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システムのコストについて

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5.   負荷平準化モデルシステムの設定と経済性試算

5.5  負荷誘導用のための屋内情報システム

5.5.2   システムのコストについて

負荷誘導のための宅内・構内ネットワークについてコスト検討を行う。ここでは関連する マルチメディア関連の高速系ネットワークシステムについては割愛する。

コストを検討するにあたりシステム構成は明確に決定せず、部品材料コスト、生産コスト、

販売コスト…等の積み上げによるコスト検討は行わない。主にマーケッティング上での価 格・市場・ユーザの購入できる価格イメージについて検討する。

また、住宅やビル内の負荷誘導用のシステムコストについてエコーネットを中心にして検討 するものとし、電力会社と連携した場合の電力会社側の機器やシステムのコスト等はここで は扱わない。

前述したように、従来のHAのHBS(ホームバスシステム)では基幹のホームバス(同軸 通信線、ペア通信線)の事前配線工事を必要とした上、ネットワークの利点を生かしたアプ リケーションが不足していたこともあり十分普及せず、玄関TVモニタや住宅等のセキュリテ ィシステムに普及が限られていた。

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-エコーネットでは、伝送媒体として電灯線、赤外線、無線等を利用しており工事不要で必 要な範囲で必要な機器間を簡単にネットワーク接続できるメリットがあり、HBS規格や他の 規格の取り入れや相互接続の構想もあり、最近のマルチメディア機器やインターネットを利 用した付加価値も期待されるところがある。使い方や機能が単純かどうかはこれからの開発 によるところとなる。

最近では環境問題、COP3、電力消費増大による原子力発電所増設、省エネルギー法改正、

自動車・家電機器の省エネルギー基準のトップランナー方式などさまざまの省エネルギーに 対する話題も多く、それらに対する国民の関心も高まりつつあり、家庭内省エネルギーへの 取り組みや負荷誘導に対する理解も得やすい環境となってきている。また、必要性の高さあ るいは受容性の高さも期待できる。さらに、負荷誘導や最適エネルギー管理システムなどが 相応のコストで導入され、省エネルギーによる電力使用量金が減少し、且つ利便性や快適性 が犠牲にならないとなれば言うまでもなく受け入れるであろう。

前節で示した図5.5.1の機器接続イメージの各構成要素について、負荷誘導用のシステムの 機能およびコスト概要を検討する。

(1) 集中制御装置 (a) 機能例

集中制御装置は屋内の家電機器、照明や空調などを集中的に管理する装置であり、規格 化されたミドルウエアを搭載し、エネルギー管理の場合は各機器の電力使用量や運転状態 を監視し、在室センサや室内外の温湿度センサなどの情報から最適な空調運転や、省エネ 運転を自動的に行うものである。自動制御やサービス機能についてはメニュー等を具備し、

本装置に表示装置や設定ボタンがあるとか、設定用のコンロール装置などで書き換え可能 であるとか、ネットワークを介してTVやPCなどで設定できたりする。サービス毎に複数 の集中制御装置がある場合も想定される。電話、ISDN、PHS、FTTHなど外部とのネッ トワークへの接続機能を備えており、電力会社と接続して直接制御の指令の受信や、料金 情報、間接制御関連情報の受信やエネルギー管理のサービスの提供などが可能になる。情 報の蓄積や記録が残せる機能も持ち、ホームサーバーあるいはセットトップボックスとし てのも機能する。

(b) コスト検討

機器の機能やイメージ的にはISDNのTAとか、デジタルCSTVのセットトップボックス とかのイメージであり、数万円〜5万円程度が妥当であろう。一般家庭の全世帯の月平均で 電気代は約9千円であり約10%を占めるといわれる待機電力やその他の省エネルギーコン トロールにより約5%を削減したと仮定して年間で約5千円を削減できる。集中制御装置を 数万から5万円とすれば5年から10年程度の回収期間がかかる。削減効果を10%とすれば数 年から5年程度で回収でき十分に普及するもになるであろう。集中制御装置の負荷誘導、エ ネルルギー管理機能をもったもので、2年後の価格としては5〜10万円程度、5年後ので2〜 5万円程度であれば十分普及が可能と思われる。

(2) エコーネット機器、エコーネット機器アダプタ (a) 機能例

エコーネット機器とはエコーネット規格に準じたインターフェース機能を内蔵した機器 を示す。インターフェースは電灯線通信、無線通信、赤外線通信がある。また、機器アダ プタはエコーネット規格に準じたインターフェース機能を内蔵していない機器についてこ のアダプタを介することによりネットワークへの接続が可能となる。例えば、JEM-A端子

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-付きエアコンや、赤外線リモコンで動作するエアコンや扇風機に対しての電灯線通信、無 線通信、赤外線通信とのインターフェースを組み込んだアダプタである。

(b) コスト検討

HBSの場合のJEM-A端子等は、機器側では機器内のCPUのI/O入出力と接続するコネク

タ端子程度が部材費で、加えてその機能のためのソフト費になる。またHBSと接続すのに 絶縁のためのフォトカプラが2系統は入ったインターフェースユニットが必要となるが、ケ ース込みで約千円前後のコストである。HBSの場合は、HAが普遍化した場合は機器にイ ンターフェースユニットを内蔵することも考えられるが、普及と経済的観点から当面は機 器とは別に設けた。エコーネットの場合も普及の過程から考えればHBSのHA端子のよう に機器のCPU側とI/F接続できる端子が機器側に用意されており、その端子と電灯線、無線 等の送受信機能を持った機器アダプタを必要に応じて後から接続する方式が望ましいだろ う。

電灯線についての現状の価格例をあげると、HBSでの電力線HALSの特別搬送方式、AM

変調半2重通信120bpsで部材費は数百円程度である。また欧米での電源制御等に使用され

ており、CCITT勧告X-10の通信プロトコルを利用した電灯線通信制御の家電アダプタ、照

明アダプタ(株式会社アーガイルホームテック製)で約3千円程度である。最近では、通信 品質や通信速度を向上させた、ECHELONのスペクラム拡散方式で10kbpsのPLT-10モデ ムやPSK変調で5kbpsのPLT-20のICなどがありモデムタイプのサンプル価格で約5万円 前後である。また米Intelogis社では2台のPCと1台のプリンタを350kbpsで接続する Pass-Portと呼ばれる電灯線通信ネットワークキットがUS$199.99である。

エコーネットでは無線については特定小電力無線のテレメータテレコントロール、セキ ュリティの周波数帯域を利用したもので開発が進められている。赤外通信については、部 材費レベルで約千円前後程度であり、電灯線、無線よりは低コストのインターフェースに なると思われる。また機器側でもともと赤外リモコンのあるものは、機器側の部材は新た に必要としない。HBSとの対比からして、機器に内蔵する場合で百円前後のコストアップ、

外部のアダプタとして千円程度が実現できれば充分実用となっていくと思われる。

今までは、機器側の単体コストを中心に議論したが、ここでは負荷誘導システムを例に、

インセンティブはなにか、機器の購入者は誰かなどの点で検討する。負荷誘導では直接制 御、間接制御があり、間接制御には単なる協力依頼にとどまる場合や電気料金をリアルタ イムに変更する場合が考えられるが、2パターンについて大まかに検討する。

例  パターン1

・負荷平準化のコントロール機器等は電力会社が調達し、協力需要家に提供

・対応する機器の価格増加分は、需要家で回収できる仕組みやメリットをつくる

・メーカは低コスト、小型、利便性・快適性改善、付加価値機能の追求で差別化追求

・機器の価格増加分の需要家側での回収は、電力会社が協力に応じた協力金提供、

  電気料金割引あるいは時間帯別の料金等でピーク時の料金単価の引き上げ等で対応

(協力金では例えば  協力金≒電力会社設備効率改善−電力会社DSM投資回収)

・機器コストが合わない場合、普及の過程で国の補助制度の導入など

・機器コスト目標は、目標普及率における負荷率改善への貢献程度から算出

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-例  パターン2

・付加価値機能が高く、そちらの価値が高いため需要家が独自に購入

・更に付加的に省エネや負荷平準化機能で需要家が金銭的に得をする仕組みとする

・メーカは、パターン1と同じ対応が必要

・電力会社は需要家の負荷平準化寄与度に応じた協力金の提供など

・負荷平準化機能などはオプションとし、オプション部分の普及の過程で国の補助制度の導 入など

いずれの場合でも、需要家側、電力会社側の双方が負荷平準化のための投資や得られるメ リットが市場原理でバランスのとれるコストが理想である。更に環境保護やCOP3問題ある いは電源確保などの国家としての将来負担や需要家側、電力会社側の将来負担をどのように 低減あるいは公平に分担するかに対して、国としての補助制度や海外での炭素税などのよう な税制等の検討も必要であろうと思われる。

負荷平準化システムの負荷平準化効果の程度からすれば普及は大規模ビルや工場等からス タートし最後に一般個人住宅となるであろう。特に一般個人住宅への普及を考えると、過去 のVTRなどの普及テンポに比べれば、社会制度や効果などにもよるが家電製品としては遅い ほうの部類に入ると予想される。

補助金制度や、短期間での投資回収などでユーザに明確な利便性や効果がでてくれば普及 は進むが、環境保護、省エネの意識だけでは風呂の残り湯の再利用、ゴミの分別回収、太陽 光発電などと同様に一部の意識の高い人だけが取り組むだけで普及が遅くなると思われる。

環境保護に対しては投資意欲を高める意味でも国の政策上の対処は必要であり、更に商品と して魅力の向上はもちろん、必需度、投資効果、利便性の向上の開発や制度上の仕組みが必 要になってくるであろう。また、使用感の欠如からくる商品魅力の欠如にならぬよう、使い 方は簡単であるが効果を表示するとか毎日の係わりが持てる機能をつけることも必要と思わ れる。

負荷平準化のための住宅用・構内情報システム、インフラについては最近の開発であり標 準化や開発が進行中のため充分なコスト予測が本項ではできなかった。今後これらに関して 開発・商品化されていく設備や家電製品およびインフラ等は、商品魅力はもちろん、投資・

回収・制度などのバランスによりコストが決められていくと思われる。

メーカーサイドとしては、更なる技術開発とコスト低減を図る必要があるが、経済性の議 論では単に現行の電気料金制度の中でのコストベネフィットを論ずるだけでは、負荷平準化 に寄与する屋内情報システムの普及は難しくなる。国家全体の社会システムの問題として取 り組み、需要家や電力会社にインセンティブを与えるような施策を継続する必要があると思 われる。

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