第3章 膜を用いた浄水スラッジの強制濃縮による脱水効率改善効果
第3節 実験装置及び実験方法
(2)実験方法
実験には,第2章で用いた実験用加圧脱水機(図2-4及び図2-5参照)を用いた。
脱水条件等についても,第2章と同様である(表2-5参照)。
実験では,膜濃縮装置による濃縮スラッジと沈降濃縮による濃縮スラッジの脱水 性の把握,及び,膜濃縮の沈降濃縮に対する脱水効率向上効果の比較を目的として,
処理水量(発生スラッジ量)の異なる沈澱池(A,B)で発生した沈澱スラッジA及 びBを用いて下記の実験を行った。。
①沈澱スラッジAを膜濃縮し,得られた濃縮スラッジについて脱水実験を行った。
2種類の膜濃縮装置について各10回採取し,合計20検体である。(以下「膜濃 縮スラッジ」と記す)
② 沈澱スラッジBを48時間沈降濃縮し,得られた濃縮スラッジについて脱水実 験を行った。合計35検体である。(以下「沈降濃縮スラッジ」と記す)
③①の実験のうち2回について,膜濃縮装置に供給した沈澱スラッジAについて,
48時間沈降濃縮して脱水実験を行って,脱水効率向上効果を把握した。(以下「同 一スラッジ実験」と記す)
膜濃縮スラッジの脱水性を検討するため,脱水実験では,ろ過工程における累積 ろ液量の時間変化を把握することによって,ろ過工程の比抵抗αfを求めた。
脱水実験結果からαfを求めるためには,式(3.2)から得られる式(3.6)の関係を 用いる。
dθ dV = 2
KV + 2Vm
K ... (3.6) 定圧ろ過工程において,ろ液量Vの時間変化をもとに,V−dθ/dVプロットが直 線となる区間の傾きからろ過工程の定圧ろ過係数Kfを求め,式(3.3)からαfを算 出した。
比抵抗の算出にはろ過工程終了時のケーキ湿乾質量比mfが必要となる。しかし,
ろ過工程終了時にはろ室内にスラッジとケーキとが存在しており,ケーキのみの含 水率を測定することができない。既存の報告8)では,ろ室内のスラッジを含めた平 均含水率を用いてmfを算出している。しかし,この方法ではろ過工程終了時のケー キがろ室内のスラッジとケーキとを合わせたものとなる。比抵抗が大きいケーキほ
mfが大きくなる。一方,mfが大きくなると式(3.4)から比抵抗は小さくなる。この ため,mfの算出にろ室内のスラッジを含めた平均含水率を用いると,比抵抗が大 きいほどmfによって比抵抗が小さく算出されるため,正確なケーキの比抵抗が把 握できない。
そのため,本稿ではろ過工程終了時のケーキ含水率を圧搾工程終了時の含水率か ら推定することとした。一般に,圧搾を行うことで含水率は5~10%程度減少で きる14)。そこで,ろ過工程終了時のケーキ含水率は圧搾工程終了時の含水率より 10%低いと仮定してmfを算出し比抵抗を求めた。
また,膜濃縮スラッジの実験結果については,表3-1から供試スラッジの50%
体積粒径が56~71μmと膜濃縮装置の孔径(0.1,0.5μm)と比較して極めて大きい ことから,膜による物理的な濃縮ではスラッジの脱水性が変化しないと考え,2種 類の膜の実験結果を区別せずに取り扱った。