4. 現在の法規制と助成制度
4.2 国内電気料金制度
4.2.2 電気供給約款取扱細則
この電気供給約款取扱細則は、4.2.1項の供給約款に基づいて各電力会社の実施細目を規定 し、各地区通商産業局長に提出したものである。
内容は、供給約款に表現できない定義や規定の詳細な説明が供給約款に添って表記している。
4.2.3 選択約款と省エネの例
この選択約款は、負荷平準化のための各個別に使用方法を規制する代わりに料金を優遇す る各メニューを規定しているものである。各メニューは各電力会社で異なる。
代表的なメニューは、時間帯別の料金、季節別の料金、計画調整料金、蓄熱調整料金に大 別できる。ここでは、代表的な料金について述べる。
(1) 深夜料金
深夜帯に供給する電気料金で中部電力(株)殿では、8時間供給(午後11時〜翌日午前7時)と 10時間供給(午後10時〜翌日午前8時)の2種類に分けて規定している。ただし、各時刻は2時 間の範囲で規約時に調整される場合がある。
例として中部電力(株)殿の高圧電力の例を表4.2.1に示す。
表4.2.1 深夜料金表例(高圧電力250kW超える電力)[ ]:夏季料金
項 深夜料金 高圧電力A
8時間供給 160円00銭
基本料金
10時間供給 190円00銭
1170円00銭
8時間供給 7円44銭
電力量料金
10時間供給 7円86銭
10円64銭 [ 11円70銭 ] また、契約には、低圧深夜電力、高圧深夜電力などで分類される。
(2) 季節別時間帯別料金
本料金制度には季節別時間帯別料金メニューとして、
・季節別時間帯別電力(産業用)
・業務用季節別時間帯別電力(業務用) などが用意されている。
東京電力(株)殿の例を表4.2.2および図4.2.2に示す。
特徴としては、本料金制度は一般のご契約に比べて、ピーク時で4割増し、昼間時間で3 割割増しであるが、夜間時間は昼間時間に対して業務で3割割安、産業で6割割安になって いる。
表4.2.2 季節別時間帯別料金メニューの電力量料金単価[例] [「省エネルギー」,vol.50,No.8,1998,p85より]
標準電圧6kV,1kWh当り (単位 : 円) 契約種別 高圧季節別時間帯別電力A 業務用季節別時間帯別電力
時間帯 ピーク 夏季昼間 その他
季昼間 夜間 ピーク 夏季昼間 その他
季昼間 夜 間
単 価 15.55 14.00 13.25 6.15 22.65 20.40 19.45 6.15
(参考 : 一般のご契約の電力量料金単価)
標準電圧6kV,1kWh当り (単位 : 円)
契約種別 高圧電力A 業務用電力
時間帯 夏 季 その他季 夏 季 その他季
単 価 11.05 10.05 16.15 14.65
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-時 間 帯
季 節
(月・日) 曜 日
0 8 1213 16 22 24 平日(月〜土)
その他季
・1月1日〜6月30日
・ 10月1日〜12月31日 日祝日
平日(月〜土)
夏 季
・7月1日〜9月30日 日祝日
(注)日祝日には1月2日、3日、4月30日、5月1日、2日、12月30日、31日を含みます。
図4.2.2 2季節3時間帯の区分
[「省エネルギー」,vol.50,No.8,1998,p85より]
(3) 計画調整契約
契約電力500kW以上では夏季の電力需要などを調整するために計画調整契約がある。
東京電力(株)殿の例を表4.2.3に示す。
(a)夏季休日契約 : 3年継続のお客で、1年前より2割割引く制度
(b)夏季操業調整契約 : (a)契約対象者に連続2日以上調整する場合に割引く制度。
(c)ピーク時間調整契約 : 6月〜9月の期間13時〜16時に30分以上調整する場合の契約。電圧 6kで1kWh調整1ヶ月で905円、20kVで875円割引く。
などがある。
表4.2.3 夏季休日契約・夏季操業調整契約の割引単価・割引計算事例
[「省エネルギー」,vol.50,No.8,1998,p86より]
★割引額算定
割引額は、「夏季休日カレンダー」にあるA種、B種、C種の3つの指定日に分けて算定し ます。 (各種は各年度ごとに7月〜9月に平日に設定)
★割引単価
調整電力1kW,1日につき次のとおり。
標準電圧 6kV 20kV 60kV 140kV
A種 210円 205円 200円 195円 B種 240円 235円 230円 225円 割引単価
C種 275円 270円 265円 260円
★夏季休日契約[年契約型]では 契約電力 5,000kW、電圧60kV、
調整日 A種指定日…4日、C種指定日…4日 実績調整電力 A種指定日…各日とも3,000kW C種指定日…各日とも2,700kW
休日調整割引= 200円×3,000kW×4日+265円×2,700kW×4日
= 5,262,000円…(1)
消費税の減額= 5,262,000円×0.05= 263,100円…(2) (1)+(2)=5,525,100円
したがって、電気料金の支払い額は、消費税の減額を含めて約550万円軽減できることになる。
昼間(夏季) 昼間(夏季)
昼間(その他季) 夜 間
夜 間
夜間 夜 間
夜 間
ピーク時間 夜間
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-(4) ホームページによる公開
各電力会社は、負荷平準化のための料金制度 特に選択約款においては電力料金情報として ホームページで公開している。ただし、記載情報の詳細度は各会社で異なっている。
各電力会社の公開ホームページアドレスを以下に示す。
・ 北海道電力(http://www.hepco.co.jp/japanese/)
・ 東北電力 (http://www.tohoku-epco.co.jp/)
・ 東京電力 (http://www.tepco.co.jp/)
・ 中部電力 (http://www.chuden.co.jp/)
・ 関西電力 (http://www.kepco.co.jp/indexj.htm)
・ 北陸電力 (http://www.rikuden.co.jp/index-gif.htm)
・ 四国電力 (http://www.yonden.co.jp/)
・ 中国電力 (http://www.energia.co.jp/japanese/index_j.html)
・ 九州電力 (http://www.kyuden.co.jp/)
・ 沖縄電力 (http://www.okiden.co.jp/) 4.2.4. その他
負荷平準化のための料金制度特に選択約款においては、深夜の電源の更なる利用のため、
深夜料金とピーク時間の差を拡大してきている電力会社も出てきている。
また、料金制度では、環境問題からの新エネルギーの拡大のために、太陽光発電や風力発 電などでは、売電制度を設定している。その料金は電力会社によって異なるが使用電力料金 と同額まで補助制度として保証している電力会社もある。
ただし、蓄電池装置は現在逆潮が認められておらず、負荷平準化のためには、深夜等の安 い電力を蓄え、その蓄電力で負荷の需要の多い時間帯の負荷電力を賄うことで負荷平準化に 寄与している。
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