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2. エネルギー供給

2.1.3. 需要量

(1) 総需要量

<熱供給の場合>

 事業実施地域で熱需要のある主体の熱需要量を把握し、熱需要のポテンシャルを検討する

<電⼒供給の場合>

 系統連系の場合は事業実施地域の連系可能な送電線とその容量、自家消費や特定の需要 先に供給する場合は年間の電力需要量を把握する

 熱需要は地域や産業によって量、温度、圧力に違い有

「都道府県別エネルギー消費統計4」では、各都道府県の企業・事業所他部門(製造業、

非製造業)、家庭部門(運輸部門のうち家庭乗用車を含む)のエネルギー消費量が示され ている(図 Ⅱ.2-2)。ここには、石油やガスなどのエネルギー資源別、あるいは電気およ び熱のエネルギー利用形態別の情報も掲載されており、事業実施地域の概況を知るうえで 参考となる。ただし、これらの情報では個別の供給先候補に関する情報を把握することは できない。また、特に熱需要については、蒸気か温水か、蒸気の温度や圧力がいくらであ るか、などの情報が事業計画のうえでは本来欠かせない。

 事業主体別の情報については、統計情報ではなく自ら調査し把握する

図 Ⅱ.2-2 事業所あたりの平均熱需要量⽬安(2001 年)

注)バイオマスボイラー導入に適さない産業(石油製品・石炭製品製造業、鉄鋼業、パルプ・紙・紙加工品製造業、化学工業)を除い た。

(出所)「石油等消費構造統計調査」資源エネルギー庁(2001年)

4 資源エネルギー庁 都道府県別エネルギー消費統計調査(http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/energy_consumption/ec002/results.html#headline2

500  1,000  1,500  2,000  2,500  3,000  3,500  4,000 

20  40  60  80  100  120  140  160 

食料品製造業

・ た

・ 飼

繊維(衣繊維 衣服・維製品製造業 木材・製品製造業(家具を 家具・備品製造業 出版・刷・連産 ( 別 なめ・同・毛 窯業・石製品製造業 非鉄 金属製 一般機器具製造業(武器製業を含む 電気機械器製造 輸送用機械器造業 精密器具製造業 事業所数

事業所GJ/ 250 以上

200℃ 250℃未満 150℃ 200℃未満 150℃ 未満 事業所数

42 2.1 エネルギー

 供給先候補が既設か新設かで把握の仕方が異なる

エネルギー供給先の候補が絞られている場合には、その施設におけるエネルギー需要の 内容を把握する。把握の方法は、供給先施設が新設か既存施設の更新かによって異なる。

 新設の場合、設計士から熱負荷計算データを取得

 既存施設の更新の場合、石油やガス、電気の利用実績のデータを用いるか、ある いは熱量を実測することによって、熱の用途別内訳や熱ロス等を推測

《こんなときどうする!?》

事業性を考えると熱電併給にしたいが、適切な供給先が見あたらない

検討結果と想定事業規模とを考慮したうえで、必要に応じて自ら新たな熱需要を創出した り、新たな熱需要を創出するよう地域の関係者に働きかける

2.1 エネルギー 43

(2) 需要の変動

<熱供給の場合>

 熱供給先候補の需要量の季節変動を把握し、供給先が概ね定まった段階で、曜日別や時間 別などのより詳細な需要量の変動を把握する

<電⼒供給の場合>

 系統連系の場合、需要量変動の把握は不要であるが、自家消費や特定の需要先に供給する 場合は、月別や曜日別、時間別の需要量の変動を把握する

 工場のプロセス需要は季節変動小、暖房需要は季節変動大

工場のように生産量に応じて熱や電気の需要が変わる場合には、景気変動や業界動向に よる需要変動はあるものの、外気温の変化によって起こる季節変動は小さい。一方、公共 施設や一般家庭、温室のように暖房需要が大半である場合には、図 Ⅱ.2-3のように、季節 によって需要量が大きく変動する。

 変動の小さい供給先を選定する、あるいは変動パターンの異なる複数の供給先を 組み合わせて需要の平準化をはかる

図 Ⅱ.2-3 FS 事業におけるハウス 3 棟の⽉別必要熱量

注)暖房期間:11月~4月、暖房時間:17時~翌9時(16時間/日)

(出所)「平成27年度成果報告書 バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業/地域自立システム化実証事 飲料製造工場及び周辺施設へのバイオマス地域熱供給事業の事業性評価(FS)」(NEDO)2016

 日内変動幅は24時間稼働かどうかで大きく変化

1 日の中の需要変動は、工場の稼動時間や家庭の生活パターンによって大きく異なる。

夜間稼動しない工場や一般家庭などでは、夜中から朝方にかけての需要が大幅に減少す る。

 変動の小さい供給先を選定する、あるいは変動パターンの異なる複数の供給先を 組み合わせて需要の平準化をはかる

44 2.1 エネルギー

 熱供給の場合は設備稼働率が高いほど事業性高

木質バイオマスボイラーは立ち上げや停止に時間がかかり、急速な出力調整が難しい。

したがって、基本的に毎朝起動し毎晩停止するような運転方式には適さず、出力変動が小 さく稼働時間が長い運転方式に適している。

 需要のピークをカバーする設備ではなくベース(あるいはミドル)需要に合わせ た設備を設置することで、設備費の低減と設備利用率の向上を目指す

 (温水ボイラーの場合)貯湯槽を設けて蓄熱することで設備規模を小さくし、設 備利用率の向上を目指す

図 Ⅱ.2-4 設備利⽤率と事業性の関係例

 電力供給の場合は定格出力での運転が基本

発電設備も頻繁な起動停止には適さず、定格出力にできるだけ近い運転を継続すること で、高い変換効率が保たれ、設備の劣化も防げる。

 系統への全量売電ではなく自家消費や特定の需要先への供給を行う場合も、基本 的には定格出力近くで発電し、余剰分を系統に販売する

《こんなときどうする!?》

ベース需要に合わせたバイオマスボイラーを設置すると、ピーク時にどうするか

化石燃料系のボイラー等で対応する

需要変動を考慮するとボイラーを2台設置することになりそうだ

複数台設置は初期投資額が大きくなるため、事業成立のためには、バイオマスへの燃料 転換比率は下がるものの、1台設置の方が有利な可能性が高い

税後PIRR

%

%

%

%

%

%

%

%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

設備利用率(稼働時間/8,760h×年間平均出力)

0% 20% 40%

60% 80%

<補助率>

税後PIRR

0% 20% 40% 60% 80% 100%

設備利用率(稼働時間/8,760h×年間平均出力)

3t/hの小規模工場 15t/hの中規模工場

2.1 エネルギー 45

【事例】アキュムレーターの導⼊による設備利⽤率の向上

飲料メーカーである株式会社S(サーフビバレッジ)は、チップボイラーの熱を飲料製造工場および 農業施設に対して供給するシステムを検討した。システムの構築にあたっては、農業施設の蒸気負荷変 動による設備利用率の低下が課題となっていたが、スチームアキュムレーターの導入により設備利用率 の向上に成功した。

ただし、アキュムレーターは高圧蒸気を扱う設備であるため、導入の実現可能性が高いのは主として 高圧蒸気の取扱いの実績がある施設と考えられる。

図 Ⅱ.2-5 FS 事業実施事業者のモデル負荷パターンにおける蒸気需要量とアキュムレーター残量の試算例

(出所)「平成27年度成果報告書 バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業/地域自立システム化実証事業 飲料製造工場及び 周辺施設へのバイオマス地域熱供給事業の事業性評価(FS)(NEDO)2016

46 2.1 エネルギー

2.1.4. 性状

<熱供給の場合>

 供給先が必要とする熱の形態と性状を把握する

<電⼒供給の場合>

 供給先の設備で要求される電力の品質と系統連系にあたっての条件を把握する

 温度と圧力が最も重要な特性

熱需要に関して把握するべき重要な特性は温度と圧力である。供給先の施設によって必 要な蒸気の温度と圧力は異なる。また、それ以外にも、設備の基本設計に先立って把握し ておくべき熱の性状がある(表 Ⅱ.2-5)。なお、蒸気供給の場合は、把握すべき項目が温 水供給の場合よりも多い。

 供給先が必要とする熱の性状について、現地調査やヒアリングを通じて正確な情 報を収集する(収集例:図 Ⅱ.2-6)

☞Ⅱ章2.8 ボイラー設備

2.9. ボイラー燃

焼設備

図 Ⅱ.2-6 FS 事業実施事業者の温⽔利⽤例

(出所)「平成27年度~平成28年度成果報告書 バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業/地域自立シ ステム化実証事業 竹の新素材加工工場に併設したバイオマスの熱・電併給カスケード利用による地域再生自立 システム”ゆめ竹バレー”の事業性評価(FS)」(NEDO)2016

2.1 エネルギー 47 表 Ⅱ.2-5 熱供給形態別の把握すべき熱の性状

供給形態 主要供給先 把握すべき性状

温水

(・冷水)

温室 温浴施設 病院・老健施設 一般家庭

入口温度・出口温度(℃)

入口圧力・出口圧力(MPa)

必要熱量(MJ/年、MJ/月)

熱流量(MJ/h) 熱需要変動 蒸気 製造業(食品、木材関連、

製紙、など)

クリーニング業

入口温度・出口温度(℃)

入口圧力・出口圧力(MPa)

必要熱量(MJ/年、MJ/月)

熱流量(MJ/h) 熱需要変動 不純物量 乾き度

不凝縮ガス(空気等)の混入量

※熱流量は時間当たりの熱需要量よりもある程度余裕を持たせることが望ましい。

 蒸気利用は150~200℃が主流

蒸気利用は主に製造業で行われる。現在、各産業で設置されているボイラーは150~200℃

の温度帯のものが最も多い(図 Ⅱ.2-7)。発電事業を行う場合に発生する余剰熱の温度帯 は発電規模に応じて100~300℃まで様々であるが、条件がうまく合致すれば排熱の供給も 可能である。

図 Ⅱ.2-7 各産業における温度帯別のボイラー設置数(2001 年)

注)バイオマスボイラー導入に適さない重工業(石油製品・石炭製品製造業、鉄鋼業)を除いた。

(出所)「石油等消費構造統計調査」資源エネルギー庁(2001年)

500  1,000  1,500  2,000  2,500  3,000  3,500  4,000 

1,000  2,000  3,000  4,000  5,000  6,000  7,000  8,000 

食料品製造業 飲料・・飼造業 繊維工業(衣服、維製品を除く 衣服・維製品製 木材・木製品製造(家具除く 家具・装 ・ 紙・ 紙 出版・印刷・同関連産 化学工業 プラ

( 別

掲をく) なめ・同・毛 窯業・土石製品製造業 鉄鋼 非鉄金属製 一般機械業(武器製造業を 電気 輸送用機具製造業 精密機械器具製造 その

事業所数 ボイラ設置数

250℃ 以上 200℃ 250℃未満

150℃ 200℃未満 150℃ 未満

事業所数

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