第 2 章 ではこの光電子放出の原理、電子軌道、そして電子増倍部に ついて記述します。
4.4 フロントエンド回路プロトタイプの製作
に示す。基板表面にMPPCを並列に 10個取り付けており、裏面のカソード側に電源ライ ン、アノード側に読み出し回路を搭載している。汎用性の面から、シンチレータとチェレン コフ検出器に用いるMPPC基板は共通にし、それぞれの厚みに応じた数だけMPPC基板を 使用した。アノードとカソードそれぞれに同軸ケーブル(RG174/U)を取り付けており、フ ロントエンド回路の前置増幅器と動作電圧分配器にLEMOコネクタで接続して動作させる。
製作したMPPC基板は、光学グリスを用いてシンチレータ・UVアクリルに取り付けた。
有効受光面サイズ 3×3 mm2 ピクセルピッチ 100µm
ピクセル数 900 典型的なダークカウント*1 1000 kHz
時間分解能(半値幅) 300 ps 増幅率 2.8×106
表4.1 S12572-100シリーズの仕様[29]。
図4.4 MPPC基板の回路図。高周波の信号 成分を取り出すためにC = 100 pF, R = 1 kΩを用いた。
図4.5 表 面 実 装 型MPPCを 取 り 付 け た 基 板。裏に読み出し回路とケーブルが接続され ている。
4.4 フロントエンド回路プロトタイプの製作
フロントエンド回路のプロトタイプとして前置増幅器と動作電圧分配器を開発・製作した。
*1閾値0.5ピクセルでの値
28 第4章 プロトタイプ検出器の製作
4.4.1 動作電圧分配器
動作電圧分配器は複数のMPPC基板に動作電圧を供給する。図4.6に回路図を、図4.7に 製作した基板を示す。与えられた入力電圧を、後段の MPPC基板へ並列に出力する。各出 力チャンネル毎に過電流防止用の抵抗(10 kΩ)と、電源由来のノイズを低減するためのバイ パスコンデンサとしてセラミックコンデンサ(100 nF)を取り付けた。
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8&A#/2ၮ᧼
8&A#/2ၮ᧼
8QNVCIG&KXKFGT
C1 100nF C1 100nF
C3 100nF C3 100nF
R5
10k R5
10k R4
10k R4
10k R2
10k R2
10k
R3
10k R3
10k OUT1
EPL.00.250.NTN OUT1
EPL.00.250.NTN 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
R1
10k R1
10k
OUT5
EPL.00.250.NTN OUT5
EPL.00.250.NTN 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
IN1
EPL.00.250.NTN IN1
EPL.00.250.NTN 1 1
2 2 3 3 4 4 5 5
OUT4
EPL.00.250.NTN OUT4
EPL.00.250.NTN 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 OUT2
EPL.00.250.NTN OUT2
EPL.00.250.NTN 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
C5 100nF C5 100nF C2 100nF C2 100nF
OUT3
EPL.00.250.NTN OUT3
EPL.00.250.NTN 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
C4 100nF C4 100nF
図4.6 動作電圧分配器の回路図。IN1への入力電圧を並列に分けてOUTに出力する。
R, Cはそれぞれ過電流防止の抵抗と電源ノイズの低減のコンデンサである。
4.4.2 前置増幅器
前置増幅器はチェレンコフ検出器の信号を増幅する。図4.8に回路図を、図4.9に製作し た基板を示す。MPPC基板からの信号を並列に入力し、増幅した信号を後段へ出力する。増 幅回路として、オペアンプ(Texas Instruments OPA657N/250[31])を使用した非反転増幅 回路を2段使用している。1段当たりの増幅率GAM P は、図4.8中の値R12, R13, R14, R15
を用いて
GAM P = R12
R13
= R14
R15
= 360
51 = 7.1 (4.1)
と表せるため、2段での増幅率は∼50となる。
高周波のノイズが確認されたので、ローパスフィルタを最後段に配置した。ローパスフィ
4.4 フロントエンド回路プロトタイプの製作 29
40 mm
45 mm
図4.7 動作電圧分配器の基板。入出力には実用性を考慮してLEMOコネクタを採用した。
ルタに用いるC11については、図4.10の試作ボードを用いて最適化を行った。信号として 25℃でのMPPCのダークシグナルを入力し、20 mVを越えたイベントについてC11を変 化させてデータを取得した。得られた平均波形を図4.11に示す。波形が鈍り始めた1000 pF までの範囲でC11を変化させた。波形の電荷を信号、ベースラインの電荷の標準偏差をノイ ズと定義したときのS/N比を図4.12に示す。C11に比例してS/N比が向上することが分か る。この結果より、最もS/N比が大きいC11=1000 pFに決定した。
30 第4章 プロトタイプ検出器の製作
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8&A#/2ၮ᧼
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Ⴧེㇱಽ
ᧂታⵝ
R12 360 R12 360
R16 51 R16 51
U2 OPA657N
U2 OPA657N
1
2
3 4
5
VIN4
EPL.00.250.NTN VIN4
EPL.00.250.NTN 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
R15 51 R15 51
VIN2
EPL.00.250.NTN VIN2
EPL.00.250.NTN 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
C19
100n C19
100n C11 1000pF C11 1000pF
C15 470u C15 470u
1 2
C14
100n C14
100n U1
OPA657NU1 OPA657N 1
2
3 4
5
C18
100n C18
100n
C13 470u C13 470u
1 2
VIN3
EPL.00.250.NTN VIN3
EPL.00.250.NTN 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
R14 360 R14 360
CN1 S3B-PH-K-S CN1 S3B-PH-K-S
11 22 33
VOUT1
EPL.00.250.NTN VOUT1
EPL.00.250.NTN 1 1
2 2 3 3 4 4 5 5 R13
51 R13 51
VIN1
EPL.00.250.NTN VIN1
EPL.00.250.NTN 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5
C17
100n C17
100n C16 C16
R11 51 R11 51
図4.8 前置増幅器の回路図。2段の非反転増幅回路とローパスフィルタで構成する。オ ペアンプの動作電圧は外部から±5 Vを供給する。ローパスフィルタのC11は後述する 最適化を経て決定した。
40 mm
45 mm
図4.9 前置増幅器の基板。信号の入出力に はLEMOコネクタを、オペアンプの電源に は3ピンコネクタS3B-PH-K-S (LF) (SN) を採用した。
図4.10 C11の 最 適 化 で 使 用 し た 評 価 ボ ー ド。左側のケーブルから信号を入力し、右の ケーブルから増幅した信号を出力する。出力 ケーブルの直前にC11を取り付け、値を変え ながら波形を取得した。
4.4 フロントエンド回路プロトタイプの製作 31
図4.11 C11を変えたときの波形。波形が鈍り始めたため、C11は1000 pFまでの範囲で比較した。
Capacitance [pF]
0 200 400 600 800 1000
S/N
0 2 4 6 8 10 12 14
図4.12 C11を75 pFから1000 pFまで変えたときのS/N比。C11に比例してS/Nが 向上している。
32
第 5 章
東北大学電子光理学研究センターに おけるテスト実験
トリガー検出器の性能評価を行うため、東北大学電子光理学研究センターGeV γ 照射室に てビームテストを実施した。この章では利用した実験施設とセットアップを取り扱う。