1.3.1. 乾燥・貯蔵⽅法
調達予定の木材資源の水分(率)を導入予定の変換設備で対応可能な範囲に納めるべく対策を 講じる
事業者自身が木材資源の乾燥をする場合は、調達予定の木材資源の形態や品質、確保できる 敷地面積、乾燥にかけられる時間、乾燥にかけられる初期投資額に応じて乾燥(および貯蔵)方 法を検討する
乾燥工程の有無とは別に、調達先からの木材資源の納入が滞った場合等に備えて、貯蔵方法を 検討する
各設備に適した水分範囲あり
ボイラーの設計時には、仕様で水分(率)の幅を指定するため、それが設備運用の際に最 も適した水分(率)の範囲となる。
ボイラーの設計どおりのエネルギー効率を達成するためには、指定した範囲に収ま る水分(率)の木材資源を投入する
☞Ⅲ章2.9 ボイラー燃焼 設備
日本の木材資源の水分率は50%を超えがち
チップや丸太を調達する場合、欧州と異なり、水分(率)が50%を越えることも少なくな い。丸太およびチップは段階に応じて水分(率)の目安が異なる(表 Ⅱ.1-11)。
調達契約において水分(率)の範囲を指定する
ボイラー設計時に仕様で水分(率)を高めに設定する
ボイラー投入前に木材資源を乾燥させ、ボイラーに投入可能な水分(率)まで下げ る
水分(率)の異なる木材資源を混合して、適切な水分(率)となるよう調整する
表 Ⅱ.1-11 段階別⽊材とチップの⽔分(率)の概略値 段階 水分(率)目安
集材直後(山土場) 50~60%
木材・チップ販売段階 40%
チップ利用段階 30%
(出所)光珠内季報No.167(2013)
(注)天候や流通等様々な条件で水分(率)は変動する。
乾燥方法は天日乾燥と人工乾燥の2種類
乾燥方法は天日乾燥と人工乾燥に大別され、乾燥対象は丸太とチップに分けられる。それ ぞれの方法にメリットとデメリットがある(表 Ⅱ.1-12)。なお、状況によっては、天日乾燥 と人工乾燥を組み合わせたり、丸太とチップの状態での乾燥を組み合わせたりするのが有効 な場合もある。
各方法のメリットとデメリットを理解したうえで、敷地面積や配置、調達予定の木 材資源に応じて乾燥方法を選択する(乾燥方法検討例:表 Ⅱ.1-13)
1.3 乾燥・貯蔵 27 表 Ⅱ.1-12 乾燥⽅法や乾燥対象別のメリットとデメリット
乾燥方法 乾燥対象 メリット デメリット
天日乾燥 丸太 太陽エネルギーを利用するため エネルギー効率が良い
樹皮が自然にはがれる
初期投資低(屋外あるいは簡易 な屋根のみ)
貯木場が必要 乾燥に時間を要する
チップ 太陽エネルギーを利用するため エネルギー効率が良い
初期投資低(チップヤードのみ)
積み上げると発火の危険がある 積み上げると乾燥しないが、平 積みでは丸太での乾燥以上に 場所を必要とする
乾燥に時間を要する 人工乾燥 丸太 天日乾燥に比べ時間がかから
ない 省スペース
エネルギー収支の悪化 初期投資高(乾燥設備)
チップ 天日乾燥に比べ時間がかから ない
省スペース
乾燥系から直接ボイラー投入可
エネルギー収支の悪化 初期投資高(乾燥設備)
☞Ⅲ章1.2.2.
許認可申請お よび地元との 調整
表 Ⅱ.1-13 FS 事業実施事業者の⼈⼯乾燥検討例
連続回転式乾燥機 流動層式 広葉樹 針葉樹 広葉樹 針葉樹
乾燥温度 (℃) 150 150 150 150
乾燥前質量 (kg/h) 60.0 36 36 19.8 入口水分 (%WB) 40.2 61.7 43.2 61.8 入口見掛密度 (kg/m3) 315 290 315 290
出口水分 (%WB) 5.6 9.4 6.1 6.1
出口見掛密度 (kg/m3) 290 130 250 130 無水分質量 (kg/h) 35.9 13.8 20.4 7.6 乾燥後質量 (kg/h) 38.0 15.2 21.8 8.1 蒸発水分 (kg/h) 22.0 20.8 14.2 11.7 乾燥速度 47.9kg/m3h 45.3kg/m3h 105.4kg/m2h 87 kg/m2h
保有率 (%) 11.8 11.8 (130mm) (130mm)
滞留時間 (min) 21 27 12 18
(注)流動層式の保有率のカッコ書きは静止層厚
(出所)「平成 28 年度成果報告書 バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業/地域自立システム化実証事業 中山間・内陸に適した木質バイオマスエネルギー需給複合型システムの事業性評価(FS)」(NEDO)2017年
貯蔵方法は建屋(設備)の有無で2種類
貯蔵方法は、建屋ありの場所で貯蔵する場合と建屋なしの場所で貯蔵する場合の2種類が ある。天日乾燥を兼ねる場合には基本的に建屋なしの方が適している。しかし、降水量の多 い地域では、乾燥した木材が積雪や降雨によって再び水分を含んでしまうのを避けるため、
季節限定で建屋ありの場所に貯蔵する場合がある。
天日乾燥の有無、敷地面積や配置に応じて建屋の有無を検討する
(検討例:図 Ⅱ.1-14、図 Ⅱ.1-15)
☞Ⅲ章2.6 燃料貯留設備
(サイロ)
28 1.3 乾燥・貯蔵
図 Ⅱ.1-14 FS 事業実施事業者の原料別ストック⽅法別⽔分率の調査結果の例
(出所)「平成27年度~平成28年度成果報告書 バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業/地域自立システム化実証事業 竹の 新素材加工工場に併設したバイオマスの熱・電併給カスケード利用による地域再生自立システム”ゆめ竹バレー”の事業性評価(F S)」(NEDO)2016年
図 Ⅱ.1-15 FS 事業実施事業者による林地残材の天⽇乾燥での含⽔率調整の例
(出所)「平成27年度~平成28年度成果報告書 バイオマスエネルギーの地域自立システム化実証事業/地域自立システム化実証事業 持続 可能な林業に資するバイオマスエネルギーの地域利活用の事業性評価(FS)」(NEDO)2016年
【事例】⼯場の余剰熱を燃料タンク内のバークの乾燥に活⽤し事業性向上
珪藻土の製造を行うS化学株式会社(昭和化学)では、工場内で使用するLNG 由来のエネルギーの約 20%をバークチップ由来のエネルギーに転換した。この取 組により、燃料の多角化とLNG購入費の削減が可能となった。一方、その他の木 質資源に比べ水分の多いバークをそのまま変換設備(熱風乾燥炉)に投入すると、
燃焼効率が悪化するという問題が生じる。こうした問題に対応すべく、同社は、
集積場でのバークの天日乾燥と、工場内の設備の放散熱(余剰熱)で暖まった空 気を燃料タンクに吹き込むことによる乾燥促進を実施した。
このような取組により、燃焼効率の悪化を防ぎ、さらに燃料乾燥に要する費用 の削減を実現した。
1.3 乾燥・貯蔵 29
1.3.2. 貯蔵・乾燥設備規模
貯蔵方法と乾燥方法に応じて、必要な土地の面積、必要な人工貯蔵設備と乾燥設備の容量 を明らかにし、予定する用地に収まるかを検討する
貯蔵・乾燥形態別に必要な設備は異なる
主要な貯蔵および乾燥設備を示す(表 Ⅱ.1-13)。
表 Ⅱ.1-14 主な貯蔵および乾燥形態における必要設備
種類 設備
丸太貯蔵 土地 チップ貯蔵 土地・建屋
チップヤード チップサイロ チップ供給用重機 丸太乾燥 土地・建屋
(乾燥機)
チップ乾燥 土地・建屋
(乾燥機)
注)貯蔵場所と利用場所を運ぶ場合の輸送費は1.2で検討
(出所)各種事例へのヒアリング等より
丸太の貯蔵量は半年分以上とする事例多数
水分(率)を50%超から30%程度にまで下げるには、天日乾燥の場合、半年以上を要す ると考える事業者が多い。ただし、外気状況や気象条件による部分も大きく、一概にはい えない。また、FIT 制度を利用した昨今の事例では、調達停止リスクをふまえて、木材資 源を1年分貯蔵する例もみられる。
調達予定の木材資源の乾燥に要する期間を考慮し、調達先との関係性や確保可能 な土地の面積などもふまえて貯蔵量を検討する
チップの貯蔵量は少なくとも1~3日分とする事例多数
貯蔵設備の容量があまりに小さいとトラックの搬入頻度が増すため、近隣住民から苦情 が出る可能性がある。また、一時的にチップの受け入れが止まったときに、ある程度の期 間は運転が継続できる必要がある。
貯蔵に用いることのできる土地や建屋の確保状況、稼働停止リスクの捉え方等に 応じて、貯蔵量を検討する
☞Ⅲ章2.6 燃料貯留設備
(サイロ)
《こんなときどうする!?》
エネルギー変換設備の設置場所と同じ場所に、十分な量を貯蔵できる貯蔵設備を設置できな い✍
変換設備の立地の近傍に貯蔵場所を複数ヶ所用意する
30 1.4 固体燃料化