3.5 高校選択の情報
3.5.1 高校選択の大切な要素と役立った内容
中学生の高校選択に関する情報について、本項では、中学生の高校選択における大切な要 素に対し、学校説明会の内容が役に立ったかという視点から検討したい。
図3—5は、「振り返り調査」の問(7)「志望高校を選ぶために役に立った学校説明会が1 校以上ありましたか」に対し「はい」と回答した生徒を対象に、「振り返り調査」の、問(3)「志 望高校を選ぶために、次の要素は大切な要素となりましたか」に対する回答(3つまで)と 問(8)「志望高校を選ぶためにいちばん役に立った学校説明会で何が役に立ちましたか」に 対する回答(3つまで)について、それぞれの回答数の回答者総数に対する割合を図にした ものである。選択対象の17項目については、「大切な要素」の割合の高い順に上から並べた。
「大切な要素」は高校選択における高校への期待であり、高校選択のための情報提供の場 である学校説明会への期待度と考え、「役立った内容」は実際の学校説明会に参加したとき の満足度と考えた。高校選択の「大切な要素」と実際の学校説明会で「役立った内容」が期 待以上であったか、以下であったか、すなわち期待度と満足度とを比較することで、学校説 明会における各項目の効果を検証できると考えた。また、1ポイント以下の差については差 がないものと判断し、対象から除いた。
表3-10 平成23年入試実倍率3段階と高校選択の悩み4クラスタのクロス表
※χ2(df=6,N=2989)=12.301 Cramer’sV=.045 P<.1
出典:「H23入試実倍率」は埼玉県教育委員会(2011e)より筆者作成。
以上から、中学生の高校選択の悩みは「高校進学後の心配」と「高校選択できない悩み」
の2つの主成分の組み合わせから、生徒を4つのパターンに分類することができ、すべて の高校が「高校進学後の悩み」と正の相関のある「どの高校が自分の適性や個性にあうか わからない」、「進学した高校でやっていけるかわからない」、「それぞれの高校の教育内容 の違いがわからない」について情報提供することで、1/3以上の中学生の高校選択の悩みに 対応できることが明らかになった。
3.5 高校選択に必要な情報
ここまで、中学生の高校選択の時期と悩みについて検討してきた。本節では「3.2 情報 源と情報提供の目的」で示したすべての目的と関係の深い、中学生の高校選択に必要な情 報について分析する。
3.5.1 高校選択の大切な要素と役立った内容
中学生の高校選択に必要な情報について、本項では、中学生の高校選択における大切な 要素に対し、学校説明会の内容が役に立ったかという視点から検討したい。
図3-5は、「振り返り調査」の問(7)「志望高校を選ぶために役に立った学校説明会が1 校以上ありましたか」に対し「はい」と回答した生徒を対象に、「振り返り調査」の、問(3)
「志望高校を選ぶために、次の要素は大切な要素となりましたか」に対する回答(3つまで)
と問(8)「志望高校を選ぶためにいちばん役に立った学校説明会で何が役に立ちましたか」
に対する回答(3つまで)について、それぞれの回答数の回答者総数に対する割合を図にし たものである。選択対象の 17 項目については、「大切な要素」の割合の高い順に上から並 べた。
「大切な要素」は高校選択における高校への期待であり、高校選択に必要な情報提供の 場である学校説明会への期待度と考え、「役立った内容」は実際の学校説明会に参加したと きの満足度と考えた。高校選択の「大切な要素」と実際の学校説明会で「役立った内容」
が期待以上であったか、以下であったか、すなわち期待度と満足度で比較することで、各 項目の効果を検証できると考えた。また、1ポイント以下の差については差がないものと判 断し、対象から除いた。
合計
1悩み・心配 少ない
2心配より 悩み多い
3悩み・心配 多い
4悩みより 心配多い
高位群 53.1% 9.9% 3.6% 33.4% 781
中位群 46.9% 11.0% 5.2% 36.9% 1278
低位群 46.2% 12.3% 4.5% 37.0% 930
合計 1444 331 137 1077 2989 4クラスタ
H23入試 実倍率 3段階
図3—5 役に立った学校説明会があった生徒の高校選択の大切な要素と 学校説明会で役立った内容
出典:「振り返り調査」より筆者作成。
注:N=1784、「大切な要素」と「役立った内容」いずれも3つまで選択。
「大切な要素」の期待度と「役立った内容」の満足度の差がプラスポイントである期待以 上の項目は、「類型やコースがある」(+12.4)、「施設設備がよい」(+9.1)、「伝統校風がよい」
(+8.3)、「興味ある行事がある」(+6.7)、「進学実績がよい」(+5.7)、「選抜基準が自分にあう」
(+4.5)、「先生の感じがよい」(+3.6)、「先輩の感じがよい」(+2.6)であった。一方、「大切 な要素」の期待度と「役立った内容」の満足度の差がマイナスポイントである期待以下の項 目は、「自分の学力にあう」(—31.5)、「通学に便利」(—20.5)、「やりたい部活動ができる」(—8.2)、
「学校の評判がよい」(—6.5)、「校則が自分にあう」(—2.4)、「学力を伸ばせる」(—2.3)であった。
期待以下の項目のうち、「通学に便利」は各高校の設置状況に違いがあり、「学校の評判がよ い」は第3者の評価によるものであることから、これらを説明項目にすることは難しいが、「自 分の学力にあう」、「やりたい部活動ができる」については、情報提供の内容となり得る項目
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「志望高校を選ぶために、次の要素は大切な要素となりましたか」に対する回答(3つまで)
と問(8)「志望高校を選ぶためにいちばん役に立った学校説明会で何が役に立ちましたか」
に対する回答(3つまで)について、それぞれの回答数の回答者総数に対する割合を図にし たものである。選択対象の 17 項目については、「大切な要素」の割合の高い順に上から並 べた。
「大切な要素」は高校選択における高校への期待であり、高校選択のためのに必要な情 報提供の場である学校説明会への期待度と考え、「役立った内容」は実際の学校説明会に参 加したときの満足度と考えた。高校選択の「大切な要素」と実際の学校説明会で「役立っ た内容」が期待以上であったか、以下であったか、すなわち期待度と満足度とをで比較す ることで、学校説明会における各項目の効果を検証できると考えた。また、1ポイント以下 の差については差がないものと判断し、対象から除いた。
6.8%
4.0%
8.5%
17.7%
8.0%
8.0%
6.3%
8.8%
20.0%
19.1%
11.0%
7.6%
25.3%
21.9%
23.5%
15.4%
31.7%
3.2%
3.7%
4.0%
5.3%
5.4%
8.2%
8.7%
9.3%
10.9%
12.4%
13.3%
14.0%
17.0%
18.8%
31.7%
35.9%
63.2%
先生の感じがよい 周辺地域の環境がよい 選抜基準が自分にあう 類型やコースがある 先輩の感じがよい 学びたい科目がある 校則が自分にあう 個性を伸ばせる 施設設備がよい 興味ある行事がある 学力を伸ばせる 学校の評判がよい 伝統校風がよい 進学実績がよい やりたい部活動ができる 通学に便利 自分の学力にあう
大切な要素 役立った内容
����� 中央揃え
と考えられる。
なぜ、「大切な要素」の期待度が高いのに、学校説明会で「役に立った内容」の満足度が低い、
期待以下の項目があるのであろうか。特にマイナスポイントが大きく、学校説明会の内容と 十分なり得る「自分の学力にあう」と「やりたい部活動ができる」について、回答した生徒 が現在通っている高校における学校説明会の目的と関連づけて考察する。
表3—11 「自分の学力にあう」についての学校選択の大切な要素と学校説明会 の目的のクロス表
出典:「振り返り調査」および「情報提供調査」より筆者作成。
注:χ2(df=1,N=2214)=6.423、φ=.054、P<.05。「大切な要素」は3つまで、「目的」はいくつでも選択。
表3—12 「やりたい部活動ができる」について学校選択の大切な要素と学校説明 会の目的のクロス表
出典:「振り返り調査」および「情報提供調査」より筆者作成。
注:χ2(df=1,N=2214)=18.016、φ=.09、P<.01。「大切な要素」は3つまで選択、「目的」はいくつでも選択。
表3—11は、「振り返り調査」の問(16)「現在通っている高校の学校説明会に参加しまし たか」に対し「1 参加した」と回答した生徒とその生徒が在籍する高校を対象に、「振り返 り調査」の問(3)「志望高校を選ぶために、次の要素は大切な要素となりましたか」に対す る回答(3つまで)のうち「1 自分の学力にあっていること」と「情報提供調査」の問(1)「学 校説明会に参加する中学生に対して、どのようなことを理解してほしいと考え、学校説明会 を実施していますか」に対する回答(いくつでも)のうち「1 参加した中学生が、自分の 学力にあっているかどうかわかること」のクロス表である。
また、表3—12は、「振り返り調査」の問(16)「現在通っている高校の学校説明会に参加 しましたか」に対し「1 参加した」と回答した生徒とその生徒が在籍する高校を対象に、「振 り返り調査」の問(3)「志望高校を選ぶために、次の要素は大切な要素となりましたか」に 対する回答(3つまで)のうち「8 やりたい部活動ができること」と「情報提供調査」の問(1)
「学校説明会に参加する中学生に対して、どのようなことを理解してほしいと考え、学校説 明会を実施していますか」に対する回答(いくつでも)の「8 参加した中学生が、やりた
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については、情報提供の内容となり得る項目と考えられる。
なぜ、「大切な要素」の期待度が高いのに、学校説明会で「役に立った内容」の満足度が 低い、期待以下の項目があるのであろうか。特にマイナスポイントが大きく、学校説明会 の内容と十分なり得る「自分の学力にあう」と「やりたい部活動ができる」について、回 答した生徒が現在通っている高校における学校説明会の目的と関連づけて考察する。
表3-11 「自分の学力にあう」についての学校選択の大切な要素と学校説明会の目的のク ロス表
※χ2(df=1,N=2214)=6.423 φ=.054 P<.05 大切な要素は3つまで、目的はいくつでも選択。
出典:「振り返り調査」および「情報提供調査」より筆者作成。
表3-12 「やりたい部活動ができる」について学校選択の大切な要素と学校説明会の目的 のクロス表
※χ2(df=1,N=2214)=18.016 φ=.09 P<.01 大切な要素は3つまで選択、目的はいくつでも選択。
出典:「振り返り調査」および「情報提供調査」より筆者作成。
表 3-11 は、「振り返り調査」の問(16)「現在通っている高校の学校説明会に参加しま したか」に対し「1 参加した」と回答した生徒とその生徒が在籍する高校を対象に、「振 り返り調査」の問(3)「志望高校を選ぶために、次の要素は大切な要素となりましたか」
に対する回答(3 つまで)のうち「1 自分の学力にあっていること」と「情報提供調査」
の問(1)「学校説明会に参加する中学生に対して、どのようなことを理解してほしいと考 え、学校説明会を実施していますか」に対する回答(いくつでも)のうち「1 参加した中 学生が、自分の学力にあっているかどうかわかること」のクロス表である。
また、表 3-12 は、「振り返り調査」の問(16)「現在通っている高校の学校説明会に参 加しましたか」に対し「1 参加した」と回答した生徒とその生徒が在籍する高校を対象に、
「振り返り調査」の問(3)「志望高校を選ぶために、次の要素は大切な要素となりました か」に対する回答(3 つまで)のうち「8 やりたい部活動ができること」と「情報提供調 査」の問(1)「学校説明会に参加する中学生に対して、どのようなことを理解してほしい と考え、学校説明会を実施していますか」に対する回答(いくつでも)の「8 参加した中
合計
する しない
する 30.4% 69.6% 1405
しない 25.3% 74.7% 809
合計 632 1582 2214
「自分の学力にあう」を学校説明会の目的と
「自分の学力にあう」を 学校選択の大切な要素と
合計
する しない
する 80.8% 19.2% 668
しない 72.3% 27.7% 1546
合計 1658 556 2214
「部活動ができる」を学校説明会の目的と
「部活動ができる」を 学校選択の大切な要素と
については、情報提供の内容となり得る項目と考えられる。
なぜ、「大切な要素」の期待度が高いのに、学校説明会で「役に立った内容」の満足度が 低い、期待以下の項目があるのであろうか。特にマイナスポイントが大きく、学校説明会 の内容と十分なり得る「自分の学力にあう」と「やりたい部活動ができる」について、回 答した生徒が現在通っている高校における学校説明会の目的と関連づけて考察する。
表3-11 「自分の学力にあう」についての学校選択の大切な要素と学校説明会の目的のク ロス表
※χ2(df=1,N=2214)=6.423 φ=.054 P<.05 大切な要素は3つまで、目的はいくつでも選択。
出典:「振り返り調査」および「情報提供調査」より筆者作成。
表3-12 「やりたい部活動ができる」について学校選択の大切な要素と学校説明会の目的 のクロス表
※χ2(df=1,N=2214)=18.016 φ=.09 P<.01 大切な要素は3つまで選択、目的はいくつでも選択。
出典:「振り返り調査」および「情報提供調査」より筆者作成。
表 3-11 は、「振り返り調査」の問(16)「現在通っている高校の学校説明会に参加しま したか」に対し「1 参加した」と回答した生徒とその生徒が在籍する高校を対象に、「振 り返り調査」の問(3)「志望高校を選ぶために、次の要素は大切な要素となりましたか」
に対する回答(3 つまで)のうち「1 自分の学力にあっていること」と「情報提供調査」
の問(1)「学校説明会に参加する中学生に対して、どのようなことを理解してほしいと考 え、学校説明会を実施していますか」に対する回答(いくつでも)のうち「1 参加した中 学生が、自分の学力にあっているかどうかわかること」のクロス表である。
また、表 3-12 は、「振り返り調査」の問(16)「現在通っている高校の学校説明会に参 加しましたか」に対し「1 参加した」と回答した生徒とその生徒が在籍する高校を対象に、
「振り返り調査」の問(3)「志望高校を選ぶために、次の要素は大切な要素となりました か」に対する回答(3 つまで)のうち「8 やりたい部活動ができること」と「情報提供調 査」の問(1)「学校説明会に参加する中学生に対して、どのようなことを理解してほしい と考え、学校説明会を実施していますか」に対する回答(いくつでも)の「8 参加した中
合計
する しない
する 30.4% 69.6% 1405
しない 25.3% 74.7% 809
合計 632 1582 2214
「自分の学力にあう」を学校説明会の目的と
「自分の学力にあう」を 学校選択の大切な要素と
合計
する しない
する 80.8% 19.2% 668
しない 72.3% 27.7% 1546
合計 1658 556 2214
「部活動ができる」を学校説明会の目的と
「部活動ができる」を 学校選択の大切な要素と