3.3 干渉回避指示推定方法
3.3.6 陸域全体の解析結果
表 3.6 判別分析による回避方法推定の結果
パターン 第一候補 第二候補 正誤 水平接近率 高度接近率
1-1 1-1 1-2 ○ 0.0285 6.7150
1-2 1-2 1-1 ○ 0.0135 6.2464
1-3 1-1 2 × 0.0907 26.3813
1-2 1-1 1-2 △ 0.0355 10.3843
1-2 1-2 1-1 ○ 0.0183 21.2396
1-3 1-3 2 ○ 0.1884 37.9390
1-3 2 1-1 × 0.1156 21.1798
1-1 1-3 2 × 0.1621 20.5524
2 1-3 2 △ 0.1527 33.2929
1-1 1-1 2 ○ 0.0920 20.2027
1-2 1-2 1-1 ○ 0.0100 41.1934
1-3 1-3 2 ○ 0.2173 41.7169
1-2 1-2 1-1 ○ 0.0317 11.7533
2 2 1-1 ○ 0.0968 9.3196
1-2 1-2 1-1 ○ 0.0070 40.3558
2 2 1-3 ○ 0.1165 27.9912
1-2 1-2 1-1 ○ 0.0093 -2.0281
1-1 1-2 1-1 △ 0.0244 26.3607
longitude [deg]
128 130 132 134 136 138 140 142 144
26 28 30 32 34 36 38 40 42
44 coastline predicted trajectory present position predicted position
図 3.50 ある時刻における航空機の180 [s]後の予測位置
(各ACC内)
latitude [deg]
図 3.51 回避指示の発生が推定される場所(2013.1.7)
図 3.51より,回避指示は満遍なく発生していることがわかる.ただし,混雑空域で
ある東京国際空港周辺,成田国際空港周辺および関西国際空港周辺に比較的多く発生し
ていることもわかる.
推定された結果のパターンを,表 3.7に示す.関東周辺について解析したときと同様 に,高度変更による間隔の確保が,最も多いことがわかる.パターン3)の速度変更につ
いて,CARATS Open Dataは位置の微分によって速度を求めるために誤差が大きくなり
やすく,今回は解析対象に含めなかった.今後は,新たなフィルタ処理を考案すること などによって,速度変更のパターンについても分類できるようにする必要がある.また,
その他に分類されたものは,高度変更もしくは針路変更によるものと明確に判断できな かった件数である.
表 3.7 回避指示推定のパターン別発生件数
パターン 状況 件数
1) 高度変更 119
2) 針路変更 73
3) 速度変更 -
4) その他 22
パターン別の具体例を,以下に示す.図 3.52および図 3.53 に,パターン1)の高度 変更の例を示す.また,図 3.54および図 3.55に,パターン2)の針路変更の例を示す.
パターン1
latitude [deg]
図 3.52 パターン1:飛行経路
altitude [ft]
Altitude change instruction
図 3.53 パターン1:高度
パターン2
Heading change instruction
図 3.54 パターン2:飛行経路
図 3.55 パターン2:高度
図中の緑色破線は干渉が予測された瞬間,緑色実線は予測された干渉の発生時刻を表 している.
図 3.52および図 3.53では,2機の交差する航空機が対象となっている.一方の航空
機は上昇し,もう一方の航空機は巡航から降下に変化している.本事例では,巡航して いる航空機が降下をはじめた際に,交差するポイント周辺で上昇機との干渉が予測され ている.このため,それぞれの航空機にレベルオフの指示が出され,干渉を回避したと 考えられる.
図 3.54および図 3.55では,2機の航空機が同方向に向かって飛行している.一方の
航空機は巡航中であり,もう一方の航空機は降下をはじめている.降下機が降下をはじ めてまもなく干渉が予測され,巡航中の航空機に針路変更の管制指示が出されたと考え られる.ただし,本事例の場合は,航空路の都合により,干渉予測に関わらず針路を変 更した可能性も残している.今後は,それらの区別を行えるような推定方法の構築にも 取り組む必要がある.