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B.2 駆動用電源
B.1.4 冷却効率
パルス電流が磁石を流れると磁石の抵抗成分によりジュール熱が発生する。過度に早く磁石を 駆動してしまうと発生したジュール熱がコイルの温度を上昇させさらに多くのジュール熱が発生 し、繰り返し運転時のコイルの平衡温度が上昇してしまう。後述するように駆動用電源は磁石で 消費しなかったエネルギーを再充電するので、磁石で発生するジュール熱の大きさは磁場発生の 前後でコンデンサに蓄えられているエネルギーの差を測定することで測定できる。C=1.5 [ms]、 V = 4.0 [kV]、繰り返し0.12 [Hz]で駆動した際の測定結果を図に示す。
Time [s]
0 10 20 30 40 50 60
Heat loss [kJ]
8.4 8.6 8.8 9 9.2 9.4 9.6 9.8
/ ndf
!2 6.275e-05 / 1 p0 9.549 ! 0.00876 p1 -29.55 ! 0.7305 p2 13.99 ! 0.3636
/ ndf
!2 6.275e-05 / 1 p0 9.549 ! 0.00876 p1 -29.55 ! 0.7305 p2 13.99 ! 0.3636 0.002348 / 2
0.02585 2.125 1.133 0.002348 / 2 0.02585 2.125 1.133
図B.5: コイルで発生するジュール熱の実測値。コンデンサバンクを駆動して14秒ほどで熱平衡 に至っていることがわかる。
B.1.5 漏れ磁場
漏れ磁場の大きさは本実験においてはミラーのCotton-Mouton効果を議論するためにも重要で ある。ダイポール輻射型の磁場分布であるため距離の3乗に比例して減衰する。図B.6に漏れ磁 場の大きさのANSYSによるシミュレーションと実測の結果を示す。予想通り距離の3乗に比例 して減衰していることが確認できる。
114 付録Bパルス磁石
Position (mm)
102 103
B/ I (T /kA)
5
10− 4
10− 3
10− 2
10− 1
10−
x y z
図B.6: 漏れ磁場のシミュレーションおよび測定結果。磁石の中心から3軸方向に離れたときの漏 れ磁場の絶対値を測定した。点:実測値。線:ANSYSシミュレーションによる計算結果。
B.2.1 概要
駆動用電源は、幅1 [m]、奥行き1.5 [m]、高さ2 [m]の制御ユニットと幅2 [m]、奥行き2 [m]、
高さ1 [m]のコンデンサバンクからなる。図B.8に駆動電源の写真とコンデンサバンクの写真を
示す。制御ユニットにて充電電圧の制御、充電、放電の切り替えを行い、コンデンサバンクに電 荷が蓄えられる。充電電圧4.5 [kV]、30 [kJ]までコンデンサバンクに受電することが可能である。
また充電用電源全体が可搬システムとなっている。
B.2.2 駆動シーケンス
駆動用電源は放電部にサイリスタを並列接続することで、高速で符号の異なる磁場を印加でき るようになっている。以下で駆動シーケンスについて簡潔に述べる。
磁石の駆動は以下のような流れで行われる。
1. 充電が開始され制御ユニットからコンデンサバンクの初期充電値V0 [V]まで充電する。
2. 順方向のサイリスタのみ導通させることでパルス磁場が印加される。この時、充電された エネルギーの一部はコイルの抵抗成分によりジュール熱として消費される。消費されなかっ たエネルギーは再びコンデンサバンクに逆充電される。この逆充電電圧の大きさを−V1 [V]
とする。
3. 逆方向のサイリスタのみ導通させることで充電電圧−V1 [V]の初期条件で電流が流れパル ス磁場が印加される。このとき充電電圧の符号が異なるため発生する磁場の符号が逆向きと なる。
2 m 制御ユニット
/
コンデンサバンク C=0.25mF 12
図B.7: パルス磁石駆動用電源の写真。昇圧や充 放電を切り替える制御ユニットと、電荷を蓄える コンデンサバンクからなる。
コンデンサバンク
1m
図 B.8: コンデンサバンクの内部の写真。
C=0.25 [mF]のコンデンサが3つ写っており、こ れが合計12個、3.0 [mF]の静電容量を持つ。
4. 逆電圧放電時にジュール熱として消費されなかったエネルギーは再びコンデンサに充電され る。このときの充電電圧をV2 [V]とする。こののち1.に戻る。ここで、充電開始時にすで にV2 [V]の電荷がコンデンサに蓄えられているため0 [V]から充電するのに比べて初期充電 値V0 [V]に至るまでの時間を短縮することが可能である。
付 録 C Fabry-P´ erot 共振器の基礎
ここではFabry-P´erot共振器の基本的性質並びに共振維持に用いられるPDH法について述べる。