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A.1 データ取得

A.1.1 測定期間

窒素ガスの測定は、磁場領域ならびに真空チャンバーを100,200,400 [Pa]の合計3つの異なる 窒素ガス圧で満たし、それぞれの圧力下で30サイクルずつ磁石を駆動してデータを測定した。各 測定における窒素ガスの圧力は窒素ガス導入部に設置したキャパシタゲージと磁石前後のチャン バーに設置された更正済みのピラニーゲージを用いて測定された。

A.1.2 取得したデータの構成

取得したDAQデータ

実験で得られたDAQデータはADCで取得したもので、カレントトランスを用いて得られ た磁場波形、2種類のPDの出力電圧である。

DAQデータの構成

ADCにおけるDAQデータはデータ取得サイクルに従って3パターン取得してある。今後 の議論ではその3パターンを以下のように分類する。

第1データ

正充電で磁場を印加した際のデータを示す。具体的には磁場印加の20ms前から600ms 後までの磁場波形、光検出器の出力電圧を含む。

第2データ

逆充電で磁場を印加した際のデータを示す。具体的には磁場印加の20ms前から600ms 後までの磁場波形、光検出器の出力電圧を含む。

第3データ

コンデンサバンクの充電中に記録されたデータを示す。具体的には第2データ取得2

秒後から600ms後までの磁場波形、光検出器の出力電圧を含む。どのパターンもサン

プリングレートは100[kHz]でデータが記録されている。

A.1.3 各種パラメータ

データ取得時のセットアップ条件についてまとめる。

セットアップ条件

窒素ガス測定時のコンデンサバンクの運転の設定と光学系のパラメーターを表4.2にまとめる。

窒素ガスの測定を常温で行う必要があったため磁石は冷却されていない。本実験で使用する磁石 は非冷却時には500 [V]、2 [T]までしか駆動できないが、窒素ガスの測定で必要な磁場は1 [T]程 度なので問題は無い。

表A.1: 窒素ガスを用いたデータ取得におけるコンデンサバンクの設定。

パラメータ 値 充電電圧 +400 [V]

逆充電電圧 −200 [V]

繰り返し 0.17 [Hz]

表 A.2: 窒素ガスのデータ取得におけるセットアップ条件。典型的な値をまとめる。実際にはそ れぞれの値に系統的な誤差がつく。

パラメータ 値

フィネス 350,000

It用光検出器のゲイン 3.5 ×103 [V/W]

Ie用光検出器のゲイン 5.0 ×107 [V/W]

Γ22 5.7×105

なおIe用光検出器のゲインについてはNDフィルターを用いて1桁減光してある。真空複屈折 の場合と異なり、ガス圧に応じて大きなシグナルが現れうるので光検出器出力が飽和しないよう したためである。

98 付録A 窒素ガスのファラデー回転の測定

A.1.4 データ波形

解析を行う前に窒素ガスの測定において得られたデータの典型的な波形とその特徴を示す。以 下では窒素ガス圧200 [Pa]のデータを用いる。

まず図A.1に第1データにおけるIt用光検出器の出力とIe用光検出器の出力電圧を示す。時刻 0 [ms]で磁場がパルス幅1 [ms]の磁場が印加される。上からVeとVtを示している。真空の測定 と比較してわかるようにVeに磁場に同期した出力の変化が生じており、これがガスのファラデー 回転もしくは複屈折の効果だと考えられる。

図A.1: 400 [V]充電で磁場を印加した際の光検出器の読み出し電圧の変化。時刻0 [ms]でパルス

幅1 [ms]の磁場が印加される。上段がIe用光検出器の出力、下段がIe用光検出器の出力である。

時刻0 [ms]付近でVeにのみ変動が見られることに注目されたい

磁場印加直後の時間帯の拡大図を図A.2に示す。

同様に図A.3に第2データにおけるVtとVeを示し、図A.4にその拡大図を示す。同様に時刻

0 [ms]で磁場が印加される。第1データと比べるとVeの変動が小さく、変動の向きが逆であるこ

とに注目されたい。磁場の符号によって変動の符号が逆であるためファラデー効果が支配的であ ることが期待できる。

また磁場波形にかけるローパスフィルターの時定数を決定するためキャビティリングダウン法 でフィネスを決定した。そのfitの様子を図A.5に示す。fit結果から得られたフィネス350,000を 代表値として用いる。

図A.2: 図A.1の磁場印加時間付近の拡大図。上段がIe用光検出器の出力、下段がIe用光検出器 の出力である。縦軸は出力電圧の平均値の±20%の範囲を含んでいる。

図A.3: -100 [V]充電で磁場を印加した際の光検出器の読み出し電圧の変化。時刻0 [ms]でパルス

幅1 [ms]の磁場が印加される。上段がIe用光検出器の出力、下段がIe用光検出器の出力である。