3. 負荷平準化関連機器・システムの現状と将来
3.2 蓄熱・蓄冷システム
3.2.3 電気温水器
(1) 歴史的背景と技術の進歩 (a) 電気温水器誕生の背景
負荷率向上をさせる方法としてボトムアップを進めるために、深夜電力契約を設定して いる。この割安な深夜電力を利用する代表的な機器が温水器である。電気温水器は1日使 う分のお湯を深夜電力で沸かし保温・貯湯しておくものである。
(b) 電気料金制度の推移
昭和 39 年から 40 年に深夜電力制度が誕生し、現在の電気温水器の基本となるものが登 場した。以後、昭和 59 年には割安な料金単価の第 2 深夜電力制度、および通電制御割引制 度の導入、平成 2 年に時間帯別電灯制度が導入され、各社これらの制度に対応する電気温 水器を販売した。
(c) 電気温水器の原理
貯湯タンク内の水を電気ヒーターを使って、自然対流式、強制対流式(内釜式)、強制 対流式(ポンプ循環式)などの循環方式で加熱し、お湯として蓄熱する。
(図3.2.3-1、図3.2.3-2、図3.2.3-3)
図3.2.3-1 自然対流式 図3.2.3-2 強制対流式
図3.2.3-3 ポンプ循環式
ヒートポンプ式は熱媒体に大気熱を吸収させ、熱を吸収した熱媒体を圧縮、高温化し熱 交換器へ送り、貯湯タンク下部からの水を熱交換器を介して沸き上げ、その湯をポンプ等
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-で貯湯タンクの上部に貯湯する。(図 3.2.3−4)
貯湯タンクは、水源に直結されており蛇口を開くと貯湯タンク内の湯は水源水圧によっ て押し上げられ給湯される。給湯した分だけの水が貯湯タンクに自動的に給水される。
図3.2.3-4 ヒートポンプ給湯式 (d) 電気温水器の特性
貯湯式電気温水器の各性能は、JIS 規格で定められている。
(e) 電気温水器の特長
電気温水器は、火を使わないから“安心”、空気が汚れず“清潔”、蛇口をひねるだけ
“便利”、スピード給湯が可能、燃料補給の手間がいらない、電気だから“静か”、割安 な深夜電力利用で“経済的”、耐久性にすぐれ“長持ち”、などの特長を備えている。
(2) 現状
電気温水器は、丸型、角型、薄型、配管内蔵型などの形状をそろえ、タンクの容量も一般 的に 150L クラスから 560L クラスまでそろっている。また、設置場所に応じて屋外型、防雨 型、軒下・屋内型、屋内専用型などがある。タンクはステンレス製で、耐用年数は通常 15 年程度と、ガス給湯機と比べて約2倍長持ちする。
(a) 電気温水器の種類
給湯専用のスタンダード型として、8時間通電タイプ(深夜電力 B 契約)、8時間通電 制御タイプ(深夜電力 B 契約)、5時間通電タイプ(第2深夜電力契約)、時間帯別電灯 契約対応型などがある。
最近では、省スペース型電気温水器や、利便性を追求した風呂全自動給湯システム付き 電気温水器、さらに経済性と省エネ性に優れた風呂全自動給湯システム付きヒートポンプ 式電気温水器や高機能型の冷暖房・給湯・風呂全自動給湯システム付きヒートポンプ式電 気温水器なども登場している。
(b) 給湯機器市場における電気温水器の位置付け
給湯機器の平成8年度の年間販売実績は563万台であった。内訳は、LPガス給湯機214 万台、都市ガス給湯機260万台、石油給湯機63万台、電気温水器26万台となっており、
電気温水器は4.6%と非常に低い割合である。
(c) ボトムアップ効果
電気温水器の年間消費電力は、標準家庭の給湯負荷を 470 万 kcal/年と想定すると年間
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-6830kWhとなる。電気温水器の耐久年数を 10 年とし、年間 20 万台平均で普及しているの で市場には約 200 万台のストックがあり、標準家庭の給湯負荷を賄う容量の電気温水器は このうち約6割と考えると年間総消費電力は 6830×2,000,000×0.6=81 億 9600 万 kWh となる。
・年負荷率(平成8年度実績10社計より)は
電力需要 8191億kWh、最大電力 16511万kW 年負荷率=8191×106/(365×24)/16511=56.6%
・電気温水器がない場合
電力需要は (8191−82)=8109億kWh
年負荷率=8109×106/(365×24)/16511=56.1%
よって、電気温水器により年負荷率は0.5%改善されていることになる。
(d) 助成制度
住宅金融公庫の割増融資と電力会社からの助成制度がある。
① 住宅金融公庫の割増融資
BL 認定品の電気温水器(風呂加熱機能付きに限る)と BL 認定品の暖・冷房機器と の組み合わせで、住宅金融公庫での環境共生住宅割増において「省エネルギー型設備設 置工事」で150万円/戸の割増融資が受けられる。
② 電力会社からの助成
電力会社によっては、販売設置する電気店、電気工事店、水道工事店、建築事務所、
建築主等に対して電気温水器設置に対する助成制度を設けている。
(3) 将来(5年,10年)・技術課題
省エネ性と環境改善性(CO2排出量)からみると、今後ヒートポンプ式給湯器や冷暖房機 能を合わせたヒートポンプシステムの普及が要望され、商品化されていくと考えられる。こ れに伴い技術面でヒートポンプのCOP向上やシステム効率の改善が進むと予想される。
表3.2.3-1
方 式 項 目 5年後 10年後
普及率(対給湯機比) 7% 7%
ヒーター式
技術動向/技術課題 昇圧化(2kg/cm2) 蓄熱材による小型化 普及率(対電温比) 15% 40%
ヒ ー ト ポ ン
プ式 技術動向/技術課題 コストダウン COP向上 新冷媒の採用
冷暖房システムへの展開
COP向上 新新冷媒の採用
リサイクルシステムの構築 蓄熱材による小型化 参考文献
[1] 住まいと電化別冊「電気温水器マニュアル−計画・設計−」日本工業出版 [2] (財)エネルギー総合研究所「電力負荷平準化」(1998年3月)
[3] 「平成9年機械統計年報」通商産業大臣官房調査統計部編
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