第 2 章 ではこの光電子放出の原理、電子軌道、そして電子増倍部に ついて記述します。
7.5 電子以外の粒子への応答
105 MeV/cの陽子・π−・µ−を垂直に入射させ、チェレンコフ検出器の粒子識別能力を評
価した。各粒子を入射した時の放出光子数と検出光子数を図7.11から図 7.14に示す。ここ で、表示した範囲は粒子によって異なる。陽子の入射ではチェレンコフ光は放出されないた め、十分に電子と区別することができることが分かる。ミューオンの場合、閾値を越えるた めチェレンコフ光を放出する。105 MeV/cのパイオンは閾値を下回るため、本来はチェレン コフ光は放出されないが崩壊したミューオンによるチェレンコフ光を検出している。
検出光子数に閾値を設けたとき、その閾値を越えるイベント数の割合を図7.15に示した。
電子はチェレンコフ光で放出する光子数が多いため、適切に閾値を設定することで十分に他 の粒子と識別することが可能である。本実験では即発的な背景事象を取り除くために測定時 間窓を採用する。そのため、パイオンとミューオンの事象は排除する事が出来る。万が一パ
7.5 電子以外の粒子への応答 51
L [m]
0.1 0.12 0.14 0.16 0.18 0.2 0.22 0.24
α
0.75 0.7 0.85 0.8
0.95 0.9 1
2
χ
10 10
2図7.9 αとLに対するχ2のグラフ。
イオンとミューオンが測定時間窓に漏れ込んだ場合でも、CDCの情報を用いて入射角度に応 じた適切な閾値を設定することで、パイオン、ミューオンの排除が可能である。
52 第7章 シミュレーション
position [mm]
0 50 100 150 200 250 300
Photons
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
center simulation data Center
position [mm]
0 50 100 150 200 250 300
Photons
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
edge
simulation data Edge
[deg]
q 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180
Photons
0 50 100 150 200 250
phi
simulation data q
[deg]
e
-60 -40 -20 0 20 40 60
Photons
0 20 40 60 80 100 120 140 theta
simulation data
e
図7.10 シミュレーションの結果と測定値の比較。中心の位置依存性(左上)、端の位置 依存性(右上)、φ依存性(左下)、θ依存性(右下)。
7.5 電子以外の粒子への応答 53
Detected Photons 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
Produced Photons
0 500 1000 1500 2000 2500
plot Entries 20000 Mean x 44.17 Mean y 601.2 RMS x 11.83 RMS y 136.1
1 10 102
plot Entries 20000 Mean x 44.17 Mean y 601.2 RMS x 11.83 RMS y 136.1 electron
図7.11 電子の放出光子数(縦軸)と検出光 子数(横軸)。
Detected Photons
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Produced Photons
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
plot Entries 20000 Mean x 0 Mean y 0 RMS x 0 RMS y 0
1 10 102 103 104
plot Entries 20000 Mean x 0 Mean y 0 RMS x 0 RMS y 0 proton
図7.12 陽子の放出光子数と検出光子数。
Detected Photons
0 5 10 15 20 25
Produced Photons
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
plot Entries 20000 Mean x 1.823 Mean y 71.24 RMS x 2.074 RMS y 22.18
1 10 102
plot Entries 20000 Mean x 1.823 Mean y 71.24 RMS x 2.074 RMS y 22.18 mu
図7.13 ミューオンの放出光子数と検出光子数。
Detected Photons
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20
Produced Photons
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
plot Entries 20000 Mean x 0.139 Mean y 2.236 RMS x 0.6106 RMS y 7.403
1 10 102 103 104
plot Entries 20000 Mean x 0.139 Mean y 2.236 RMS x 0.6106 RMS y 7.403
pi
図7.14 パイオンの放出光子数と検出光子数。
54 第7章 シミュレーション
Threshold [photons]
0 20 40 60 80 100
Efficiency
0 0.2 0.4 0.6 0.8
1 Electron
Muon Pion Proton
図7.15 検出光子数の閾値を越える割合。横軸は検出光子数の閾値、縦軸は閾値を越えた 割合。電子(青)はミューオン(黒)やパイオン(赤)、陽子(緑)と比較して光子数が多 いため、十分に粒子識別が可能である。
55
第 8 章
光検出器の中性子耐性評価
実 験 エ リ ア で は 多 量 の 中 性 子 が 発 生 す る こ と が 予 測 さ れ て い る た め 、ト リ ガ ー 検 出 器 に 1012 neq/cm2の中性子耐性を要求する。この章では、九州大学箱崎キャンパスのタンデム加 速器施設で行ったMPPCの中性子照射試験について記述する。