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「3.2 情報源と情報提供の目的」で示した、入学後の高校生活が充実したものになること に照らし、この節では、どのような中学生が学校説明会に参加しているのかという視点から、

中学生の高校選択の悩みについて分析する。

表3—8は、「振り返り調査」の問(2)「志望高校を選ぶときに、どのようなことに悩みま したか」の回答(3つまで)のうち「6 特に悩みはなかった」と「7 その他」を除き、残 り5項目について主成分分析をした 66結果である。分析にあたっては、村瀬(2007)に示さ

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「学校説明会を情報源とした」生徒は「しない」生徒に比べ、中学 3 年生の時期だけで みると「志望高校を最終的に決定した時期」が早い。また、学校説明会の多くが中学 3 年 生を対象に実施していることから、学校説明会を情報源として志望校を決定しようとする 生徒は、学校説明会に参加してから決定し、その結果「中学3年生の9月から12月」の決 定が多くなると考えられる。したがって、学校説明会を例えば中学 2 年生を対象に実施す ることで、学校説明会を情報源とする生徒の「決定した時期」が早くなる可能性が考えら れる。 

表3-7は、「情報提供調査」の問(2)から、県立全日制普通科高校83校の学校説明会 の開始時期と最終時期を表したものである。開始時期と最終時期の全体的な傾向として、7 月、8月に開始し、12月、1月に終了する高校が多い。また、表3-5と表3-6と合わせ て考察すると、どの時期の学校説明会についても、「志望高校を考え始めた時期」の生徒と

「志望高校を決定した時期」の生徒が混在することになるが、中学 3 年生の「4 月から 8 月」については「考え始めた」生徒が多く、「9月から12月」および「1月以降」について は「決定した」生徒が多い。

表3-7  学校説明会の開始時期と終了時期のクロス表

出典:「振り返り調査」より筆者作成。

以上から、学校説明会は中学生の高校選択の情報源として高いニーズがあること、学校 説明会が高校選択の決定時期を早めること、中学 2 年生を対象に学校説明会を実施するこ とで志望校決定の時期が早くなる可能性のあること、また、どの時期の学校説明会にも考 え始めた時期の生徒と決定した時期の生徒が混在していることが明らかになった。

3.4  高校選択の悩み

  「3.2  情報源と情報提供の目的」で示した、入学後の高校生活が充実したものになるこ とに照らし、この節では、どのような中学生が学校説明会に参加しているのかという視点 から、中学生の高校選択の悩みについて分析する。

表 3-8 は、「振り返り調査」の問(2)「志望高校を選ぶときに、どのようなことに悩み ましたか」の回答(3つまで)のうち「6  特に悩みはなかった」と「7  その他」を除き、

残り 5 項目について主成分分析をした66結果である。分析にあたっては、村瀬(2007)に

66 村瀬ほか(2007)に従い、主成分分析を実施した。

    合計

10月 11月 12月 1月 2月 3月

4月 1 1

5月 1 1 2

6月 4 3 4 11

7月 4 13 7 1 1 26

8月 1 5 14 12 1 33

9月 1 2 1 4

10月 4 1 5

11月 1 1

合計 2 14 37 26 3 1 83

学校説明会の最終時期

学校説明会 の開始時期

66 村瀬ほか(2007)に従い、主成分分析を実施した。

れたガットマン・カイザー基準に従い固有値1以上の主成分まで採用した結果、2つの主成 分となった。

表38 高校選択の悩みについての主成分分析

      注:因子抽出法は主成分分析(相関行列)、回転なし。N29893つまで選択。

        値は主成分負荷量。絶対値0.5以上のものを太字にした。

それぞれの主成分の総合的特性を考察すると、第1主成分は「どの高校が自分の適性や個 性にあうかわからない」、「進学した高校でやっていけるかわからない」、「それぞれの高校の 教育内容の違いがわからない」と正の相関があることから、「高校進学後の心配」と名付け、

第2主成分は「進学したい高校がみつからない」と正の相関、「それぞれの高校の合格レベ ルがわからない」と負の相関があることから「高校選択できない悩み」と名付けた。

次に、この第1主成分「高校進学後の心配」と第2主成分「高校選択できない悩み」から、

生徒の分類を試みた。表3—9は、第1主成分と第2主成分からクラスタ分析 67により4つ のクラスタに分類したケース数である。

表39 高校選択の悩みについてクラスタのケース数

図3—4は、クラスタ分析により分類した高校選択の悩みについての4クラスタ分類によ る散布図である。第1主成分「高校進学後の心配」をX軸に、第2主成分「高校選択でき ない悩み」をY軸にした。調査回答のあった2,989人の生徒は、X軸の第1主成分「高校進 学後の心配」とY軸の第2主成分「高校選択できない悩み」から、クラスタ1は「『高校選 択できない悩み』と『高校進学後の心配』がともに少ない」、クラスタ2は「『高校進学後の 心配』より『高校選択できない悩み』が多い」、クラスタ3は「『高校選択できない悩み』と『高 校進学後の心配』がともに多い」、クラスタ4は「『高校選択できない悩み』より『高校進学 後の心配』が多い」の4グループに分類された。

67 加藤ほか(2007)に従い、クラスタ分析を実施した。

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示されたガットマン・カイザー基準に従い固有値1以上の主成分まで採用した結果、2つの 主成分となった。

表3-8  高校選択の悩みについての主成分分析    

     

    

   

  因子抽出法:主成分分析(相関行列)、回転なし、N29893つまで選択。

注:値は主成分負荷量。絶対値0.5以上のものを太字にした。

 

それぞれの主成分の総合的特性を考察すると、第 1 主成分は「どの高校が自分の適性や 個性にあうかわからない」、「進学した高校でやっていけるかわからない」、「それぞれの高 校の教育内容の違いがわからない」と正の相関があることから、「高校進学後の心配」と名 付け、第2主成分は「進学したい高校がみつからない」と正の相関、「それぞれの高校の合 格レベルがわからない」と負の相関があることから「高校選択できない悩み」と名付けた。

次に、この第1主成分「高校進学後の心配」と第 2主成分「高校選択できない悩み」か ら、生徒の分類を試みた。表3-9は、第1主成分と第2主成分からクラスタ分析67により 4つのクラスタに分類したケース数である。

表3-9  高校選択の悩みについてクラスタのケース数

図3-4は、クラスタ分析により分類した高校選択の悩みについての4クラスタ分類によ る散布図である。第 1主成分「高校進学後の心配」をX軸に、第2 主成分「高校選択でき ない悩み」をY軸にした。調査回答のあった2989人の生徒は、X軸の第1主成分「高校進 学後の心配」とY軸の第2主成分「高校選択できない悩み」から、クラスタ1は「『高校選 択できない悩み』と『高校進学後の心配』がともに少ない」、クラスタ 2 は「『高校進学後 の心配』より『高校選択できない悩み』が多い」、クラスタ3は「『高校選択できない悩み』

と『高校進学後の心配』がともに多い」、クラスタ4は「『高校選択できない悩み』より『高 校進学後の心配』が多い」の4グループに分類された。

67 加藤ほか(2007)に従い、クラスタ分析を実施した。

変数 第1主成分 第2主成分

どの高校が自分の適性や個性にあうかわからない 0.732 0.181 進学した高校でやっていけるかわからない 0.597 0.028 それぞれの高校の教育内容の違いがわからない 0.538 0.171 進学したい高校がみつからない ‑0.141 0.727 それぞれの高校の合格レベルがわからない 0.198 ‑0.7

固有値 1.242 1.081

寄与率 24.839 21.623

累積寄与率 24.839 46.462

クラスタ1 クラスタ2 クラスタ3 クラスタ4 合計

1444 331 137 1077 2989

各ケースのクラスタ数

示されたガットマン・カイザー基準に従い固有値1以上の主成分まで採用した結果、2つの 主成分となった。

表3-8  高校選択の悩みについての主成分分析    

     

    

   

  因子抽出法:主成分分析(相関行列)、回転なし、N29893つまで選択。

注:値は主成分負荷量。絶対値0.5以上のものを太字にした。

 

それぞれの主成分の総合的特性を考察すると、第 1 主成分は「どの高校が自分の適性や 個性にあうかわからない」、「進学した高校でやっていけるかわからない」、「それぞれの高 校の教育内容の違いがわからない」と正の相関があることから、「高校進学後の心配」と名 付け、第2主成分は「進学したい高校がみつからない」と正の相関、「それぞれの高校の合 格レベルがわからない」と負の相関があることから「高校選択できない悩み」と名付けた。

次に、この第1主成分「高校進学後の心配」と第 2主成分「高校選択できない悩み」か ら、生徒の分類を試みた。表3-9は、第1主成分と第2主成分からクラスタ分析67により 4つのクラスタに分類したケース数である。

表3-9  高校選択の悩みについてクラスタのケース数

図3-4は、クラスタ分析により分類した高校選択の悩みについての4クラスタ分類によ る散布図である。第1主成分「高校進学後の心配」をX軸に、第 2主成分「高校選択でき ない悩み」をY軸にした。調査回答のあった2989人の生徒は、X軸の第1主成分「高校進 学後の心配」とY軸の第2主成分「高校選択できない悩み」から、クラスタ1は「『高校選 択できない悩み』と『高校進学後の心配』がともに少ない」、クラスタ 2 は「『高校進学後 の心配』より『高校選択できない悩み』が多い」、クラスタ3は「『高校選択できない悩み』

と『高校進学後の心配』がともに多い」、クラスタ4は「『高校選択できない悩み』より『高 校進学後の心配』が多い」の4グループに分類された。

67 加藤ほか(2007)に従い、クラスタ分析を実施した。

変数 第1主成分 第2主成分

どの高校が自分の適性や個性にあうかわからない 0.732 0.181 進学した高校でやっていけるかわからない 0.597 0.028 それぞれの高校の教育内容の違いがわからない 0.538 0.171 進学したい高校がみつからない ‑0.141 0.727 それぞれの高校の合格レベルがわからない 0.198 ‑0.7

固有値 1.242 1.081

寄与率 24.839 21.623

累積寄与率 24.839 46.462

クラスタ1 クラスタ2 クラスタ3 クラスタ4 合計

1444 331 137 1077 2989

各ケースのクラスタ数

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