の比較

(3)既存研究結果への適用:強制濃縮

 次に,強制濃縮に関する既存研究について,実験条件及びろ過速度を整理して表 4-2に示した。

 これらの研究例における実験結果について予測モデル式を適用し,沈降濃縮

(gravity thickening)及び強制濃縮(mechanical thickening)の濃縮スラッジ濃度s’grav

及びs’mechから式(4.4)におけるろ過速度向上率の予測値 (s’mech/s’grav)0.38 を求めた。

また,沈降濃縮及び強制濃縮のろ過速度の実測値Fgrav及びFmechから,ろ過速度向 上率の実測値 (Fmech/Fgrav)を求めた。以上の結果について,表4-2に併せて示した。

 なお,表4-2では,研究実施主体(公共機関及び民間B~G社),及び,装置種類(MF 膜を用いた装置:M,その他の装置:F)を区別して示した。

表4-2 強制濃縮に関する既存研究例におけるろ過速度向上率 文献 研究

主体 濃度

% 濃縮倍率 kg-ds/(mろ過速度2hr) ろ過速度向上率 濃縮前 濃縮後 濃縮前 濃縮後 実測値 予測値

6) D(M) 1.4 4.4 3.14 0.86 1.47 1.71 1.55

1.4 6.1 4.36 0.86 1.50 1.74 1.75 11) G(F) 2.8 4.8 1.70 1.39 1.88 1.35 1.22 12) C(F) 2.0 4.1 2.05 0.87 1.60 1.84 1.31 2.0 6.5 3.25 0.87 2.49 2.86 1.57 13) 公共(M) 6.4 10.7 1.67 2.66 3.22 1.21 1.22 6.4 12.4 1.94 2.66 3.64 1.37 1.29 6.4 8.3 1.30 2.66 2.81 1.06 1.10 6.4 16.0 2.50 2.66 3.92 1.47 1.42 6.4 6.6 1.03 2.66 2.76 1.04 1.01

14) 公共(M) 2.6 5.9 2.26 1.48 1.75 1.18 1.36

5.5 6.9 1.26 2.29 2.37 1.03 1.09 15) D(M) 2.5 8.0 3.20 0.90 1.61 1.79 1.56 2.7 8.7 3.22 1.16 1.93 1.66 1.56 2.5 8.2 3.28 1.04 1.91 1.84 1.57

16) D(M) 3.40 1.70 1.59

17) E(M) 3.0 7.1 2.39 0.56 0.96 1.72 1.39 18) F(M) 1.5 4.2 2.80 0.61 1.19 1.95 1.48 19) G(F) 11.0 18.0 1.64 4.80 6.00 1.25 1.21 3.6 8.2 2.28 1.10 1.60 1.45 1.37 1.8 5.0 2.78 0.50 1.30 2.60 1.47 20) C(F) 1.1 2.0 1.82 0.50 0.72 1.44 1.26 1.1 3.0 2.73 0.50 0.89 1.78 1.46 1.1 4.0 3.64 0.50 1.03 2.06 1.63 21) B(M) 1.3 5.0 3.85 0.30 1.02 3.40 1.67

 そして,ろ過速度向上率の予測値と実測値とを較した結果を図4-16に示した。

B社及びC社を除くと(Fmech/Fgrav) (s’mech/s’grav)0.38 とほぼ一致していた。特に,

公共機関が実施した例については高い精度で一致していた。一方,民間が実施した 例では(s’mech/s’grav)0.38 よりも(Fmech/Fgrav)が大きくなる場合があり,特にB社及び C社が実施した例が顕著であった。しかし,B社の装置は,脱水効率予測モデルの 導出時に用いた装置であり,C社の装置は検証実験に用いた装置である。そのため,

B社及びC社の装置については,本研究において予測モデル式によってろ過速度 向上効果が予測できることを確認しているといえる。このことから,強制濃縮の既 存研究例についても,予測モデル式によってろ過速度向上効果を予測できると考え られた。

1.00 1.25 1.50 1.75 2.00

1.0 1.5 2.0 2.5 3.0

3.5 G(F)

F(M) E(M) D(M) C(F) B(M) 公共

ろ過速度向上率予測値

(

s’mech

/

s’grav

)

0.38

(-)

ろ過速度向上率実測値F’ mech

/

F’ grav

(- )

図4-16 既存研究における強制濃縮のろ過速度向上率の予測値と実測値の比較

 以上から,加温脱水及び強制濃縮についての既存研究例において,脱水効率予測 モデル式(式(4.4))が,原水,浄水処理条件,脱水条件の異なる条件においても ろ過速度向上効果を予測できることを明らかにした。

第5節 結言

 本研究では,浄水スラッジの無薬注方式での脱水効率(ろ過速度)の予測モデル を得ることを目的に,浄水スラッジを沈降濃縮または強制濃縮して実験用横型加圧 脱水機で脱水実験を行い,その結果を解析した。以下に,主要な成果を列挙する。

1) 加温脱水でのろ過速度向上率は,ろ液粘度の逆数からの予測値よりも低かった。

そこで,筆者らが常温脱水で得たろ過速度と濃縮スラッジ濃度,ろ液粘度及びケー キ平均比抵抗との関係式(ろ過速度関係式)を適用したところ,R2=0.990と良 い一致を見た。

2) 加温脱水のろ過速度向上率の予測値は,ろ液粘度の逆数からの予測値よりも一 致したものの,依然として実測値よりも高い傾向があった。この原因について検 討したところ,ケーキ平均比抵抗及びろ材抵抗は加温によってあまり変化しない ことが明らかとなった。しかし,ろ過工程終了時の全ろ過抵抗に占めるろ材抵抗

の割合は10~60%であり,浄水スラッジの脱水においては,ろ材抵抗の影響が

無視できないことが分かった。

3) ろ材抵抗の影響を含んだろ過速度の予測モデルについて検討を行い,沈降 濃縮,強制濃縮,加温脱水に共通して成立するろ過速度の予測モデル式:

F’∝(s’)0.38(μα)−0.62を得た(決定係数R2=0.992)。この予測モデル式は,ろ材抵抗 の影響も含んだ実際の脱水の状況を,より近似的に推定することが可能である。

4) さらに,過去の研究例についてこの予測モデルを適用し,原水や凝集沈澱処理 条件や,脱水時の圧力等の処理条件が異なる事例においても,高い精度で脱水効 率改善効果を予測できることを明らかにした。

 本研究では,浄水スラッジの無薬注方式で広く用いられている沈降濃縮,強制濃 縮及び加温脱水において,これまで明確な関係が明らかでなかった,濃縮スラッジ 濃度,ろ液粘度及びケーキ平均比抵抗と脱水効率(ろ過速度)との関係について,

用対効果が最適となる運転条件を決定することが可能になると考えている。

参考文献

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平成14年度東京都水道局研究発表会論文集,pp.115-118 (2003)

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15) 根本茂,小沢春夫:セラミック膜による上水汚泥の濃縮,第47回全国水道研 究発表会講演集,pp.240-241 (1996)

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22)杉本泰治:ろ過−メカニズムとろ材・ろ過助剤,地人書館 (1992)

ドキュメント内 浄水スラッジの脱水効率に関する研究 (ページ 101-113)

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