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 高校選択の決定時期と学力判断」における表3—4の偏差値3段階と同様に設定した。

「違っていた」と感じた生徒は、上位群→中位群→下位群の順に多くなっている。「1.1  問題意識」の「図1—2 平成21年度 中途退学者の理由別割合」で、中途退学の最も多い 理由が「学校生活・学業不適応」(52.7%)であることからも、生徒にとって学校生活の規 制である「校則が自分にあう」については、「自分の学力にあう」とともに、学校説明会で 十分に説明するべき項目であると考えられる。

表314 「校則が自分にあっている」という印象と偏差値3段階のクロス表

    出典:「振り返り調査」より、「偏差値」はスクール212011)より筆者作成。

    注:χ2df4N2207)=153.310Cramers V.186P.01

以上から、学校説明会で十分に説明する必要のある項目は「校則が自分にあう」、「自分の 学力にあう」で、より正確な説明や印象を必要とする項目は、「学力を伸ばせる」、「やりた い部活動ができる」、「興味ある行事がある」、「個性を伸ばせる」、「伝統校風がよい」、「先輩 の感じがよい」、「先生の感じがよい」、「学校の評判がよい」であることが判明した。特に、「校 則が自分にあう」という印象が「違っていた」生徒が多く在籍する偏差値下位群の高校の学 校説明会では、「校則が自分にあう」について十分に説明をする必要がある。

なお、「自分の学力にあう」は、「3.4.1 高校選択の要素と役立った内容」で、学校説明会 での効果が低く、学校説明会での改善の必要のある項目であることを指摘したが、学校説明 会の印象相違度からも、同様の改善の必要性が明らかになった。

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供調査」の問(4)「実施場所」の回答「校内のみ」を1とし、回答「校外のみ」と「校内・

校外の両方」を0とするダミー変数とした。その他の説明変数は、それぞれ「情報提供調査」

の回答から作成したものである。調査回答校83校のうち、2校は高校の再編整備の関係か ら平成22年3月の卒業生がいないため、対象校は81校である。

表315 平成23年入試実倍率を従属変数とする重回帰分析

出典: 「平成23年入試実倍率」は埼玉県教育委員会(2010a)より、H22 学進学率」は埼玉県教育委員会(2010b」より、他は「情報提供調査」

より、筆者作成。

注:βは標準編回帰係数、γ:相関係数。***P0.01**P0.05*P0.10

説明変数については、まず学校説明会に関する事項として、「情報提供調査」の、問(3) から「実施回数(/年)」、問(2)から「実施期間」、問(6)から「実施時間(分)」、問(7) から「実施に要した人手(/年)」、問(8)から「実施経費(千円/年)」を採用した。分析 から、平成23年入試実倍率と「学校説明会の実施時間(分)」に有意な負の相関があり、平 成23年入試実倍率と「H22大学進学率」に有意な正の相関がある。

表316 説明変数の検討について

説明変数について、ここで補足をしておきたい。学校説明会に関する事項以外の説明変数 については、入試実倍率に影響がある「3.5.2 学校説明会と入学後の印象相違度」の「図3— 5 高校選択の大切な要素と学校説明会で役立った内容」で示した「大切な要素」の割合が

表3-16  説明変数の検討について   

      

          

次に、入試実倍率と「学校説明会の実施時間(分)」に負の相関があることについて、学 校説明会の印象の正しさから考察する。

表3-17は、「情報提供調査」の問(6)「学校説明会の実施時間」と「振り返り調査」の 問(18)「高校生活を過ごしてみて、現在通っている高校の学校説明会に参加したときの印 象は、現在、想像どおり正しかったと感じていますか」に対する回答の「1  とても正しか った」のクロス集計表である。特に印象の正しさに着目するため、回答の2から5 につい ては、「それ以外」として扱った。「とても正しかった」について着目すると、実施時間の

「短い」が17.1%、「中」が14.7%、「長い」が12.1%で、説明時間が「短い」方が「とて も正しかった」という印象が高くなる。このことから、学校説明会の実施時間の短さが、

生徒に学校説明会の説明内容をしっかりと印象付け、その正しさを高める効果があり、そ の結果として、先述した入試実倍率にも影響を及ぼしていると考えられる。

なお、学校説明会実施時間3段階については、「情報提供調査」の問(6)「学校説明会の 実施時間」への調査回答のあった83 校の平均(AV)および標準偏差(SD)から、次のよ うに設定した。

 

学校説明会実施時間3段階(83校)  AV…106.2  SD…14.565   ・長い…AV+1/2SD以上

  ・中  …AV-1/2SDからAV+1/2SD   ・短い…AV-1/2SD以下

 

表3-17  学校説明会の実施時間と学校説明会と現在の印象のクロス表   

     

  ※χ2df=2,N=2223)=5.231  Cramer’sV=.049  P<.1 出典:「振り返り調査」および「情報提供調査」より筆者作成。

「問(3)大切な要素」から 検討した説明変数 多重共線性 採用

・「自分の学力にあう」 在籍高校の偏差値 あり ×

・「通学に便利」 「問(15)最寄駅からの『道

のり』距離(Km)」

・「やりたい部活動ができる」 在籍高校の部活動加入率 あり ×

・「進学実績がよい」 在籍高校のH23大学進学率 あり

・「伝統校風がよい」 在籍高校の創立年数 あり ×

・「学校の評判がよい」 在籍高校のH23大学進学率 あり ×

・「学力を伸ばせる」 在籍高校のH23大学進学率 あり ×

    合計

とても正しかった それ以外

短い 17.1% 82.9% 1123

14.7% 85.3% 794

長い 12.1% 87.9% 306

合計 346 1877 2223

学校説明会 実施時間 3段階

学校説明会と現在の印象 ㄝ᫂ኚᩘ

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R2 Adj.R2 N

高い7項目から、検討した。表3—16はその検討結果をまとめたものである。「大切な要素」

の割合が高い項目のうちの6項目については、村瀬ほか(2007)に従い、VIFが2以上ある ことから多重共線性の疑いがあるため、「『問(3)大切な要素』から」の3つの項目と関係 のある「大学進学率」を採用した。また、「通学に便利」に関する説明変数として、「情報提 供調査」の問(15)「最寄駅からの『道のり』距離(Km)」を採用した。

次に、入試実倍率と「学校説明会の実施時間(分)」に負の相関があることについて、学 校説明会の印象の正しさから考察する。

表3—17は、「情報提供調査」の問(6)「学校説明会の実施時間」と「振り返り調査」の問(18)

「高校生活を過ごしてみて、現在通っている高校の学校説明会に参加したときの印象は、現在、

想像どおり正しかったと感じていますか」に対する回答の「1 とても正しかった」のクロ ス集計表である。特に印象の正しさに着目するため、回答の2から5については、「それ以外」

として扱った。「とても正しかった」について着目すると、実施時間の「短い」が17.1%、「中」

が14.7%、「長い」が12.1%で、説明時間が「短い」方が「とても正しかった」という印象 が高くなる。このことから、学校説明会の実施時間の短さが、生徒に学校説明会の説明内容 をしっかりと印象付け、その正しさを高める効果があり、その結果として、先述した入試実 倍率にも影響を及ぼしていると考えられる。

なお、学校説明会実施時間3段階については、「情報提供調査」の問(6)「学校説明会の 実施時間」への調査回答のあった83校の平均(AV)および標準偏差(SD)から、次のよう に設定した。

学校説明会実施時間3段階(83校) AV…106.2 SD…14.565

・長い…AV+1/2SD以上

・中 …AV-1/2SDからAV+1/2SD

・短い…AV-1/2SD以下

表317 学校説明会の実施時間と学校説明会の現在の印象の正しさのクロス表

     出典:「振り返り調査」および「情報提供調査」より筆者作成。

     注:χ2df2N2223)=5.231Cramers V.049P.10

次に、「図3—5 高校選択の大切な要素と学校説明会で役立った内容」で示した「大切な

要素」で、2番目に効果の高かった「通学に便利」に関する説明変数「最寄駅からの『道のり』

距離(Km)」と入試実倍率に相関がないことについて、入試実倍率と生徒の通学時間との関 - 51 -

表3-16  説明変数の検討について   

      

          

次に、入試実倍率と「学校説明会の実施時間(分)」に負の相関があることについて、学 校説明会の印象の正しさから考察する。

表3-17は、「情報提供調査」の問(6)「学校説明会の実施時間」と「振り返り調査」の 問(18)「高校生活を過ごしてみて、現在通っている高校の学校説明会に参加したときの印 象は、現在、想像どおり正しかったと感じていますか」に対する回答の「1  とても正しか った」のクロス集計表である。特に印象の正しさに着目するため、回答の 2から5につい ては、「それ以外」として扱った。「とても正しかった」について着目すると、実施時間の

「短い」が17.1%、「中」が14.7%、「長い」が12.1%で、説明時間が「短い」方が「とて も正しかった」という印象が高くなる。このことから、学校説明会の実施時間の短さが、

生徒に学校説明会の説明内容をしっかりと印象付け、その正しさを高める効果があり、そ の結果として、先述した入試実倍率にも影響を及ぼしていると考えられる。

なお、学校説明会実施時間3段階については、「情報提供調査」の問(6)「学校説明会の 実施時間」への調査回答のあった 83校の平均(AV)および標準偏差(SD)から、次のよ うに設定した。

 

学校説明会実施時間3段階(83校)  AV…106.2  SD…14.565   ・長い…AV+1/2SD以上

  ・中  …AV-1/2SDからAV+1/2SD   ・短い…AV-1/2SD以下

 

表3-17  学校説明会の実施時間と学校説明会と現在の印象のクロス表   

     

  ※χ2df2,N2223)=5.231  Cramer’sV.049  P.1 出典:「振り返り調査」および「情報提供調査」より筆者作成。

「問(3)大切な要素」から 検討した説明変数 多重共線性 採用

・「自分の学力にあう」 在籍高校の偏差値 あり ×

・「通学に便利」 「問(15)最寄駅からの『道

のり』距離(Km)」

・「やりたい部活動ができる」 在籍高校の部活動加入率 あり ×

・「進学実績がよい」 在籍高校のH23大学進学率 あり

・「伝統校風がよい」 在籍高校の創立年数 あり ×

・「学校の評判がよい」 在籍高校のH23大学進学率 あり ×

・「学力を伸ばせる」 在籍高校のH23大学進学率 あり ×

    合計

とても正しかった それ以外

短い 17.1% 82.9% 1123

14.7% 85.3% 794

長い 12.1% 87.9% 306

合計 346 1877 2223

学校説明会 実施時間 3段階

学校説明会と現在の印象

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