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平成16年の「学区撤廃」以降の入学者選抜制度等の主な変更として、平成17年の「推薦 入試制度の変更」がある。平成16年までの前期募集では校長推薦がなくては出願できない 制度であったが、平成17年からは自己推薦により、希望する中学生は誰でも前期募集に出 願できるようになった。平成17年以降の中学生の高校選択における全体的な傾向について、

検討する。

2.4.1 高校選択の傾向

本項では、平成17年の「推薦入試制度の変更」以降の中学生の高校選択の傾向について、

入試実倍率の変化を中心に考察する。

図2—18は、埼玉県の公立全日制普通科高校の偏差値と平成17年から平成23年の平均入 試実倍率の相関を表した散布図である。対象は、高校の再編整備の関係から平成23年入学 者選抜を実施した公立全日制普通科高校107校で、偏差値は平成22年のものである。「平均 入試実倍率」は、前期募集出願者数を各高校の全募集人員(転編入枠人員を除く)で除した 入試実倍率の7年間の平均(統廃合対象校は合算平均)である。各高校の偏差値と「平均入 試実倍率」には正の相関があり、107校のうち41校の「平均入試実倍率」が1倍を切ってい

ることから、中学生の高校選択の全体的な傾向として、より偏差値の高い高校を志望する傾 向がある。

図218 埼玉県公立全日制普通科高校の偏差値と平均入試実倍率の相関          (平成17年から平成23年)

   出典: 「平均入試実倍率」は埼玉県教育委員会(2011d)より、「偏差値」はスクール212011p.6 より筆者作成。

図2—19は、平成17年から平成23年の旧通学区域ごとに平均入試実倍率を比較した図で

ある。「2.3.1 他通学区域への進学者状況」でも「学区撤廃」により1学区南部への入りが

多いことを述べたが、1学区南部にある高校の「入試平均実倍率」は高く、全体的な傾向と しても、1学区南部への志願者が多いことがわかる。

図219 旧通学区域における入試平均実倍率(平成17年から平成23年)の比較       出典:埼玉県教育委員会(2011d)より筆者作成。

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入試実倍率の 7 年間の平均(統廃合対象校は合算平均)である。各高校の偏差値と平均入 試実倍率には正の相関があり、107校のうち41校の入試平均実倍率が1倍を切っているこ とから、中学生の高校選択の全体的な傾向として、より偏差値の高い高校を志望する傾向 がある。

                    

図2-18  埼玉県公立全日制普通科高校の偏差値と平均入試実倍率(平成17年から平成23 年)の相関

出典:「平均入試実倍率」は埼玉県教育委員会(2011d)より、「偏差値」はスクール212011p.6 り筆者作成。

図2-19は、平成17年から平成23年の旧通学区域ごとに入試平均実倍率を比較した図

である。「2.3.1  他通学区域への進学者状況」でも「学区撤廃」により1学区南部への入り

が多いことを述べたが、1学区南部にある高校の入試平均実倍率は高く、全体的な傾向とし ても、1学区南部への志願者が多いことがわかる。

                    

図2-19  旧通学区域における入試平均実倍率(平成17年から平成23年)の比較

出典:埼玉県教育委員会(2011d)より筆者作成。

2.4.2  不合格者の状況

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入試実倍率の 7 年間の平均(統廃合対象校は合算平均)である。各高校の偏差値と平均入 試実倍率には正の相関があり、107校のうち41校の入試平均実倍率が1倍を切っているこ とから、中学生の高校選択の全体的な傾向として、より偏差値の高い高校を志望する傾向 がある。

                    

図2-18  埼玉県公立全日制普通科高校の偏差値と平均入試実倍率(平成17年から平成23 年)の相関

出典:「平均入試実倍率」は埼玉県教育委員会(2011d)より、「偏差値」はスクール21(2011)、p.6 り筆者作成。

図2-19は、平成17年から平成23年の旧通学区域ごとに入試平均実倍率を比較した図

である。「2.3.1  他通学区域への進学者状況」でも「学区撤廃」により1学区南部への入り

が多いことを述べたが、1学区南部にある高校の入試平均実倍率は高く、全体的な傾向とし ても、1学区南部への志願者が多いことがわかる。

                    

図2-19  旧通学区域における入試平均実倍率(平成17年から平成23年)の比較

出典:埼玉県教育委員会(2011d)より筆者作成。

2.4.2  不合格者の状況

2.4.2 不合格者の状況

前項で、高校選択の傾向として、偏差値の高い高校や特定の旧通学域へ志願者が集まって いることを明らかにした。本項では、高校入試の結果として生じる不合格者の状況から、高 校選択の傾向を考察する。埼玉県の入学者選抜制度では、前期募集と後期募集の2回の募集 があり、特に公立高校を志望する中学生にとっては2回目の機会となり、実質的に最後の機 会となる後期募集の不合格者の状況から検討する。

表2—4は、平成23年度入学者選抜の公立全日制普通科高校の前期募集と後期募集におけ る不合格者について、各ランクの校数が近くなるように偏差値を5ランクに分けてまとめた ものである。

表24 平成23年度入学者選抜における埼玉県公立全日制普通科高校の 偏差値ランクと前期募集・後期募集の不合格者数

出典:「不合格者数」は埼玉県教育委員会(2011a)および埼玉県教育委員会(2011e)より、「偏差値」は    スクール212011p.6より筆者作成。

図220 平成23年度入学者選抜の埼玉県公立全日制普通科高校ランクに おける前期募集・後期募集の不合格者率

    出典: 不合格者数は埼玉県教育委員会(2011a)および埼玉県教育委員会(2011e)より、偏差値はスクー 212011p.6より筆者作成。

前項で、高校選択の傾向として、偏差値の高い高校や特定の旧通学域へ志願者が集まっ ていることを明らかにした。本項では、高校入試の結果として生じる不合格者の状況から、

高校選択の傾向を考察する。埼玉県の入学者選抜制度では、前期募集と後期募集の 2 回の 募集があり、特に公立高校を志望する中学生にとっては 2 回目の機会となり、実質的に最 後の機会となる後期募集の不合格者の状況から検討する。

表2-4は、平成23年度入学者選抜の公立全日制普通科高校の前期募集と後期募集にお ける不合格者について、各ランクの校数が近くなるように偏差値を 5 ランクに分けてまと めたものである。

表2-4  平成23年度入学者選抜における埼玉県公立全日制普通科高校の偏差値ランクと 前期募集・後期募集の不合格者数

受検者数 入学許可 候補者数

上位 不合格者数

中上位 不合格者数

中位 不合格者数

中下位 不合格者数

下位 不合格者数

不合格者 総計

前期募集 32,782 21,402 5,082 2,363 2,381 992 925 11,380

後期募集 10,852 6,885 1,923 618 602 403 421 3,967

60以上 54~59 47~53 43~46 42以下

22 20 28 19 18

偏差値ランク

該当校数  

出典:「不合格者数」は埼玉県教育委員会(2011a)および埼玉県教育委員会(2011e)より、「偏差値」はスクール21

2011)、p.6より筆者作成。

                             

図2-20  平成23年度入学者選抜の埼玉県公立全日制普通科高校ランクにおける前期募 集・後期募集の不合格者率

出典:不合格者数は埼玉県教育委員会(2011a)および埼玉県教育委員会(2011e)より、偏差値はスク ール212011p.6より筆者作成。

 

図2-20は、表2-4から、それぞれの偏差値ランクごとの不合格者数が前期・後期募集- 32 - 図2-19 旧通学区域における入試平均実倍率(平成17年から平成23年)の比較

出典:埼玉県教育委員会(2011d)より筆者作成。

2.4.2 不合格者の状況

前項で、高校選択の傾向として、偏差値の高い高校や特定の旧通学域へ志願者が集まっ ていることを明らかにした。本項では、高校入試の結果として生じる不合格者の状況から、

高校選択の傾向を考察する。埼玉県の入学者選抜制度は、前期募集と後期募集の 2 回の募 集からなり、特に公立高校を志望する中学生にとっては 2 回目の機会であり実質的に最後 の機会となる後期募集の不合格者の状況から検討する。

表2-4は、平成23年度入学者選抜の公立全日制普通科高校の前期募集と後期募集にお ける不合格者について、各ランクの校数が近くなるように偏差値を 5 ランクに分けてまと めたものである。

表2-4 平成23年度入学者選抜における埼玉県公立全日制普通科高校の偏差値ランクと 前期募集・後期募集の不合格者数

出典:「不合格者数」は埼玉県教育委員会(2011a)および埼玉県教育委員会(2011e)より、「偏差値」はスクール21

2011)、p.6より筆者作成。

図2-20 平成23年度入学者選抜の埼玉県公立全日制普通科高校ランクにおける 前期募集・後期募集の不合格者率

出典:不合格者数は埼玉県教育委員会(2011a)および埼玉県教育委員会(2011e)より、偏差値はスク 受検者数 入学許可

候補者数

上位 不合格者数

中上位 不合格者数

中位 不合格者数

中下位 不合格者数

下位 不合格者数

不合格者 総計 前期募集 32,782 21,402 5,082 2,363 2,381 992 925 11,380

後期募集 10,852 6,885 1,923 618 602 403 421 3,967

60以上 54~59 47~53 43~46 42以下

22 20 28 19 18

偏差値ランク 該当校数

42.6%

20.2% 20.6%

8.6% 7.9%

48.5%

15.6% 15.2%

10.2% 10.6%

0.0%

10.0%

20.0%

30.0%

40.0%

50.0%

60.0%

上位 中上位 中位 中下位 下位

前期不合格者率 後期不合格者率

����: 中央揃え

����: インデント : 最初の行 : 7

����: 中央揃え

����: インデント : 左 4 字, 最 初の行 : 3 字

図2—20は、表2—4から、それぞれの偏差値ランクごとの不合格者数について、前期・

後期募集の不合格者数総計に占める割合を図にしたものである。前期・後期募集の不合格者 数の割合でみると、前期募集に対し後期募集で上位、中下位、下位ランクの高校の割合が増 加している。上位の割合が増加するのは、偏差値ランクの上位の高校を志願する中学生がそ の志願を後期募集でも維持する傾向の表れであり 58、中上位、中位が減少し、中下位、下位 が増加するのは、どうしても公立高校に進学したいという安全策の表れであろう。なお、後 期募集で不合格者となった3,967人は、公立全日制普通科高校を第1志望としながらも私立 高校に入学した人数と考えられる。

ここまで、偏差値ランク上位の高校への志願者が後期募集にも志願する結果、特定の高校 に多くの不合格者が出ていることを明らかにした。この不合格者の状況について、さらに考 察したい。

表2—5は、平成23年度入学者選抜の公立全日制普通科高校の後期募集において不合格者 数が多い上位20校についてまとめたものである。後期募集を実施した公立全日制普通科高 校は107校であり、平成23年度の後期募集で、100名を越える不合格者を出した公立全日 制普通科高校は11校である。11校は全て偏差値60以上、旧通学区域の1学区南部または2 学区中部にある高校である。11校の不合格者数の合計は1400人で、公立全日制普通科高校 における全入学許可候補者28,287人の5.5%、後期募集における107校の不合格者数3,967

人の35.3%である。このことから、後期募集において、特定の旧通学区域にある偏差値の高

い特定の高校に志願者が集まる傾向があり、特定の高校に不合格者が多いことが明らかに なった。

表25 平成23年入試後期募集における不合格者数の上位20校  旧通学

区域 高等学校 後期 不合格数

入試

偏差値 旧通学

区域 高等学校 後期 不合格数

入試 偏差値

1 1 A 156 上位 11 1 K 109 上位

2 1 B 153 上位 12 8 L 91 上位

3 2 C 135 上位 13 6 M 79 上位

4 1 D 130 上位 14 1 N 71 中下位

5 1 E 128 上位 15 8 O 69 下位

6 2 F 123 上位 16 1 P 68 上位

7 1 G 120 上位 17 1 Q 66 中位

8 1 H 118 上位 18 1 R 65 中上位

9 2 I 116 上位 19 1 S 64 中上位

10 2 J 112 上位 20 8 T 60 上位

出典:「不合格者数」は埼玉県教育委員会(2011a)および埼玉県教育委員会(2011e)より、

       「偏差値」はスクール212011p.6より筆者作成。

58 埼玉県教育委員会への聞き取り調査より、平成22年入学者選抜において、後期募集を実施した公立全日 制普通科高校113校のうち、20校程度が前期募集で志願した高校を後期でも志願した者が後期募集志願 者の80%を越え、そのうちの5校程度が90%を越えている。

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