本節では、中学生の高校選択の時期を中心に、中学生の高校選択の現状について、調査結 果から分析する。まず、高校選択の時期について全体的な傾向を把握する。
表3—2は、「振り返り調査」の、問(1)「どの高校を志望高校にしようかと最初に考え始 めた時期はいつごろですか」と問(9)「志望高校を最終的に決定した時期はいつごろですか」
のクロス表 62である。志望高校を考え始めた時期と志望高校を最終的に決定した時期で最も 多いパターンは、「中学3年生の4月から8月」に考え始め、「中学3年生の9月から12月」
に決定するもので、次に多いのが「中学3年生の9月から12月」に考え始め、「中学3年生 の9月から12月」に決定するものである。また、「考え始め」が早いと「決定」も早い傾向 がみられるが、「中学3年生1月以降」に考え始める生徒を除き、どの時期に考え始めても「中 学3年生の9月から12月」に決定する割合が最も多い。
表3—2 志望高校を考え始めた時期と志望高校を最終的に決定した時期のクロス表
出典:「振り返り調査」より筆者作成。
注:χ2(df=25,N=2863)=1497.837、Cramer’s V=.323、P<.01。
3.3.1 決定時期と学力判断
「2.2.5 志望校未決定率と卒業率」で、平成5年の「偏差値追放」により中学生の志望校
決定が遅くなった結果、志望校未決定率が増加し、中途退学を含む卒業率に影響を与えてい る可能性を指摘した。ここでは、「偏差値追放」により中学生の志望校決定が遅くなってい ることについて、中学生の高校選択の決定時期から考察する。
図3—3は、「振り返り調査」の問(5)「志望高校を選ぶときに、どのような情報で自分の 学力を判断しましたか」に対する回答(3つまで)について、回答者数に対する回答数の割 合を図にしたものである。学力判断の情報源として、「学校外で受けた模擬テストの結果」
を選択した生徒が79.8%と最も多い。会場テストとは、「偏差値追放」により中学校で実施
62 以降、小木曽(2006)および村瀬ほか(2007)に従い、クロス表を作成する。
3.3 高校選択の時期
本節では、中学生の高校選択の時期を中心に、中学生の高校選択の現状について、調査 結果から分析する。まず、高校選択の時期について全体的な傾向を把握する。
表 3-2 は、「振り返り調査」の、問(1)「どの高校を志望高校にしようかと最初に考え 始めた時期はいつごろですか」と問(9)「志望高校を最終的に決定した時期はいつごろで すか」のクロス表62である。志望高校を考え始めた時期と志望高校を最終的に決定した時期 で最も多いパターンは、「中学3年生の4月から8月」に考え始め、「中学3年生の9月か ら12月」に決定するもので、次に多いのが「中学3年生の9月から12月」に考え始め、
「中学3年生の9月から12月」に決定するものである。また、「考え始め」が早いと「決 定」も早い傾向がみられるが、「中学3年生1月以降」に考え始める生徒を除き、どの時期 に考え始めても「中学3年生の9月から12月」に決定する割合が最も多い。
表3-2 志望高校を考え始めた時期と志望高校を最終的に決定した時期のクロス表
合計
小学校のころ中学1年生の ころ
中学2年生の ころ
中学3年生の 4月から8月
中学3年生の 9月から12月
中学3年生の 1月以降
7 3 8 17 20 17 72
0 23 22 74 82 38 2.5%239
0 0 44 170 236 70 8.3%520
18.2%
3 0 3 182 561 204 953
33.3%
1 1 1 8 485 273 769
26.9%
0 0 1 7 16 286 310
10.8%
11 27 79 458 1400 888 2863
0.4% 0.9% 2.8% 16.0% 48.9% 31.0% 100.0%
合計
志望高校を最終的に決定した時期
志望高校を 考え始めた 時期
小学校のころ 中学1年生のころ 中学2年生のころ 中学3年生の 4月から8月 中学3年生の 9月から12月 中学3年生の 1月以降
※χ2(df=25,N=2863)=1497.837 Cramer’sV=.323 P<.01 出典:「振り返り調査」より筆者作成。
3.3.1 決定時期と学力判断
「2.2.5 志望校未決定率と卒業率」で、平成 5年の「偏差値追放」により中学生の志望
校決定が遅くなった結果、志望校未決定率が増加し、中途退学を含む卒業率に影響を与え ている可能性を指摘した。ここでは、「偏差値追放」により中学生の志望校決定が遅くなっ ていることについて、中学生の高校選択の決定時期から考察する。
図 3-3 は、「振り返り調査」の問(5)「志望高校を選ぶときに、どのような情報で自分 の学力を判断しましたか」に対する回答(3つまで)について、回答者数に対する回答数の 割合を図にしたものである。学力判断の情報源として、「学校外で受けた模擬テストの結果」
を選択した生徒が79.8%と最も多い。会場テストとは、「偏差値追放」により中学校で実施 できなくなった業者テストのことであり、結果とは偏差値のことである。「2.2.3 業者テス
62 以降、小木曽(2006)および村瀬ほか(2007)に従い、クロス表を作成する。
できなくなった業者テストのことであり、結果とは偏差値のことである。「2.2.3 業者テス ト申込率と志望校決定率」の図2—4で示した業者テスト申込率は、9月で79.37%、11月で
81.73%であり、「学校外で受けた模擬テスト(会場テスト)の結果」、つまり偏差値を学力
判断の情報源とした79.8%に近い。また、同項の図2—6で、9月業者テスト申込率と志望 校決定率に相関があることを示したが、図3—3からも約8割の生徒が偏差値を利用し、高 校選択をしていると考えられる。
図3—3 高校選択における学力判断の情報源 出典:「振り返り調査」より筆者作成。
注:N=2974、3つまで選択。
表3—3は、「振り返り調査」の、問(5)「志望高校を選ぶときに、どのような情報で自分 の学力を判断しましたか」に対する回答(3つまで)の「4 学校外で受けた模擬テスト(会 場テスト)の結果」と問(9)「志望高校を最終的に決定した時期はいつごろですか」のクロ ス表である。「会場テストの結果を学力判断の情報とした」生徒は、「中学3年生の9月から 12月」に決定し(51.4%)、「中学3年生の1月以降」に決定する生徒(28.9%)は4割減に なるが、「しない」生徒は「9月から12月」(38.9%)と「1月以降」(39.8%)でほとんど変 化がなく、「1月以降」がわずかに微増しているだけである。このことから、偏差値を「学 力判断としない」生徒に志望校の決定時期が遅くなる傾向があると考えられる。
表3—3 学校外で受けた模擬テスト(会場テスト)と志望高校を最終的に 決定した時期のクロス表
出典:「振り返り調査」より筆者作成。
注:χ2(df=5,N=2840)=64.274 Cramer’s V=.15、P<.01。
また、「2.2.3 業者テスト申込率と志望校決定率」で、9月業者テスト申込率が12月(1月)
の志望校決定率と正の相関があることを示したが、「会場テストの結果を学力判断の情報と - 38 -
割合を図にしたものである。学力判断の情報源として、「学校外で受けた模擬テストの結果」
を選択した生徒が79.8%と最も多い。会場テストとは、「偏差値追放」により中学校で実施 できなくなった業者テストのことであり、結果とは偏差値のことである。「2.2.3 業者テス ト申込率と志望校決定率」の図2-4で示した業者テスト申込率は、9月で79.37%、11月
で81.73%であり、「学校外で受けた模擬テスト(会場テスト)の結果」、つまり偏差値を学
力判断の情報源とした79.8%に近い。また、同項の図2-6で、9月業者テスト申込率と志 望校決定率に相関があることを示したが、図3-3からも約8割の生徒が偏差値を利用し、
高校選択をしていると考えられる。
※N=2974、3つまで選択。
図3-3 高校選択における学力判断の情報源
出典:「振り返り調査」より筆者作成。
注N=2974、3つまで選択。
表 3-3 は、「振り返り調査」の、問(5)「志望高校を選ぶときに、どのような情報で自 分の学力を判断しましたか」に対する回答(3 つまで)の「4 学校外で受けた模擬テスト
(会場テスト)の結果」と問(9)「志望高校を最終的に決定した時期はいつごろですか」
のクロス表である。「会場テストの結果を学力判断の情報とした」生徒は、「中学3年生の9 月から12月」に決定し(51.4%)、「中学3年生の1月以降」に決定する生徒(28.9%)は 4割減になるが、「しない」生徒は「9月から12月」(38.9%)と「1月以降」(39.8%)で ほとんど変化がなく、「1 月以降」がわずかに微増しているだけである。このことから、偏 差値を「学力判断としない」生徒に志望校の決定時期が遅くなる傾向があると考えられる。
表3-3 学校外で受けた模擬テスト(会場テスト)と 志望高校を最終的に決定した時期のクロス表
※χ2(df=5,N=2840)=64.274 Cramer’sV=.15 P<.01 出典:「振り返り調査」より筆者作成。
注 :χ2(df=5,N=2840)=64.274、Cramer’sV=.15、P<.01。
合計 小学校のころ中学1年生の
ころ
中学2年生の ころ
中学3年生の 4月から8月
中学3年生の 9月から12月
中学3年生の 1月以降
した 0.1% 0.6% 2.7% 16.2% 51.4% 28.9% 2262
しない 1.4% 2.2% 2.6% 15.1% 38.9% 39.8% 578
合計 11 27 77 454 1388 883 2840
会場テストの結果を 学力判断と
志望高校を最終的に決定した時期 4.5%
14.7%
24.3%
26.8%
32.3%
35.7%
79.8%
その他 塾内テストの成績 中学校の先生の進路指導やアドバイス 塾での進路相談やアドバイス 中学校内で受けた実力テストなどの結果 中学校での各教科の成績 学校外で受けた模擬テスト(会場テスト)の結果
����: 中央揃え
����: 中央揃え
����: インデント : 左 : 0 mm, 最 初の行 : 12.15 字
����: インデント : 最初の行 : 1 字
ト申込率と志望校決定率」の図2-4で示した業者テスト申込率は、9月で79.37%、11月
で81.73%であり、「学校外で受けた模擬テスト(会場テスト)の結果」、つまり偏差値を学
力判断の情報源とした79.8%に近い。また、同項の図2-6で、9月業者テスト申込率と志 望校決定率に相関があることを示したが、図3-3からも約 8割の生徒が偏差値を利用し、
高校選択をしていると考えられる。
※N=2974、3つまで選択。
図3-3 高校選択における学力判断の情報源
出典:「振り返り調査」より筆者作成。
表 3-3 は、「振り返り調査」の、問(5)「志望高校を選ぶときに、どのような情報で自 分の学力を判断しましたか」に対する回答(3つまで)の「4 学校外で受けた模擬テスト
(会場テスト)の結果」と問(9)「志望高校を最終的に決定した時期はいつごろですか」
のクロス表である。「会場テストの結果を学力判断の情報とした」生徒は、「中学3年生の9 月から12月」に決定し(51.4%)、「中学3年生の1月以降」に決定する生徒(28.9%)は 4割減になるが、「しない」生徒は「9月から12月」(38.9%)と「1月以降」(39.8%)で ほとんど変化がなく、「1 月以降」がわずかに微増しているだけである。このことから、偏 差値を「学力判断としない」生徒に志望校の決定時期が遅くなる傾向があると考えられる。
表3-3 学校外で受けた模擬テスト(会場テスト)と志望高校を最終的に決定した時期の クロス表
※χ2(df=5,N=2840)=64.274 Cramer’sV=.15 P<.01 出典:「振り返り調査」より筆者作成。
また、「2.2.3 業者テスト申込率と志望校決定率」で、9月業者テスト申込率が12月(1
月)の志望校決定率と正の相関があることを示したが、「会場テストの結果を学力判断の情 報とした」生徒の志望校を決定した時期が「9月から12月」以降に多いことから、やはり、
合計
小学校のころ中学1年生の ころ
中学2年生の ころ
中学3年生の 4月から8月
中学3年生の 9月から12月
中学3年生の 1月以降
した 0.1% 0.6% 2.7% 16.2% 51.4% 28.9% 2262
しない 1.4% 2.2% 2.6% 15.1% 38.9% 39.8% 578
合計 11 27 77 454 1388 883 2840
会場テストの結果を 学力判断と
志望高校を最終的に決定した時期